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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.020 読書 月村了衛「機龍警察」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は読書 月村了衛さんの「機龍警察」についてです。

この本は「このミス」の創刊30 周年記念の本で1988~2018のベストテン企画に

一冊だけでなくシリーズが4冊もランクインされていたので、少し気になりました。

2012年9位 機龍警察 自爆条項
2013年3位 機龍警察 暗黒市場
2015年5位 機龍警察 未亡旅団
2018年3位 機龍警察 狼眼殺手
そして今年も
2022年3位 機龍警察 白骨街道 

題名が「機龍警察」、ここ最近「新宿鮫」や佐々木譲さんの警察小説にハマっていたので、同じ警察ものかと思いました。

そしたら、近未来いやもっと近い至近未来のロボット(パワードスーツ)を扱う警察小説でした!

SF?いやミステリー?、「このミス」に入るぐらいだからSF要素があるミステリー(警察小説)で良いのでしょうか。

早速読み始めました。

!!!!

面白すぎてページを捲るのが止まらず一気読み!

やばい!これは久々に自分の中で大ヒット。ゼロ年代の「虐殺器官」以来の10年代を代表する作品だと思います!

こんなに面白い小説を知らなかっただなんて!罪深い。

けど知れてほんとうによかったです。

早くこのシリーズを読みたい!と思うほど。

久々にハマれるシリーズを見つけました。



物語は至近未来の日本。世界でテロや紛争が広がり日本も安全ではなくなってきた時代。

そんなテロリストに立ち向かうために警察の中の特別な機関の特捜部は近接戦闘兵器のパワードスーツの新型機“龍機兵"を導入する。

物凄い破壊力を持つマシーンのためその世界の最高の乗務員に3人の傭兵と契約をする。

同じ警察の中でも特捜部は孤立し、3人の乗務員は傭兵なので、忌み嫌われていた。

ある日、機甲兵装したテロリストによる立て篭もり事件が起こった。

特捜部の3人は他の警察SATのバックアップにまわるが・・・。

と、これはほんの序章で、ここからすごい展開になっていく。

全部書くとネタバレと文字数が足りなくなるので割愛。

もうこれでもかと戦いやミステリーがてんこ盛りで、キャラクターの過去や謎もどんどん引き込まれていく。

メインキャラクターは雇われた傭兵の姿さん。明るく飄々とした性格。だが傭兵としての経歴は世界最高レベル

もう一人はユーリ・オズノフ。元モスクワの警察官。

最後のひとりはライザ・ラードナー、女性、元テロリスト、死神という異名で知られている

もうこの龍機兵の乗務員の3人だけでもキャラ立ちしていて面白い。

その3人の上司が沖津旬一郎。元外務官僚でキレもの。詳細な経歴は謎に包まれている。

他にも敵もいっぱい凄いキャラが出てくる。

作者の月村さんは59歳、元々はアニメの脚本を書いていた方。

そう言われるとアニメ的な雰囲気もある。




ざっくりとこの作品の印象は、パワードスーツを着て戦う近未来の警察の話なので「攻殻機動隊」や「パトレイバー」に似ているか。

ロボットは出てくるが「ガンダム」や「エヴァンゲリオン」より、より現実に近い。

未来でも日本の縦割りな警察機構は変わらず、異質なものは排除、同族意識。

近接戦闘兵器の機甲兵装などのメカの描写はリアルでかっこいい。

人が虫けらのように死んでいく残虐な表現も凄い。

主役たちは傭兵で警察にいるところが面白い。


戦争がテロや民族紛争が多くなったので、大規模破壊兵器が衰退し、
索敵技術とその対抗技術が発達し、市街地での近接戦闘を主眼とした兵器体系
と書いてある。

ウクライナでもジャベリンで戦車が破壊されているニュースを見るとリアリティがあるなと思います。





ゼロ年代が伊藤計劃さんの時代だったがもう今は10年代なんですね。

久々に胸躍るほどワクワクしました。

今日はここまで。




特捜部の上司沖津が乗務員の姿と話すシーン
「俺、王富國、それにネヴィル。東ティモールで同じ部隊にいた三人がこの時期に顔を揃えている。中東やアフガニスタンのような紛争地域ならともかく、この日本でね・・・・どう思います?」
「『偶然を信じるな』。外務省の鉄則の一つだ。」
「俺たちの世界でもおんなじですよ」/「機龍警察」より P.160










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