フリーランスになってから得られる恩恵

・本来やりたいことに集中できる
 フリーランスは社内行事や新人育成といった役割もありませんので、やりたいことだけに専念すればいいという状況にあり、これは大きな恩恵の一つです(社内行事、新人育成に適正を感じている人はサラリーマン社会も悪くないのかもしれません)。

 フリーランスにとってやりたいこと。それはやりたいテーマの研究であったり、クライアントに対する業務だったりします。組織では内向きのエネルギーを使った業務に疲弊し、クライアントの業務に支障を来たすといったこともありがちですが、これでは本末転倒です。一方、フリーランスは自分が何をするかという裁量権があり、クライアント貢献につながる業務に集中できます。その結果として独立前より、独立後のほうがクライアント満足度は上がりやすい環境になると感じています。


・パーソナル・ブランディング
 組織に所属しながら自分ブランドを築くことは、なかなか簡単なことではありません。例えば仮に自分自身が書籍の出版機会に恵まれたとしても、あるいは、テレビ局から取材依頼が来たとしても、当然自分というより、会社のブランドが前面に出ますので、自分ブランドにはつながりにくいです。また、自分宛に依頼が来たとしても、上の役職の人が対応することというケースも多いです。


 しかしながら、フリーランスであれば、自分に依頼が来た案件はもちろん自分で対応できますし、業界の有名人とは行かないまでも、個人のイメージや信用度を高めながら、一定のブランディングを築くことが可能です。出版や取材に限らず、日々の実績やスキルを重ねながら、自分ブランドを築いていけることもフリーランスの醍醐味の一つです。


・会議が一切ない
 「会議参加者を1/2に、会議回数を1/2に、会議時間を1/2にすることで、会議に要する時間を1/8にした」という話をあるIT系のビジネスマンから聞きましたが、生産性向上においてほぼ例外なくテーマにあがるのが会議の削減です。LINE元CEOの森川氏も「会議はしない」と著書の中で言及しています(後述)。中には本当に有意義で建設的な会議もありますが、やはりもっと減らせるのではという声が圧倒的に多いのが現状です。いくらZoomなどミーティング用アプリを活用したとしても、会議の数や時間が減らない限り、時間を縛られてしまうことに変わりありません。
 

 基本一人で現場を見たり、移動したりすることを好む私は、社内に朝から夕方まで終日参加する会議が人一倍苦手でした。私は社内の会議自体を有意義なものにする働きかけが足りなかったといえばそれまでですが、独立した今はこのような会議は一切なくなり、時間を自分の裁量で使えるようになったことは大きなメリットの一つです。
(もちろんハラスメントもありません。ハラスメントも会社に行かなければいけない状況にあれば辛いものですが、行く必要がなければ、そういったものは一切ないのです)


・自分の価値観、価値基準で物事を判断できる
 前職では組織も大きくなり、どちらかというと言われたことをきっちりやる従順なタイプが求められるように変化しつつありました。そのような方針の中、クライアントに対して個人の裁量で提案できる領域は年々少なくなりました。会社が成長する過程で致し方ないことかもしれないですが、自分の価値観や方向性とベクトルを合わせることは私にとって簡単なことではありませんでした。


 フリーランスになった現在は自分の道徳観、価値基準で判断し、行動できます。フリーランス白書2019で今の働き方(フリーランス)を始めた理由の1位が「自分の裁量で仕事をするため」でしたが強く共感します。デンマークの従業員を対象とした調査でも「自己裁量度の高い男性従業員の約9割、女性従業員の85%が自分の仕事に満足していたのに対し、自己裁量度の低い社員の満足度は56%だったそうです(ヨーロッパ労働安全衛生期間)。高い自己裁量度こそ、自由だと言えます。


・発言の自由
 組織に所属していますと、どうしても、発言が制限されるものです。平社員や中間管理職程度ならなおさらです。よほど役職が上に上がっている場合は該当しないのかもしれませんが、それでも自由に発言できるかというとなかなかそうはいかないと思います。「一言多い」「それは言うべきではない」等々、指摘されて窮屈な思いをいだいているビジネスマンも多いのではないでしょうか。その点についてもフリーランスなら自由です。発言の責任は100%自分にあるということでもありますが、自由と責任を感じながら働くのもフリーランスの醍醐味です。

・苦手な人と付き合わなくて済む
 理不尽な指示や叱責に耐える必要もありません。また、単に人をコントロールしたいというコントローラータイプの人と一緒に仕事しないといけない状況は大変なストレスです。さらに、エネルギーを吸い取られてしまうようなバンパイア型(ナルシスト)の人も厄介な存在です。もちろん、そういう人間からも学ぶことはあるのは確かです。しかしながら、限られた人生において、自分の強みを最大限に活かしながら、クライアントに役立つこと、社会に役立つことに専念したほうがいいというのが私の考えです。自分も自己効力感を感じながら、クライアントや社会にも貢献できるなら、理想的なかたちです。ぜひ三方よしのかたちを築きたいものです。

 人によっては、完全テレワーク化により、通勤の苦痛がなくなった、趣味の時間が増えた等様々な恩恵があると思いますが、いずれにしても、限りなくストレスフリーの状態になれる可能性が広がります。

 保証がないと思われるかもしれないですが、新型コロナウィルスによる経済低迷で名だたる大手企業も政府による融資を頼る状態です(サラリーマンは副業が軌道に乗っていない限り、1社しか収入ルートがないです)。一方、フリーランスで仮に10社のクライアントを持つことができれば、その者数分だけリスクヘッジになるのです。

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