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地方BtoBがWeb活用を始めるなら、最初の一年は開墾と土の掘り起こしに使いましょう。

バリバリ営業最前線のおじさまたちの「Web活用〜?」と(やや)疑いの目から始まった部品メーカー様のWeb活用支援。おじさんたちとは数ヶ月で打ち解けたのだけど、彼らの文章を書くことへの苦手意識がなかなか取れませんでした。Web活用ではコンテンツが重要なので、この苦手意識は払拭する必要があります。持っていてもいいことは一つもない。

ニュースレターを試す

色々考えた結果、こうなったらショック療法だと「月に一度のニュースレターを配信することにします。ひとり200字とかでいいので毎月必ず書くように!」と発令したのが一年前です。おじさんたちは「ええー!」と宿題を出された小学生の反応でしたが聞く耳を持たず押し通しました。KPIなんて設定しない。苦手意識の払拭が目的なのでそんなのちょこざい。毎月書いたらそれが成果です。内容も結果も問わない。そんなこと言ってたら萎縮する。

ノリノリになるおじさんたち

最初は恐る恐る当たり障りのないことを書いていたおじさんたちもニュースレターを重ねていくうちに訪問先から「読んでますよ」「やっと会えました」と言ってもらえるようになったらしく。こうなるとおじさんたちはノリノリです。今ではひとり1000字をざらに書いてきます。仕事や製品の話なんてガン無視。若い社員さんの方が自社製品について一生懸命書いています。BtoBのニュースレターの定石から見たらぜんぜん的外れなのですがぼくもそんなことを気にしません。「書く喜び/届いた喜び」をせっかく体験してくれているんだから。こんなに優れた教材はない。

一年続けたら持ち味が出てきた

KPIなんて気にすんな!と自分に言い聞かせて一年続けていたら、なんとまあ皆の文章がこなれてきたんですよね。おじさん&若者あわせて6名の混合チームで全員に書いてもらっているのですが、一年続けていたら各々がテーマや持ち味を発見し始めている。十人十色の内容で読んでいて楽しいし、6人それぞれの雰囲気が伝わってくる。営業スタッフそれぞれの人がらを継続的に伝えるメディアとして十分成立してきました。ちょっとびっくりした。

マインドの醸成

今月のニュースレターで営業部副部長がこんな風に書いてくれてました。

「このニュースレターも中身の是非はあるでしょうが、私たちの人となりを少しでも感じていただき、距離が縮まればうれしいなぁという思いで続けております」

いやもう、この言葉が出てきただけでぼくにとっては大成功なんですよね。Web活用とかインバウンドマーケティングとか日頃から言っていますが、その核になるもので本質的なことは「そのマインドを持っているか」だと思っています。顧客の役に立ちたい。届けたい。信頼関係を作りたい。それが核になる。

「Web活用〜?」と疑いの目から始まった活用支援ですが(根に持っている)KPIも設定しない無謀無策なニュースレターをやり続けることで、「大切なことは何か」というマインドセットは用意できたと思いました。カタカナの専門用語は全然知らないけれど、本質は掴んでいる。おじさんたち、そういうのはやっぱり優れているんですよね。営業を最前線でやってきた人たちなので。

「Webは仕事に使えるぞ」「自分たちの経験が応用できるぞ」と実感したおじさんたちは前のめりです。社内予算は取ってくるし、今ではWeb活用に興味津々で他社事例を見ては「こういうのどう?」とやたら聞いてくるし、Webサイトをリニューアルしたがるし。Web活用〜?とか言ってたくせに。(根に持っている)

地方BtoBのWeb活用支援ではこの状況を作るのが大切なんですよね。そのために重要なのが「マインドセットの醸成」だと思っています。種を撒く前に森を開墾し、土を掘り起こすようなものです。環境整備をしないで種(手法)だけ撒いても芽が出る訳ないし、出たとしても効率悪いし大きく育たない。地方BtoB企業がWeb活用を始めるならば、最初の一年は開墾と土の掘り起こしに費やすくらいで丁度いい。ぼくはそう思っています。

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