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【読書感想文・「学力の」経済学(中室 牧子 著)】教育効果をデータで評価する

Audibleで「「学力の」経済学」を聴きました。

本書は、先日聞いた本で紹介されていた本です。

本書から、日本の「教育」に対する懸念・心配、そして情熱を感じることがで着ました。そして、もっとも大事なのはこの中身を自分の子供、そして学生に対する教育に取り入れなければ!と思いました。

本書でとても参考になったこと、そして子育て世代の人たちに参考になる可能性のあるかもな、と思ったことは以下の通りです。

巷の教育論よりもデータ→そこから自分仕様に

教育者の重要性

です。

まず、日本の教育論について。テレビで教育研究家や、東大に兄弟全員入れたお母様などが出演されて教育を語られています。その方達の実践した教育法などに関しては、結果が出ているので間違いではないのでしょう。しかし、それが万人に共通した教育法とは言い切れません。

これが本書でまず出てきた筆者の主張です。著者は経済学者なので、一番大事なものはデータによる客観的事実。できるだけバイアスがかかっていないデータによって得られた事実から有意な差が生じているかを検証します。

このような視点にったった教育法の議論、実践が日本には圧倒的に少ないのだとか。理由雨としては、統計データがオープンになっていないことが一因なのだそう。

自分も研究者で、上記のことはもっともだと思います。しかし、教育に関しては、これを気にしていなかったことに本書を読んで気づきました。

確かに、統計データは個人個人の特徴をできるだけ排除したものなので、自分の周りに対してそのまま適用できないかもしれません。しかし、方針を立てるための「目安」にはなります。ですので、データを知っているか知っていないかで、あらぬ方向に舵を取るリスクを回避できる、というわけです。

これは非常に重要なことだと思います。どんなことでも大事なのは「正解に真っ直ぐに向かう」ことよりも「全く間違った方向には向かわない」ことな気がしています。誤って後者になった場合、修正が非常に難しいからです。これを助けてくれるのが統計データであって、この重要性を本書であらためて感じました。

もちろん「全く間違った方向に向かっている」人は一定数います。そのため、教育や将来の収入などに影響が出てきます。そこで登場するのが「いい先生」です。

本書で出てきた「いい先生は生徒の人生を変えられる可能性がある」という言葉には心を打たれました。

人の生まれた境遇、先天的な能力に差があっても、教育者はそれを補える、ということなのです。

自分としては、「それができる立場にいる」と意識することが大事と思いました。そして、研究能力とともに教育者としての能力も向上させ、学生の能力向上を最大限サポートできる教員になりたい、そう思った次第です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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