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おばあちゃんのコーヒーゼリー

皆さんには勝負飯ってありますか。私は勝負飯というほど大げさなものはありませんが、運動会の日、祖母が毎回コーヒーゼリーを作ってくれたことを覚えています。

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なぜコーヒーゼリーなのかというと、私の運動会を見に来てくれる応援団に大人が多かったからだと思います。私の両親は二人とも仕事で運動会を見に来ることができなかったので、毎回祖父母が見に来てくれていました。面白いことに、祖父母は近所に住む親戚一同を呼んで、毎回私の応援団を組んで大人数で来てくれていました。そうなると、運動会の日のお昼は誰が主役かわからないくらいの大騒ぎです。もちろん私の好物もたくさん入ってはいましたが、なぜかデザートが、大きなタッパーに流し込んで作ったコーヒーゼリーでした。

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母は仕事で帰りが遅かったため、祖母が夕飯をつくってくれていました。また、高校生の時は、母が単身赴任で家にいなかったため、お昼のお弁当も祖母がつくってくれていました。

おばあちゃんのつくる料理と聞いて、どんな料理を想像しますか。煮物や焼き魚などの和食メインかと思いきや、私の祖母は洋食や揚げ物など、子供が好きな食べ物をとても上手に作る人です。お弁当なのにオムライスやパスタなどをきれいに詰めてくれて、友人からは大絶賛のお弁当でした。

夕飯もコロッケやハンバーグをつくるのが得意で、手作りのソースも含め、味付けがとにかく絶妙でした。休みの日には蒸しパンやドーナツをつくってくれました。

私は祖母の料理でここまで健康に育つことができたと本当に感謝しています。

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そんな祖母が高校生のとき、一日だけ家を空けたことがあります。祖父母が親戚の家に泊まる予定だったため、その日の夕飯がありませんでした。母も単身赴任だったため、その日は私と父の二人。私は学校の帰りが遅く、家に着いた時はもう父が帰宅した後でした。

するとキッチンから何やら音がします。覗いてみると、初めて父がキッチンに立っている光景でした。はんと祖母の得意料理ハンバーグを作っているところだったのです。

父は生まれて初めて作ったとのことでしたが、見た目は上出来。気になる味はというと・・・。味付けをしておらず肉本来の味を楽しむディナーとなりました笑

しかし、父が私のために作ってくれたかと思うと、とても貴重で、とても感動的な夜になりました。

その後父も単身赴任を経験し、一人で料理ができるようになりました。今では母や私が作る料理をキッチンで見ながら、それはどうやって作るの?と熱心に観察するほどです。

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毎年運動会に祖母が弁当をつくってくれていたあの頃、まだ子供だった私は、コーヒーゼリーをデザートと認識することができませんでした。しかし大人たちは大喜びで食べていたため、私も特に何も言わず、つられて食べていました。ですから、祖母は今でもコーヒーゼリーを私の大好物だと思っているはずです。

今ではコーヒー中毒というくらいコーヒー好きで、もちろんコーヒーゼリーも大好きになりました。つまり祖母の見立てはあながち間違ってはいなかったというわけです。

そんなわけで勝負事の日のデザートはコーヒーゼリーがおすすめですよ。

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