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不登校からAndroidエンジニアになってDroidKaigiと出会うまでの話

@imsakuです。2022/10/5 ~ 7に行われたDroidKaigi 2022にスタッフとして参加しました。また、オフライン・In Personで参加した初めてのDroidKaigiでもありました。
今年の5月にスタッフとしてDroidKaigiに携わり始めてからDroidKaigi 2022が終わるまでの間、とても楽しくて充実した時間を過ごすことができました。来場者やスポンサー、DroidKaigiスタッフの皆さまに感謝しています。

そしてDroidKaigiが終わると同時に、私自身の今までをふりかえってみたいという気持ちもこみあげてきました。
ただの自分語りです。こんな人もAndroidエンジニアになっていて、DroidKaigiにも参加してるんだよということを知ってもらうことで多様な人がソフトウェアエンジニア・Androidエンジニアになったりコミュニティに参加したりするきっかけになれば嬉しいです。

私について

福岡の会社で働くAndroidエンジニアです。
佐賀県で生まれ育ちました。佐賀と福岡にしか住んだことがありません。

Androidエンジニアになるまで

幼少期

物心ついた頃には、父が持っていたVAIOでトランプゲームを遊ばせてもらうのが好きでした。祖父は年末になるとワープロで年賀状を作っていて、いつもそれを横で眺めていた記憶があります。
小学校高学年になると授業で使うパソコンがWindows XPに代わり、ログイン時に顔認証をするためのWebカメラが付いていました。友達とそのカメラで撮った写真を加工して福笑いをした様子を授業中にパワーポイントで紹介し、みんなが大笑いしたのを憶えています。

中学校~高校

今までで最も苦しかったのがこの頃です。
入学した地元の公立中学校は前時代的な部分が色濃く残っていて、教師が生徒に対してとても厳しく当たる学校でした。入学直後から学校で過ごすこと自体に強いストレスを感じるようになり、1カ月後の5月には完全に学校に行くことができなくなりました。それから卒業までの約3年間学校で授業を受けることはありませんでした。

学校に行けなかった私は、適応指導教室に通ったり、親戚が経営する飲食店の掃除を手伝ったりして過ごしました。
パソコン好きなのは変わらずでした。学校に行けなくなった私と連絡を取りたいからと友達がYahoo!メールを教えてくれて、主な連絡手段として使うようになりました。
友達とオンラインゲームで遊んだり、ニコニコ動画やYouTubeを楽しんだり、Twitterを使ったりオンラインゲームで知り合った友達からmixiに招待してもらったり(私が登録したときは15歳以上の招待制でした)、iGoogleで自分だけのポータルサイトを作ったり、およそ多くのインターネット好きが2000年代後半から2010年代初めに親しんだであろういくつかのサービスに触れました。
その中で自然と、自分も将来こういったものを作れるようになりたいなと思うようになりました。地元の図書館に通って、ITエンジニア、プログラマーと呼ばれるような職業があることを知りました。それからはアンクの絵本シリーズのようなIT技術系の書籍を図書館で読むのが好きになりました。
一方で、私が学校に行かないことを両親は良く思っていなかったため自宅での居場所は少なく、パソコンに触れられる時間もわずかでした。

ITエンジニアになるには大学に行くしかないと思い、国語・英語・数学だけの特殊な入試で地元の全日制高校に入学しました。古文がさっぱりわからないので現代文だけで点数を稼ぎ、英語と数学は大学生がサークル活動の一環として運営する塾に2時間×週1回通わせてもらっていたのでなんとかなりました。
しかし、高校でも学校生活に対する過度の緊張に耐えることができず、数ヵ月で退学してしまいました。
その後は、ITエンジニアになるということもほとんど諦めてしまっていました。16歳の頃に高卒認定に合格して、18歳になる年度から大学や専門学校を受験する資格だけは得ていましたが、少なくとも理系の大学に進学するのは難しいと思っていたからです。

最終的には心理学専攻で大学に進学することになります。中学校入学から大学受験をする頃にかけて学校や心療内科などの場で臨床心理士の方にお世話になったため、理系が無理なら心理学にしようという軽い気持ちでした。

