女性芸能人の結婚報道に関する違和感について

先日人気バンドの「いきものがかり」ボーカル吉岡聖恵さんが結婚されたとの報道がありました。とてもおめでたい話ではありますが、報道の内容について違和感を抱いたため、今回はこの違和感についてお伝えしたいと思います。

「今後も仕事を続ける。」という記事、必要?

吉岡聖恵さんの結婚報道の際、「今後も仕事を続ける」という一言が添えられていました。女性芸能人の結婚報道にはこの言葉が登場することが多いように感じます。どうして女性に関する記事にだけこの一文が必要なのか疑問を抱きます。男性が結婚した場合、今後も仕事を続けるという文言を報道するでしょうか。おそらくしないでしょう。

さらに、「妊娠はしておらず」という一言も添えられていました。こちらに関しても、妊娠をしているかどうかという情報をわざわざ出す必要があるでしょうか。百歩譲って、産休により仕事を休業するタイミングがあるかどうか知りたいというファンがいるのかもしれません。しかしながら、その場合は本人から発表があることでしょう。結婚の報道にお決まりの文句のように付け加えるのはあまり気持ちのいいものではありません。妊娠というものはとてもデリケートな問題です。不妊で悩んでいる方も、望まない妊娠をした方も、色々な状況の方がいらっしゃいます。他人が口出しできるほど気軽な話題ではありません。

ジェンダーに関する日本の課題

SDGs(持続可能な開発目標)の達成度についてSustainable Development Report 2020というレポートが発表されています。(https://dashboards.sdgindex.org/profiles/JPN)こちらのレポートによると、日本は、17の目標のうち目標5「ジェンダーの平等を実現しよう」の達成度が4段階中最低評価となっています。

また、日経グループが今春まとめた「企業の女性活躍度調査」によると、女性管理職の2020年までの女性管理職を30%に増やすことは難しくなったとのことでした。

このことから言えるのは、まだまだ日本のジェンダーに関する格差は改善できていないということです。

ジェンダーバイアス(性別役割分担意識)を取り払う

日本経済新聞の記事(下記リンク)には、女性管理職が増えない一因としてジェンダーバイアス(性別役割分担意識)が挙げられていました。男性だけの問題ではなく、女性もこのバイアスがかかっていると思います。女性が管理職を目指さない理由の一つに「家庭との両立」を挙げるのもこのバイアスがかかっているからでしょう。

もちろん、管理職になりたいかどうかは人それぞれです。家庭と仕事のバランスについても人によって理想が違うことでしょう。ですから、すべての女性が管理職を目指すべきだとは思いません。しかし、なりたいと思う人が諦める際、その理由が男女で大きく異なることに違和感を抱くのです。

冒頭でお話した、女性芸能人の結婚における「仕事を続ける」報道についても同様です。女性の中には仕事を辞めるか考える人がいるかもしれませんが、一方で考えない人もいます。男性が結婚の際に専業主夫になるかどうか考える人も、一定数いるのかもしれません。男性は結婚しても仕事を辞めず、女性は辞めるかどうか検討するものだ、と決めつけたように聞こえる報道はSDGsの目標達成において足を引っ張る存在になっていると思います。

私は、生物学的な性差によってできることできないことがあるとすれば、それ以外のことに性差はないと考えます。とはいえ、私も含め、一人ひとりに無意識に潜むジェンダーバイアスがきっとあるはずです。何かにチャレンジしようとするとき、または何かを諦めようとするとき、一度立ち止まって、「これは男性でないとできないのか」、または「女性でないとできないのか」、と考えてみませんか。きっとその考えが社会を大きく変える一歩になるはずです。


#COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?