趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.265 映画 山田洋次「男はつらいよ 寅次郎の休日」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は映画 山田洋次の「男はつらいよ 寅次郎の休日」(1990/日)についてです。
男はつらいよシリーズ43作目、もうシリーズ後半でほぼ主役は寅さんの甥の満男と泉(ゴクミ)が話を引っ張っていく。
確かに寅さんが活躍するシーンは少ないが、それでも甥っ子の成長を見守りつつ
要所要所で満男を励ます。寅さんの台詞にジーンときました。それは後ほど。
今回一番印象的なのは満男と泉が新幹線のシーンで、あれ?これ「男はつらいよ」なの?と思うほど青春が爆発してキュンキュンしました。徳永英明が流れますw
今シリーズをもう9割がた見ているので満男が小さい頃からの成長を見てなんだかとても親近感がある。そうとらやで唯一成長をしていく存在。
両親のさくらや博の愛情を受け、おいちゃんおばちゃんに可愛がられ、そして人生や恋愛に対してベテランのおじさん寅さんがいる。
こんなに愛されている人はいないんじゃないか。
特に人生を考えたり恋愛に夢中になる思春期に、相談する相手がいるなんて。
今回は寅さんとの珍道中も良いコンビ。
寅さんがあまり出ないのに、満男を通してより大きな存在として感じる作品でした。
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物語は、寅さんの甥っ子の満男(吉岡秀隆)は無事合格して晴れて大学生。学校まで遠いので一人暮らしをしたいと言い出す。
ある日満男が好きな泉(後藤久美子)が東京にやってくる。名古屋に住んでいる泉が上京した理由は別居中の父親に会って母親とよりを戻してもらうためだった。
満男は泉が父親の勤め先の秋葉原までに一緒に行くことにする。
しかし父親はもう会社を辞めて、交際女性の故郷の大分に行ってしまった。
ちょうど旅から帰ってきた寅さんとさくらは、満男と泉から事情を聞き、
父親のことは諦めて、母親の元へ帰ると聞く。
翌日東京駅まで見送り行った満男は、泉から新幹線が発車間際に、諦め切れなく大分まで行くと聞かされ、咄嗟に新幹線に乗り込んでしまう。
新幹線の中から泉と一緒に大分まで行くと満男から連絡があり、さくらと博は心配するが寅さんは満男を子供扱いするなと言う。
そこへ泉の母親(夏木マリ)が泉がとらやにやっかいになったと挨拶にくる。
美人の母親に一目惚れして寅さんは前言を撤回して、満男たちが心配だと母親と寅さんはブルートレインに乗って追いかける。
深夜ブルートレインの中、母親からいろいろと話を聞く。
一方大分に着いた満男と泉は、泉の父親(寺尾聰)の元へ。
連れ戻そうとしたが、父親が交際している女性(宮崎美子)がとても優しく、父親が幸せそうな姿を見て、泉は立ち去る。
父親を取り戻せないことで泣き崩れる泉を満男は慰めると、そこに寅さんと泉の母親の姿が。
四人は近くの温泉の宿に泊まることに。夕食ときに女中が四人を見て良い家族だこと言われ、調子に乗る泉の母と寅さん。
深夜になり母娘の部屋から母親が泣いている声が聞こえ、寅さんと満男はなんとも言えない感じに。
翌朝泉たちは置き手紙をして名古屋に帰り、手紙を見つけた満男はバスを追いかけ
泉を見送る。
満男と寅さんも柴又に帰り、寅さんはまた旅に出る。
後日泉の母親が務めるクラブに出勤すると、花束を置いて立ち去ったと聞く。
寅さんからだった。クラブの女性たちからあの男性は誰と聞かれ「恋人よ」と言う。
正月満男は泉が柴又に遊びにきたと電話で知り、自転車でとらやへ向かいながら
「幸せとは何か」と遠い旅先にいる寅さんへ問いかける。
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寅さんと泉のお母さん、満男と泉という2つの恋愛模様が同時に走り、
素直で可愛い泉が、両親が別居してしまうほろ苦さも。
王道ながらさすがな構成で、寅さんやとらやのメンバー(おいちゃんおばちゃん御前様)があまり出ないのに、キャラ立ちしている満男や泉や泉のお母さんが話を面白くしている。
特に泉役の後藤久美子さんの美しさは格別で、お母さんが水商売をしている夏木マリ、違う女性のところへ行った父親寺尾聰という環境なのに、全く擦れていないところが良い。
満男が惚れてしまうのはわかる。
夏木マリさんも水商売役ピッタリ。妖艶な美しさ。
寅さんは歌手のリリーととても仲が良いが、泉の母とは何もなかった。
似たタイプなのに、何か根本的な部分が違うんでしょうね。
寅さんに心を開くかどうかでしょうか。
新幹線と言い、ブルートレインと言い、柴又駅のホームと言い、
電車のシーンはいろいろとドラマがありますね。
今日はここまで。
「困ったことがあったらな、風に向かって俺の名前を呼べ。
おじさん、どっからでも飛んできてやるから。」
柴又駅で旅立つ寅さんが満男にいう言葉
/「男はつらいよ 寅次郎の休日 」より