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第11話 踏み込めない気持ち

濃厚(?)なキスを連発されて涙目で耐えた後、やはりというか何というか、流れがセックスの流れに。

キスで異文化を感じた私は、少し身構えた。どんなセックスをかまされるんだろうか…もしかしたらセックス自体の概念が違うかもしれないと、期待と不安が入り混じる。

不安はすぐに解消された。色々と少しきつめに吸われるが、通常(?)の流れで始まったのだ。

もうこのまま身を任せようとした。なんせ私たちには一緒にいる時間があと少ししかない。しかし、何かもやもやするのだ。このまま、何も気持ちを確かめ合わないまま流されていいのだろうか。というか、私は本当にこの人のことが好きなのだろうか…。

そんなことを考えていたら、ぺぺの手が私の胸にきた。

「わ!」

と、私は思わず振り払ってしまったのだ。

自分の気持ちより体の方が正直だった。やはり、自分の気持ちがあやふやなまま、流されてしまってはいけない。注)決してキスが痛かったせいではない。

ぺぺは予想外のことで驚いて、しばらく沈黙が続いた。部屋まで連れ込んでおいて、そりゃないだろうという感じだろう。ものすごい変な空気が流れた。

どうすればいいかわからない状態が続いた後、ぺぺがベッドサイドにあるメモ帳を発見した。ぺぺはそのメモ帳を手に取って、

「なにこれ?」

と聞いてくる。

実は夏子と私はメモ帳に、この旅行の記録を書いていたのだ。もちろん、今まであったことを詳細に書いているし、自分たちの気持ちなども書いている。

夏子は途中からショーンの家から帰ってこなくなったので、私だけ引き続き書いている。

説明すると、ふーんとペラペラめくる。もちろん記録は日本語で書いているからぺぺには読めない。焦らなくて済んだ。てゆうか人のもの勝手に見るなよ…


するといきなり、最後のページにぺぺが何か書き出したのだ。私はこの旅行の前に「旅の指差しミャンマー語」という本を購入して持ってきていたため、ミャンマー語がミミズが丸まっている感じの文字というのは知っていた。不思議な文字である。しかしぺぺの書くミャンマー文字は、それをさらに不思議にした文字だった。もはや、どこから始まってどこで終わっているのかさえわからない。説明が難しいが、タイ語、カンボジアのクメール語、ラオス語あたりが同列っぽい。

ペペは結構な長文を書き、それを見て少し寂しそうな顔をした。何が書いているのか気になって、なんて書いたの?と尋ねたが、笑顔ではぐらかされた。

結局その日は、それ以上のことはなかった。しかし一応言っておかなければと、「キスの仕方が私が今まで体験したものと少し違う」ということと、「私は優しいキスを好む」ということだけはっきり伝えた。次もしまたキスする状況になったときに恐怖を感じたくなかったからだ。

一応ぺぺは納得してくれたようで、吸う力はどんどん弱まり、最終的に完全に吸われないようになった。しかしミャンマー人(だけとも限らないが)、なぜあんなに吸うのだ…

つづく

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