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花のある生活、花のある在宅勤務

在宅勤務が始まってから、家に花を飾るようになった。
一人暮らしで家に籠もって仕事する日々を続けていると、だんだん毎日がループしているような錯覚に襲われるようになる。季節の変化もよく分からなくなる。
息苦しい日常生活をちょっとでも変えてみたくて、小さな花を部屋に飾ることにした。

 *

手始めに流行の花のサブスクリプションに手を出した。
ワンコインで季節の花をポストに届けてくれるというもの。
結論から言うと、これはとても良かった。
毎週ポストに誰かが選んでくれた花が届けられると、自分が買っているものなのに贈り物を受け取るような華やいだ気分になる。
クリスマスには小さなリンゴが入ったアレンジが届いたし、ほわほわのコットンフラワーが入ったナチュラルなアレンジが届く日もあった。
自分では決して選ばないだろうなという花でも、部屋に飾ってみると意外としっくりと似合ったりして嬉しくなる。

(モニター横に花を)


私は切り花が意外なほどエネルギーを持っているということを知った。
生来ズボラで面倒くさがり屋なので、これまで花をもらう機会があってもあっという間に枯らしてしまうばかりだった。
が、少し気を配って目をかけるだけで全然違うのだ。
毎日水を替えて、茎を切って新しい断面から水を存分に吸えるようにしてやる。
それだけで花は随分長い間元気な姿を保ってくれる。
つぼみで届いた花が、時間をかけてゆっくりと花開いていく変化には心躍った。
花は切られた後でもぴんと張り詰めた生命力を秘めているのだ。

(つぼみだったオーニソガラムの花が咲いた)

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サブスクリプションの花だけで飽き足らなくなるまで、時間はかからなかった。
ポストに届く花は手軽だけれど、ボリュームや鮮度にはどうしても限界がある。
サブスクリプションと近所の花屋。
気ままに両方を使いながら部屋に花を絶やさないようになった。
思いも付かない新鮮な出会いをくれるのはサブスクリプションだし、たっぷりしたボリュームで気持ちを満たしてくれるのは近所の花屋だ。

3月8日のミモザの日には近所の花屋でたっぷりのミモザのドライフラワーを買って部屋に吊した。
この上なく豊かな気持ちになった。

(ミモザは本当にミモザイエローなのだ)

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好きな花は何ですか。問われたときに即座に答えられるだろうか。
数ヶ月前までの私は答えられなった。花なら何でも可愛いし良いんじゃない、その程度のものだ。

今は即座に答えられる。
好きな花は、断然チューリップだ。


チューリップの花にはどこか媚びない凜とした空気がある。
花の形も葉の形もすっきりしていて、きりりとしている。
何よりチューリップの花にはびっくりするほどの自由なエネルギーがある。
切り花をざっくりと花瓶に生けておくと、チューリップはいつの間にか思い思いの方向に茎を曲げて背を伸ばすのだ。
あふれる自由さ。エネルギッシュさ。
あれあれこんな格好になっていると、会話するように生け直すのも楽しい。

小さな生活の変化で、知らなかった「好き」が見えるようになった。これはとても嬉しいことだ。
好きなものが増えることは日々を豊かにしてくれるから、貪欲に増やしていきたい。

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知らないことがたくさんあるものだなと思う。
花の持つエネルギーのことも、自分が何の花を好きなのかということも、私はずっと知らなかったのだ。
ステイホームの小さな世界にもまだまだ冒険の余地がある、しみじみと思うのだ。

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