【闇の守り人】 書評#78
みなさん、いつもお世話になっております!
本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。
自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!
今回は、ジャンル的には児童文学です!
小説であり物語としての児童文学。マジ最強な本の第2弾です!
ヘッダーは、中根秀樹さんの作品を使わせていただきました!
本書のテーマは「闇」。
中根さんの説明に
「青空は見えない 雲の洞窟の向こうに光が見える 闇の中に光の形がほのかに見える」
とありました。まさに本書のストーリーイメージにぴったりです!
ありがとうございます!!
目次
基本情報
上橋菜穂子(著)
新潮社 出版
2007年7月1日 第1刷発行
全387ページ
読書所要期間10日
私が本書に出会うきっかけ
#76で本作品のシリーズ第1弾である「精霊の守り人」について書いた。
それを貸してくださった先輩から、二冊同時に貸していただいたもう一つが本作である。
先輩曰く、「弾を重ねるごとに面白くなっていく!」ということで、楽しみに読み始めた。
この本の本質
30歳を過ぎた用心棒の主人公バルサ。
実は女性なのだが、性別など全くの問題にならないほど、とてつもなく強い。
そんなバルサは、25年ぶりに生まれ故郷に戻っていく。
きっかけは、前作「精霊の守り人」で描かれた様々な人々との出会いからの気づきにより、バルサ自身の過去と向かい合うためということができるだろう。
その過去とは、バルサの育ての親ジグロについて。
ジグロから受け継いだ短槍に刻まれた模様を頼りに、凍てつく山脈の下に張り巡らされた洞窟を抜けて戻った故郷。
そこにもまた運命のいたずらか、彼女の帰郷をきっかけに、山の底に潜む大きな闇が目をさます。
その闇とは、様々な側面がある。
・物理的な暗闇
・自身の内面世界としての闇
・魔物としての闇
・守神としての闇
登場人物のそれぞれの立場から見える、様々な側面の「闇」との戦い。
これが本書の見どころである。
私が感じたこと
1点目 〜条件設定
本書は、全部で5章立て。
第1章でページ数の概ね1/3を使うが、122ページをかけてこの物語、バルサの旅の背景やその目的が整理されていく。
とてつもなく丁寧な導入により、前作「精霊の守り人」を読んでいなくても十分に楽しむことができるような仕組みとなっている。
また、文化人類学者としての見識から生み出されるのか、単語(人名や地名などを含む名詞)がリアルにありそうでフィクションであるような、引き出しの多さに驚かされる。
2点目 〜闇とは・・・
本作品のキーワードとして『嘘』があると私は考える。
そして、闇=嘘ということが、本作を読んでの私の解釈である。
バルサの過酷な生い立ちも、悪い奴らの嘘から始まる。
バルサの両親が、嘘から守るために幼い主人公を他者へ託す。
その他者の影を追って、本作で描かれるバルサの旅は始まる。
その他者である養父も、嘘により悪人に仕立て上げられ、そのまま死を迎える。
その嘘を守るために、悪人がまた嘘で塗り固めていく。
バルサの戦いは、この嘘で嘘を分厚く塗り固められた嘘との戦いでもある。
むすびに
闇とは嘘であり、闇とは自分自身でもある。
嘘との戦いであり、自分自身との戦いでもある。
特に本書から私に強く投げかられたのは、登場人物の自分自身との戦いを通した、私と私自身との向き合い方である。
これがアナロジーとなって、私自身、つまり私のこれまでの人生のプロセスを省みることが促される。
つまり、
「私自身の中の闇とは一体なにか?」
「そもそも私自身に闇はあるのか?」
「それとどう決別していくのか?」
ということを突きつけられるのである。
以上です。
これは本当に児童書か!?
著者の後書きにもあるとおり、本作は大人に大変人気があるということですが、とても納得させられます。
登場人物たちは、果たしてそれぞれの闇に打ち勝つことができるのか?
これが本書の結末であり、ストーリーの全体像ということになるでしょう。
そして本書を読み終えた時、今度は読者自身の闇との戦いという新たな旅が始まることでしょう。
さぁ、皆さんそれぞれの旅へと出発だぁ〜!!
ありがとうございました!!
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