自己評価、まずは自分を起点にして評価しよう
最近、評価制度の運用や改善を検討しながら、「自己評価」に疑問を感じている。
「会社の業績に寄与したのか」という論点が間違っているという話ではなくて、自己評価という点においてそれだけが記述されてしまう状況は良くないのではないだろうか。
他者による「自己評価の要求」
自分自身を評価するのに、他者からの要求を基本軸にしている。
まずは、自己の理解を前提に置くことが重要である。
自己の価値観を理解し、それを基盤にして自己評価を行わなければ、他者の要求に応えるだけの存在になってしまう。
自己の理解に基づく自己評価が欠如すると「なぜ自分は働いているのか」という疑問が湧いてしまう。
しかし、最近のマネジメントを見ていると、個人の尊重がどこまで行われているのか疑問に感じてしまうシチュエーションが散見されている。
会社員として会社の業績向上のために成果を上げることは当然のことかもしれないけれど、個々人の価値感や特性を無視してはいけないんじゃないだろうか。
自身による「自己の評価」
自己を評価する際には、以下の点を考慮してほしいなと思う。
目標は自分に合っていたか
目標を達成するために行ってきた活動に対してどのように感じたか
設定した「会社業績に紐づく成果」はなんだったか
以下に、順番に書いていきたい。
1. 目標は自分に合っていたか
そもそも楽しめたか
業務上の要求は、職務に応じた役割にあわせてやってくる。
それは個人の価値観や性格特性を必ずしも反映したものにはならないのが世の常である。
もちろん合ったものに調整できるのがベストではあるが、そうでない仕事をしなければならないときもある。
ではその中で自分にあっていたか、要するに「楽しめたか」「納得して業務に打ち込めたか」「悪く言えば不満がなかったか」をまず確認してほしい。
楽しめた理由や楽しめなかった理由
つまり自身の考え方・個性・価値観をベースにしたときにこの目標がモチベーティブだったのか?ということ。
楽しめるということは上手く内的動機づけ出来ている証拠であり、どの要素に楽しみを感じたのか考えてみて欲しい。
逆に楽しめなかったのであれば、それにも理由が有るはず。
2. 目標を達成するために行ってきた活動に対してどのように感じたか
自身の目標自体に対して振り返った後に、具体的に目標達成を目指した活動について振り返っていく。
先程上げた「目標は自分に合っていたか」を前提に置いたときに、目標自体やマイルストーン・ToDoとしてのタスクやその進め方などは、自分に合う形で設定できたかを確認する。
評価制度の特性上、どうしても評価のタイミングでは成果を謳いたくなるものだけど、「対外的な成果」に囚われすぎず、自身がどう考えてどう動いてきたのか、動き方は自分らしかったのか・どういう背景でそうなったのか、などを言語化していくと良いだろう。
自身の特性や価値観からみて相反する動き方を求められていたり、それに応じた結果として自分にあった進め方を諦めたりしていなかったか。仕事の進め方として良い形になった部分やイマイチだった部分を明らかにしていく。
3. 設定した「会社業績に紐づく成果」はなんだったか
最後にいつも通りの「対外的な成果」を持ってくる。
良くなかったときにちゃんと振り返ることは大切だけれど、良かったときこそ良くなった要因があるはずで、それがどのようなファクターによって生まれたのかをしっかりと振り返って欲しい。
「事業に明らかな成長が見られた」とか
「一緒に働くひとが良くてとても楽しかった」とか
「チームからのサポートが良くて、自分もいっぱい手伝えた」とか
「目標達成への道筋がきれいに見いだせてうごきやすかった」とか
良かったときこそ、個々人の特性や価値観に合った理由が見つかるはず。
おわりに:他者からの視点ではなく、自己の視点で評価することを出発点とした「自己評価」が大切
多様性を求められる社会において「自己」を蔑ろにした会社業績につながる成果ばかりを求める「評価」の危険性に気づいて欲しい。
それは管理監督者、いわゆるマネジャーのポジションの方々はもちろん、一人ひとりが意識しながら、個を尊重して、チームとして感情的にも戦略的にもみんなが動機づけされた状態で、楽しく仕事ができる環境が少しでも増えることを願っている。
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