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思っていたよりも、「思っていたよりも」は人を傷つける。

「思っていたよりも、良かったよ!」

あなたは、この言葉を褒め言葉として受け取ることができますか?

僕は、この言葉を言われたとき、少しだけモヤモヤしてしまいます。

もちろん、引っかかるのは、「思っていたよりも」の部分です。

純粋に「良かった」と感じるのではなく、まず先に相手の想像があって、それを上回った場合にのみ、この言葉が適用されます。

ということは、相手に一度、完成形を想像させてしまっているのです。

それも、あまり良くない想像を。

例えば、食べ物で考えてみましょう。

初めて高級フレンチを食べて美味しかったとき、僕らは「思っていたよりも」という言葉を使うでしょうか?

おそらく、一度も食べたことがないとしても、普通に「美味しかった!」と言うはずです。

しかし、初めて昆虫食を食べて美味しかったときは、「思っていたよりも美味しかった!」と言うでしょう。

昆虫食に馴染みのない人が、昆虫を食べることを想像すると、どうしても美味しいものを食べられる気がしません。

そのため、想像を少しでも上回ると、「思っていたよりも、美味しかった!」と言いたくなります。

つまり、「思っていたよりも」を使うということは、「期待できない」という気持ちがあるということです。

僕は、「思っていたよりも」と言われたときにはじめて、自分が内心なめられていたことを知ります。

自分が作ったものを誰かに見せるとき、「思っていたよりも」と言われると、静かに傷つきます。

一見、傷つけていないようで傷つける言葉は、悪い言葉として認知されないので、頻繁に多用されてしまいます。

僕は、そんなサイレント暴力はしたくないので、「思っていたよりも」という言葉を使いたくなったときは、積極的に言い換えるようにしています。

「自信なさげに言うから、期待してなかったけど、これ超面白いよ!」

「初めて見る見た目だから、少し怪しんでしまったけど、これ超美味しいよ!」

こういうふうに、「なぜ期待できなかったのか」を明確にすれば、相手を傷つけず、自分の伝えたいことも正確に伝えられます。

相手もこう言われた方が、どこをどう改善すれば、もっと良くなるかが分かりやすいでしょう。

誰にも気づかれなくたって、こうした思いやりを持つことが、人間関係の絆を強くすると思います。

そうすることで、上からモノを言う人間にならずに済むし、相手から自己肯定感を奪うこともなくなります。

ただ、本当に、誰にも気づかれませんが(笑)。

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