見出し画像

第12話 メモの解読と彼の気持ち

私がなぜぺぺとの恋愛に踏み込めずにいたかというと。

①まずは言語の問題

当時、私は英語があまり得意ではなかった。というか使う必要がなかったために英語の勉強は大学受験までで終わっていた。一応受験英語は経験していたから、相手が何を言っているかはなんとなく聞き取れるレベルだったが、それを返すほどの会話力はなかった。

そしてぺぺ。ペペも前述のとおり英語はあまり得意ではなかった。彼はそもそも学校で英語など勉強してこなかったのだ。なぜなら小卒だから…(このあたりのことはそのうち詳しく)。

観光客が来るので接客的な英語はできる。しかしそのレベルだ。

こんな2人がどうやって恋愛などするのか。そもそも成立するのかが疑問だった。


②日本とマレーシアの超遠距離恋愛になる

日本とマレーシア、ご存じのとおり飛行機に乗らないと来れない距離だ。私は遠距離恋愛などしたことがなかったから、この超遠距離恋愛が続けられるのかがとても不安だった。


③彼との将来が見えなかった

もし付き合うとなると、その先の結婚のことまで考えてしまうのが恋愛だ。そこで問題になるのが彼の将来である。彼はミャンマーから出稼ぎにきた、超不安定な職業である。しかもワークライフバランスって知ってるってくらいめちゃくちゃ働くのである。そもそもの給料が安いから、めちゃくちゃ働いてやっとまともな収入を得れるらしい。

私立の女子大に行かせてもらった身分の私としては、貧乏を経験したことがないため彼との将来がとても不安だったのである。


以上のことから、踏み込めずにいたのであるが、走り出した気持ちはなかなか止めることができなかった。この時点で、私はぺぺのことを本気で好きになってしまっていたのである。


そんな感じでもんもんとしていたある日、ペペが朝から仕事ということで、夏子&ショーンカップルとビーチへ遊びに行くことになった。邪魔なのは1000も承知であるが、この国で他に遊んでくれる人はいない。申し訳ないが便乗させてもらった。

ビーチに行く準備をホテルでしていると、ショーンが私たちの関係を聞いてきた。

「もうぺぺとはやったのか?」

「やってない?なんでなんだ?!」

なかなかIt’s not your business(お前には関係ない)な質問だったが、ふと思いついたことがある。

ショーンもそういえばミャンマー人である。彼ならミャンマー語を解読できるはずだ。

そう思ってぺぺが書いたメモを出して翻訳を頼んだのだ。(最低?)


そこに書いてあった言葉で、私は不覚にも泣いてしまった…


ショーン曰く、こんなことが書かれていたようだ。

『ミャンマー人と日本人、貧乏と裕福、肌が茶色と白色、たくさんの壁がある。でも私の事がとても好きだ。どうしたらいいのだろう。』

そう、ぺぺも同じことを悩んでいたのだ。(私は決して裕福ではないが、短期間で2回もマレーシアに来たのが彼にそう思わせたのだろう)。私たちは同じ気持ちだったのだ。

不覚にも泣いてしまった私を見てショーンが言った一言を、私は今でも覚えている。

「ぺぺはミャンマー人、君は日本人、でもここは…マレーシア。本来出会うはずのない2人が出会って、お互い好きになるって、とても運命的なことじゃない?」

そうなのだ。たまたま入ったレストランで出会い、お互いがお互いのことを気に入り、そして好きになった…これってすごく奇跡的なことだ。

言葉とか、距離とか将来のこととか、色々不安はある。しかしこの運命の出会いに賭けてみてもいいかもしれないと思った。

そしてその日の夜。お互いに気持ちを確認し合った。そして、やっと恋愛をスタートさせたのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?