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「会社の評価は人格の評価ではない」と捉える重要性について。

株式会社アナグラムさんの『人事評価について考える』がすごく面白かったです。ちょっと長いですが引用します。

人事評価とは、一定期間の働きを振り返り、給与に反映するものです。
どうしても機械的に「半年」「1年」と期間を区切ることになりがちなので、たとえメンバーが大きくジャンプする前にかがんでいるタイミングだったとしても、その評価期間内の働きで給与を決めざるを得ないという事情が出てきます。
また、「働き」というのは複雑なので、本来要素に分解できるものではありません。それを無理やり「評価制度」という要素に落とし込み、さらにシンプルな数字である「給与」に反映させる、という取り組みですから、そもそも完璧な評価というのは不可能だと考えておいた方がよいように思います。
ただ、完璧な評価はできないからあきらめるのか?と言われれば、そういう訳にもいきません。評価項目がなければ、社員はどう働いたらよいのかの指針がなくカオスな状態になってしまいます。
逆に、アナグラムが2017年に実施した100%定量評価のように、可能な限り完璧に近づけようと意気込んだガチガチな制度を作ったとしても、メンバーはその制度に縛られてしまうため「想定以上の働き」が生まれる余白がなくなります。
よって、完璧な評価はあきらめたうえで「ちょうどよい」と思える評価制度を設け、定期的にメンバーにフィードバックすることを目指していくべきではないでしょうか。

人事評価について考える

ベストはあり得ないがベターはあり得ると模索している感じがとてもいいですよね。会社のこういう姿勢が伝わることが人事評価という「暫定的ゲーム」においてとても大切だと思っています。

会社の評価は人格の評価ではない

ぼくは人事でも役員でも何でもないですが、人事評価とは社会における法整備に近いと思っています。そもそも法律とは社会をスムーズに運営するための手段であって、主役は人であり営みですよね。法のために生きているわけではない。しかも、それが最終結論ではない。ぼくたちの人生は生まれてから死ぬまでたゆたうものなので。たとえ法的にどんな結論が出ようとも人生においてそれは暫定的であり、ぼくたちの人生が川の流れのように流動的であることは変わらないし、流動的である状態を瞬間の刹那で切り取って評価すること自体が無理なわけで。自分の人格や人生が主役であって、評価や法的判断は属性にすぎない。でも、社会や組織というチームを運営するためには必要だから無理ゲーと知りつつもぼくたちは瞬間瞬間の評価をしているんですよね。波の形を定義するみたいに。波なんて「捉えた!」と思った瞬間に形を変えるものなのに。というか、連続性こそが波なのに。

とか色々考えると、アナグラムさんの下記の一文は大いに納得するし、大切な視点だと思います。

また、もう1点忘れてはいけないこととして、人事評価とその人の人格・思想はむすびつくものではない、ということがあります。あくまでその期間の働きを評価しているのであって、評価が悪かったからといって「あなたはダメな人だ」と言われているわけではありません。これはもちろん、評価する側も意識すべき事柄です。

4月1日の今日から社会人になる方たちが多いと思いますが、上記の一文は心の奥にしまっておくことをお薦めします。いつかあなたを救ってくれるかもしれないから。会社の評価なんてそんなもんだと思いつつ、「でも、自分のやりたいことをやるためには居場所を作っておくのが必要だからそのためにも会社の評価は利用した方がいいよな。まずはがんばってみるか」くらいが丁度いいと思っています。社会人へようこそ。歓迎します。仕事を面白がれると楽しいですよ。


追記

今日から社会人の方にもうひとつだけアドバイスするとしたら、「オフィスで鳴る電話には出ておけ」です。もう主流のツールじゃないけど。今やっておかないとこれからずっと「電話に出れない人/下手な人」になります。拙くても今なら笑って許してくれます。あれは「社会人らしさ」を身につけるいい訓練です。

仕事ではチャットやオンラインMTGが主流になって電話はサブ的なツールになりました。だからこそ今慣れておかないと「社会人らしい電話の出方や注意点」が身につかないままです。いい大人なのに電話に出れない/子どもみたいな話し方をする/要領を得ない/伝言できないのはかなりカッコ悪いです。

電話は声だけだからこそ「社会人らしさ」を身につける訓練に向いています。はっきり喋らないと伝わらないし、わかりやすく話を整理しないとイライラされるし、相手の名前や社名や要件をきちんと把握して必要な人に伝えないとトラブルになるし。「仕事のいろは」が詰まっています。お試しください。


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