個人個人が働き方を改革する時代

 なぜ、今回「昭和平成型サラリーマンVS令和型フリーランス」というテーマで書こうと思ったのか。それは働き方というテーマにおいて大きな転換点を迎えている中、全くエリート街道ではないフツウのサラリーマンだった私が50歳でフリーランスになった経験や周りのフリーランスから得た気づきが役立つのではないかと思ったからです。

 最近では大手損保会社が「4000人を削減し、買収した介護人材へまわすことを発表」という報道がありました。記事によると、平均して一人250万円の年収ダウンになるようです。特定の業界に限らず、銀行、電機、製薬など様々な業界で早期退職を募る動きも増えています。その数は2019年上半期で8000人(上場企業)となっており、前年の倍のペースです。いずれも中高年のボリュームコストが課題になっていることが要因です。中にはリストラ対象者や早期退職者向けに起業や転職がスムーズできるようプログラムが構築されている例もあるようですが、このような処遇はレアケースです。

 こうした時代背景において、働き方改革はもはや会社による改革ではなく、まさに個人個人が自らのキャリアパスを見据えた働き方の改革をしていかなければならない時代になってきています。人生100年時代に対してネガティブなとらえ方をするのではなく、むしろ恩恵を受けるために、一人ひとりがどのような働き方をすればよいのか。この問いに対して、ヒントを提供していけたらと考えています。

・年功序列、終身雇用が前提でスキルアップが後回し
 生産性を高めるためには昭和型から脱却すべきと言われて久しいです。生産性を高めるためには、個人のスキル向上が必要ですが、諸外国と比較して日本のビジネスパーソンの競争力は驚くほど低いのが現状です。スイスIMD2019年版競争力ランキングによると、1990年前後に1位だった日本は総合順位で30位。語学力が63位、経営幹部の国際経験63位、デジタルスキル60位、データ活用力63位と、対象63ケ国中最下位レベルの項目が続きます。昭和型と言われる、年功序列、終身雇用という環境の中で、個人のスキルアップが後回しになってしまっているのが現状です。

 ベストセラーとなった「ライフシフト 100年時代の人生戦略」では、生産性資産に言及しています。生産性資産とはすなわち「仕事の生産性を高め、所得とキャリアの見通しを向上させるのに役立つ資産」のことを言います。さらに「最もわかりやすい生産性資産は、長年かけて身につけたスキルと知識だ。知識を蓄えるには相当な時間をつぎ込まなくてはならない。教育を受けたり、特定分野の仕事で実践を通じて学んだり、コーチやメンター、同僚の話を聞いたりする必要がある。労働市場の状況が変わり、新しいスキルの習得が求められるペースが加速していることを考えると、この種の資産の価値は大きい。そこで、どのように投資をおこない、どの分野のスキルと知識を身につけるべきかが重要になる」と述べています。老後については年金をはじめ、とかくお金の話に集約されがちですが、著者はこうした無形の資産こそ目を向けるべきだと提唱しており、まさにその通りだと痛感しています。

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