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稲ほ舎が「有機」を選択するワケ

田植えがスタートして約1か月たちました。

とある日の雨上がり。きれいなアーチになっていますね。

田んぼチームのへーさんに聞いたところ、そろそろ農薬を使わないお米の田植えをするよーとのこと。

それが終わると、銀のすずめ(減農薬カグラモチ)の田植えをして、今年の田植えは終了になるそうです。

大きなトラブルもなく(小さいのはあったみたいですが笑)順調に進んでいるようで、何よりです。

さて今日は、稲ほ舎の主力商品である、減農薬栽培の銀シリーズについて書いていこうと思います。

お米の種類と、有機栽培を選ぶ理由をまとめていきますね。

銀シリーズのお米たち


お手頃価格とそのおいしさで、人気のお米たち。

一番人気はなんといっても、コシヒカリ。
「銀のとんぼ」の名前で売っています。

どんなおかずとも相性抜群。田んぼの地主さんや、飲食店さん、お弁当屋さんなど、たくさんの方に使っていただいています。

リピーターが多いのは、ミルキークイーン。
「銀のどじょう」です。

去年の収量が少なめだったのと、固定ファンが多い品種で、令和3年産の販売は早くも終了となりました。独特のもちもち食感と甘みがたまりません。

逆に、あっさりさっぱり系が好きな方におすすめなのが、ゆめみづほ。「銀のあめんぼ」です。

パラリとしたお米なので、チャーハンや酢飯との相性が抜群。ジメジメする梅雨の時期に特におすすめしたい品種です。

去年デビューした、減農薬で育てたひゃくまんごくは人気急上昇中の品種。「銀のほたる」です。

大粒で冷めてもおいしいので、お弁当にもぴったり。石川県が開発した品種です。

これら4商品を減農薬で育てているのですが、前回は農薬について書きました。

今回は肥料について書いていきたいと思います。


肥料って何?堆肥との違いは?


稲ほ舎の銀シリーズは、鶏糞堆肥と有機肥料で育てています。 

堆肥と肥料の違いは、ものすごくざっくり言うと

堆肥は、土の為に使用するもの。
肥料は、植物の栄養になるもの。

稲ほ舎では田んぼの土の状態を良くするために、鶏糞を微生物で腐熟させた堆肥を、田起こしのときに土に混ぜ込んでいます。

植物の成長のための肥料には、窒素、リン酸、カリなどが含まれていますが、一般的に有機肥料はゆっくり長く、化成肥料は素早く短く効果があります。

稲ほ舎の銀シリーズは「有機肥料90%使用」なので、10%は化成肥料ということになります。

種まき作業の際には、苗箱に土をのせていきますが、その土に化成肥料が入っています。苗を育てる分だけ化成肥料を使用し、そのあとの工程ではすべて有機肥料を使っています。

そのため実際は有機肥料の割合はもっと高く、99%くらいだと社長は言っていました。

シールの表示がなかなか直せていないという、社内事情を暴露しましたが、10%よりも低い値なので、より安心して召し上がっていただけると思います。

そもそも「有機」って何?


有機肥料は、油粕や鶏糞など自然のものを原料に作られています。

反対に化成肥料は、鉱石などの無機質を化学的に加工して作られた肥料です。

微生物などの力に任せるか、人が人工的に手を加えているかも、大きな違いになると思います。

有機肥料がよくて、化成肥料が悪いというわけではありません。
どちらもメリット、デメリットがあります。

ただ有機肥料や有機堆肥を選択する方が、稲ほ舎の考える田んぼの未来につながると思います。

テクノロジーや機械の力も借りるけれど、できるだけ自然に近い形で農業をする。効率のみを重視せずに、土壌の地力をあげていく。田んぼに住む生き物たちが、少しでも住みやすい環境を残していく。多様な生物が住める場所であってほしい。

そんな想いを達成するための一つの手段が、有機のものを使うという選択です。

ただし「有機」という名前を使うためにはルールがあります。

有機JAS認証されたものだけが、有機の表示をすることができます。

稲ほ舎は現在、JAS認定を取得していません。でもJAS認定された有機肥料を外部から購入しているので、有機肥料使用と書くことはできます。

https://www.marui.or.jp/shouhin/fertilizer/ 

マルイ有機さんは九州の会社です。いも焼酎のメッカなので、その焼酎カスを使って鶏糞をしっかりと発酵させてくれています。品質の良い堆肥なので、稲ほ舎はここから購入しています。

稲ほ舎がやっていること


稲ほ舎はJAS認証をとらないの?と思う方もいるかもしれません。
この辺りは長くなりそうなので、今回は割愛しますが、また別途書きたいと思っています。

稲ほ舎でもっとも大事にしているのは、土作り。
そのため米ぬかやもみ殻なども、堆肥として混ぜ込んでいます。
田んぼの地力を上げること。そこを一番大事にしたいと考えています。

見せかけだけの「良いお米」を作りたいわけではない。
有機肥料を使えばいいというわけでもない。

おいしいお米を、手の届く価格で提供する。

それが今の稲ほ舎の一つの答えです。

社長のお父さんの代から変わらない米作りの姿勢は、おいしいお米を作るには、どうしたらいいかというもの。

肥料に頼るのではなく、稲が育つ土壌を大事にする。

それは「生きるものにやさしく」という、稲ほ舎の米作りの基本につながっています。

自分ならどうする?


社長から話を聞いて思ったのは、一人ひとりが、それぞれの軸を持って、選択をして行動していくことが大事だな、ということです。

変わってもいいと思います。

頑固にこれ!というよりは、そのときの状況を柔軟に受け入れて、その時々で最良の答えを出していく。

だから今の稲ほ舎のカタチが、ベストとは言えないかもしれません。
JAS認証をとるかもしれないし、資材価格が高騰しているので、価格も考えないといけないことの一つです。

それでも何を大事にして、選択をしていくかという意識は大事だと思います。

誰にとっても、とはいかなくても、生きるものにやさしい田んぼを守り続けるために、ベターなやり方を模索していく。

わたしは稲ほ舎の一従業員にすぎませんが、子どもたちの未来へ田んぼを残すために、一緒に考えていけたらなと思います。

今月は田植え体験会もする予定です。

実際に田んぼを見て、苗に触って、泥の感触を素足で感じる。
そんな時間を楽しんでもらえたらと思います。


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