趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.029 読書 月村了衛「機龍警察 自爆条項」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は読書 月村了衛さんの「機龍警察 自爆条項」についてです。
先日第一弾の「機龍警察」を読んで00年代SFの代表作「虐殺器官」以来の衝撃を受けました。
もう10年度のSFの代表作は今作なのは間違いがないです。
至近未来の機甲兵装(パワードスーツのような)で戦う警察小説。
続きが気になり、居ても立っても居られないので、早速第二弾「機龍警察 自爆条項」上下巻を読む。
今回は警察に雇われた傭兵(龍機兵の操縦士3人)の一人、ライザ・ラードナーに焦点が当たる。
彼女はアイルランドのテロ組織IRFの元テロリストで、組織から離脱して今は警察の傭兵に。
全く感情を表に出さずに、淡々と仕事をこなす。
テロ組織のリーダーの命令で裏切り者を殺す処刑人だったので別名「死神」と呼ばれていた。
その彼女の過去が綿密に語られ、なぜテロ組織に参加し、なぜ死神と恐れられるほどの人間になったか。
そしてなぜ彼女はテロ組織を離脱したのか。
上下巻で語られる女性の哀しき半生が胸を打ちます。
もうテロ組織の訓練のシーンは壮絶すぎて、この小説はフィクションですが
もしかして本当に似たような訓練する場所があるかもしれないと恐ろしくなりました。
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物語は、機甲兵装の密輸事件を捜査していた特捜部は
北アイルランドのテロ組織IRFによるイギリス高官暗殺計画を掴んだ。
その高官が来日するまでに計画を防ごうと捜査を開始する。
今の捜査と同時に、龍機兵のパイロットで傭兵、元テロリストのライザ・ラードナーの壮絶な過去が語られる。
なぜ彼女はIRFに入ったのか。徐々に語られる彼女の過去。
そして高官暗殺を企てるIRFのメンバーやリーダーももうすでに日本に入って来ていた。
組織の裏切り者のライザの暗殺も第二の目的とわかる。
刻一刻と来日まで時間が迫る。必死に捜査をして、IRFを追っていく。
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もう第一弾「機龍警察」を軽く超えているほどの面白さ。
死神と恐れられているライザの過去を深掘りしていく、
と同時にタイムリミットがあるテロ組織を暗殺計画の阻止が交互に語られる。
過去と現在がいろいろな人間や想いが絡まりながら語られるのって最高!
”死神”の正体がわかり、テロ組織へ入って出ていった理由もわかり、
感情を出さなくなってしまった理由がわかったとき、
そしてテロで家族を失った技術官とライザとの交信。
自分の涙腺はここで崩壊しました。
今日はここまで。
頭を振って雑念を払う。やめよう。兵士が待機中に考えすぎると体力を消耗する。
自分の仕事はコンディションの維持だ。/P.344 「機龍警察 自爆条項」上巻
↑まさに自分(カメラマン)も兵士のようなものなので、悩んで考えるより、体力、精神を安定させ最高のコンディションの方が良い。