正解なのか分からなくても、自分の考えを正直に伝える。
昨日、高校からの同級生で人気者の代々木くんと、一緒に長い時間を過ごしたのですが、そこで僕は、ある決心をしていました。
それは、自分の考えを正直に伝えることです。
いつも、正直な態度で接してはいるのですが、それでも伝え漏れていることはあります。
別に触れたところで面白くならなかったり、傷つける可能性があるかもしれないことは、なるべく避けてしまいます。
それを伝えたところで、自分の考えが正解なのかどうかも分かりませんし、相手に悪影響を及ぼすのかもしれないです。
ただ、この正直な気持ちを伝えることで、代々木くんの人生が好転すると判断した僕は、正直に伝えました。
その内容は、代々木くんがつまらなくなっていることについて。
僕は、高校のときから、代々木くんがバカなことを考えながらも、本当は賢いことを知っていました。
代々木くんは、自分で名言を考えることが好きでした。授業中だろうがなんだろうが、思いついた瞬間に大声で言ってました。誰にもウケなくても、僕にけなされても、それでもまた繰り返してくるのが、代々木くんの良いところでした。
表現も何度も工夫して、いつしか代々木くんの言葉は、「代々木語」と化していました。それを面白がったクラスメイトは、男女問わず、みんな彼のことが好きでした。
そのくせ、サッカー、ダンス、バンド、勉強、生徒会など、さまざまな分野で活躍する秀才でした。
しかし、代々木くんは高校を卒業してから、その輝きを失いました。
もちろん、若さも違いますし、環境も違います。周囲の変動とともに、人間は流されてしまいます。
代々木くんは有名大学に入り、どんどん頭が良くなって、横文字ばかりを使うようになったり、周りの大学生に同調して若者のスラング的な言葉を使うようになりました。
その結果、代々木くんは、あんまり表現を工夫しなくなっていきました。
どこか、哲学的なことを話しているような雰囲気を作ったり、カッコつけた言葉を本当にカッコつけて使うようになりました。
僕は、見て見ぬふりをして、代々木くんと接するようになっていましたが、いつからか違和感を感じるようになっていました。
そんな中、同じ高校の同級生でもある千葉くんと、ご飯を食べているときにこう言われました。
「代々木ってさ、もうnote更新しないのかな? 別に完成度が高くなくても、あの半端に良いことを言おうとしている感じが、面白いのにな」
代々木くんは、僕と同じようにnoteを書いていたのですが、それも止めてしまいました。その理由は、「これ以上、いい文章が書けないと思うから」。
しかしながら、完璧に面白い文章を書かないからこそ、代々木くんの魅力なのであり、その創造性を失ってしまえば、ただの凡人です。
僕は、千葉くんからの後押しもあり、代々木くんに正直に伝えました。
「代々木、あくまで俺の個人的な考えだけど、お前の良さは優秀さに付随した創造性だ。いろんなことに挑戦しながらも、そこにお前らしい創造性が乗っかるから良いんだ。その創造性がしょうもなくても、お前にしか伝えられない表現があるから、俺とお前は仲良くなれた。だけど今、その武器を失って、お前は凡人に成り下がっている。できれば今すぐに、誰でも使う表現を繰り返すのは、もうやめてほしい」
結構、本気で熱弁しました。
代々木くんは、その言葉を真剣に聞いていました。思い当たる節があったのか、かなり落ち込みながらも、納得していました。
ただ、僕自身も、これが正解なのかは分かりません。
僕の考えを言ったまでなので、そこからどうするかは、代々木くんの判断です。
さて、そんなことを書いているまさに今、代々木くんからLINEがきました。
内容は、失くしていたものが見つかったことについて。その嬉しさを、代々木くんはこう表現していました
「天地創造万物このかた、喜びはふたしおです。」
よくわかりませんが、かつての代々木くんに戻ったようです(笑)。
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