大学

大学では中学・高校のようなストレスも少なく、なんとか通うことができました。
John FruscianteやEric Clapton、Wes Montgomeryなどのギタリストが好きでエレキギターが趣味の1つだったので軽音楽サークルに熱中し、最終年には部長も務めました。

学内アカウントでGoogle Apps / G Suite(現 Google Workspace)を使うことができたのでとても快適でした。当時学生の多くがレポートのためにUSBメモリを持ち運んでいましたが、GmailとGoogle Driveでそのほとんどを賄うことができました。
この頃にはITエンジニアになるということは考えもしなくなっていましたが、一方でパソコンが苦手だという人が多くいることに驚いていました。タイピングが周りより速いとか、学内システムやExcelをちょっと上手く扱えるとか、わからないこともググったらすぐに調べがつくとか、自分が当たり前だと思っていたことで友達から褒められたり頼ってもらえたりすることが嬉しかったです。

就活

私が通っていた学部では、ごく一部の人が臨床心理士・公認心理師になるために指定大学院へ進みます。その他多くの人は他の文学部系の学部と同様にさまざまな業態へ就職します。
私はというと、そこまで熱心に心理学を学んでいたとは言えなかったため、一般就職することを選びました。ただ、吃音症で面接が極度に苦手ということもあって就活にかなり苦戦していました。
そんな時、ふと今の自分でもITエンジニアになれる道はあるのだろうかと考えて、ある会社を受けたところ運よく内定をもらうことができました。そのポジションがAndroidエンジニアでした。
スマホはXperia Z → Xperia XZとAndroidを乗り継いでいたので、普段使っているデバイスで動作するアプリが作れる!とワクワクしていました。

DroidKaigiと出会うまで

入社

新卒で入社したのは、自治体向けの業務用Androidアプリを開発する会社でした。
営業1人と私を含めた開発者が3人というとても小さな組織で、入社1年目から、自治体・SIerとの要件定義、設計・開発、現地でのインテグレーションテストと導入支援、電話応対による保守といったあらゆる業務を開発者3名で回していました。
先輩社員に丁寧に教えてもらっているような余裕はないので、適当な書籍でJavaを覚えて、後は困るたびにググってどうにかするということの繰り返しでした。

情報源としてのDroidKaigi

仕事でトライ&エラーを繰り返すうちにAndroidに関する著名な技術ブログやQiitaといったメディアに触れることで自然とDroidKaigiというカンファレンスの存在を知りました。調べて行きついた記事にDroidKaigiのセッション動画のURLが貼ってあるということもよくありました。
次第に、いつも調べると参考になる記事を書いてくれているあの人、その人が登壇・参加しているカンファレンス・勉強会といった流れで今まで私が知らなかった会社の外にあるコミュニティやエンジニア同士の交流といった場所の存在に興味を持つようになりました。

ハンズオンイベントとDroidKaigi 2020

ある日、DroidKaigiのハンズオンイベントが福岡で開催されることを知りました。しかし、私はここである問題に気づきます。

Android Studio 3.3 以上がインストールされたPCをお持ちください。

https://droidkaigi.connpass.com/event/138212/

私はノートパソコンを持っていませんでした。勉強会やエンジニア同士の交流を経験したことがない私がプライベートで使っていたのはデスクトップPCでした。仕方なくこのイベントに参加するのは諦めることにしました。
イベント当日、参加できなかったことを後悔した私はラップトップを買うことを決意したようです。

それから程なくして、MacBook Proを買いました。元から使っているデスクトップPCがWindowsだったので、MacBookを買えばどっちも使えるようになってお得だなくらいの感覚だったと思います。有給休暇も確保して、開催が発表されたDroidKaigi 2020にも参加を申し込みました。

これで準備は整った
DroidKaigi 2020のチケットもゲット

年が明けて2020年1月にはDroidKaigi 2020の公式アプリもGitHubで公開されました。当時Javaしか使っておらずGitにすら馴染みがなかったので、簡単なIssueを拾うだけでもドキドキしていました。当時勢い余ってこんな記事も書いています。
その後も検索機能に音声入力を実装するIssueにチャレンジしたりIssueを作ってみたりしてDroidKaigiアプリ開発のお祭り気分を味わうことができました。 

