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10年後に目から鱗が落ちた高畑勲の傑作『となりの山田くん』

『思い出のマーニー』を劇場で観たときにぼくは全然面白くなかった。でもその数年後、仕事でとても信頼していた同僚女性から「ジブリで一番好きなのは思い出のマーニー」と言われて。もしかしたらぼくの理解力不足で、人間的に成長した際に再鑑賞したら分かるのかも…と思いました。まだ観ていません。

思い出のマーニー

だから、映画でも本でも漫画でも人の感想を聞くのって大切なんですよね。ただ、ぼくは心がとても狭いので、信頼している人の感想しか響かないという弱点があるのですが。

高畑勲の『となりの山田くん』も劇場で観て全然面白くなかったのに、10年後に再鑑賞して「傑作だ…」と目から鱗が落ちまくりでした。あれは驚いた。10年前の自分が全然観れていなかったことが分かって鮮烈な体験でした。あまり知られていませんが、『となりの山田くん』はニューヨークの近現代美術館MoMAのパーマネント・コレクションにも入っているんですよね。素晴らしいことだと思います。

ホーホケキョ となりの山田くん

そして、『となりの山田くん』はぼくが大好きな映画『リトル・ミス・サンシャイン』の脚本家にも多大な影響を与えています。同作でアカデミー脚本賞を受賞した脚本家のマイケル・アーントが泣きながら高畑勲に感謝の意を伝えていたというエピソードがぼくは大好きです。

マイケル「ぼくは愕然としました。そして、感銘を受けました。こんな映画があったのか。こんな監督がいたのか。この世の中に、何ら特別でない家族のささいな日常を切り抜いて、このような傑作を作り上げてしまう映画監督がまだ残っていたのか、と。そして、思ったんです。この人がいるのなら、こういう映画があるのなら、ぼくもまだ脚本を続けられるのじゃないか、と。

 ぼくは、西海岸に戻りました。脚本は諦めるつもりでしたが、あなたの映画を見て、諦めることをやめました。脚本の執筆を始めました。あなたが『山田くん』で描いたように、自分の初心に戻って家族の日常を書こうと思いました。そして僕は、一本の脚本を書き上げました。それが『リトル・ミス・サンシャイン』という映画です」

リトル・ミス・サンシャイン

高畑勲の仕事はこんな風に色々な人に影響を与え続けているんだと思います。亡くなった今も。

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