しかし、DroidKaigi 2020は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて開催中止となります。

大変残念ですが昨今の新型コロナウイルス感染症に関わる状況の変化を鑑み、現時点をもってDroidKaigi 2020の中止を発表いたします。

https://medium.com/droidkaigi/e59453445b4b

コロナ禍とコミュニティ

DroidKaigi 2020が中止になって以降、エンジニア同士の交流の場が失われることになりましたが、これは私にとってチャンスでもありました。多くの勉強会がオンライン開催として復活または誕生したためです。
今まで都市部で開催されることの多かった勉強会に、インターネットを通じてどこからでも参加できるようになりました。
コロナ禍になってから現職へ転職もしていて、フルリモートワーク・フルフレックスな働き方になったことでオンラインイベントへの参加がしやすかったのもよかった点です。

しかし、様々なイベントがオンライン中心となって参加のしやすさは格段に向上しているものの、発表を聴くだけで終わってしまいその先のコミュニケーションを生み出すことが難しいという側面もあります。そこから一歩前に踏み出してオンラインでも自分からコミュニケーションを取れる場所に飛び込むという勇気も必要だなと感じていました。
そんな中であるランチ会に参加する機会があり、これが初めての社外のエンジニアとの交流でした。緊張で上手く会話できなかった記憶が強いですが、それでもこれをきっかけとして、他にもコミュニケーション前提の勉強会に参加するようになりました。

そして今年の4月にDroidKaigi 2022のボランティアスタッフ募集がありました。少しの迷いはありましたが、募集記事最後のこの文章が後押ししてくれました。

我々は、スタッフ自身のバックグラウンドを活かしたコミュニティ活動ができるように迎えたいと考えています。運営母体が多様であればあるほど、カンファレンスも多様でいろんな人に受け入れてもらいやすい、参加しやすいものになります。「自分が手を上げて大丈夫かな?」と不安に感じられる方もいると思いますが、遠慮なく応募ください。

https://medium.com/droidkaigi/fc1f4ccb7f10

DroidKaigi 2022

最高のイベントでした。私は当日の同時通訳のサポートを行ったりFireside Chatのスライドを作成したり少しだけDroidKaigi 2022 公式アプリをお手伝いしたりしていました。
終わってみると大変だった・疲れたみたいな気持ちがどこかへいってしまっていて、楽しかったという感情しかありません。
また、当日はほとんどの人と初めての顔合わせでした。勉強会や趣味などを通じてオンラインで知り合った知人、来場者として参加した同僚、DroidKaigi スタッフ、多くの人と初めて直接会って会話することができて、それだけでもオフラインイベントの意義を感じることができました。
あまり写真を撮っていないので会場の様子はうまくお伝えできませんが、他にもいろんな方がイベントレポートを書いてくれていると思うのでそちらに譲ります。
当日はなかなかセッションを見ることができなかったので、個別のセッション動画が公開されたらゆっくり視聴したいと思っています。

最後に

DroidKaigiを始めとする多くのコミュニティやAndroidアプリ開発者の皆さんに感謝しています。何のバックグラウンドもない私がAndroidエンジニアとして今までやってこれているのは、メディアやコミュニティを通じてAndroidの知識が共有されているからに違いありません。
今後も様々なかたちでAndroidコミュニティに少しでも貢献したいと考えています。もちろんDroidKaigiのスタッフも続けられると嬉しいです。

余談ですが、11月から新しい会社へ移ります。今までとはまた違った新しいチャレンジができそうでワクワクしています。こういった機会を得られるのも、DroidKaigiが成長の場を提供してくれているからだと信じています。
ただ、実はこのDroidKaigi 2022に2つのセッションで応募していたのですが残念ながら不採択でした。次こそは採択してもらえるようにAndroidエンジニアとしても精進します。

@imsaku

スタッフとして

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