公立中学校訪問インプロワークショップ【中学3年生 内容編】
IMPRO KIDS TOKYOでは、学校訪問ワークショップも実施しています。
今回は、2021年4月に訪問した中野区立中野東中学校での訪問ワークショップについてご紹介します。
インプロのワークショップでは、創造性・心理的安全性・シェアードリーダーシップ等の色んな分野での実施をしています。今回のテーマは、「コレボレーション」になりました。
【ワーク内容】
テーマ:他者とコラボレーションをする
対象:中野区立中野東中学校3年生の皆さん
実施:1時間×4クラス
1:イントロダクション(10分)
なぜ学校教育でインプロが実施されるようになったのか、インプロがどのような現場に応用されているのかを共有してから、スタッフのミニインプロショーを実施しました。
2:ワーク①『予想外を楽しむ』
~ストーリースパイン~
【ルール】
4人1組でお話の型を使ってお話を作るワークです。
▼お話の型
A:むかしむかし〜
B:毎日毎日〜
C:ところがある日〜
D:すると/そこで〜 (繰り返し)
Aすると/そこで〜
B:そしてついには
C:教訓
さっそくワーク開始です!
このゲームでポイントとして伝えたことは、”予想外を楽しむ” ということです。これは自分とは違う他者と一緒にコラボレーションをする際に大事になります。
自分と他者は違うので、他者のアイディアが自分にとって予想外のものであることはよくありますよね。その時に予想外を楽しむマインドを持ってみると相手を受け入れやすくなり、他者とのコラボレーションがより有意義になります。
人はNoを選択すると安全、Yesを選択すると冒険へと自らを導きます。自分が思ってもみなかった方向に、みんなで冒険をしてみよう!ということで、相手のアイディアを受け入れるYesを意識してワークに取り組みました。
生徒の感想
みんなで作り上げていくのがはじめてで面白かったです。
自分でも思っていないことを言ったり、予想外というものの楽しさを知った。予想外という冒険が楽しかった。班員との仲が1番深まったワークだった。
3:ワーク②『魔法使いと人形』
~シェアードリーダーシップの導入~
ルール
操られる側(人形)と操る側(魔法使い)に別れて遊ぶワークです
人形側は魔法使い側が前に出した手のひらと自分の顔の距離が一定になるように動きます。最終的には人形と魔法使いの役割を自由に交代し合って遊びます
このゲームでポイントとして伝えたことは、”シェアドリーダーシップ”
これは文字通りリーダーシップをシェアする。つまりお互いの関係性における主導権を相手と分け合うことを表します。
他者とコラボレーションする場合、常にリーダーだったり常にフォロワーでいると有意義な話し合いにならなかったりします。片方の意図だけが通り続け、コラボレーションをすることの価値がなくなってしまう。
よって時に主導権を握ったり相手に主導権を譲ることで、お互いの素敵な部分を混ぜ合わせたものを生み出すことができるのです。
魔法使いと人形 感想
・人によって、リーダーが心地いい人とフォロワーが心地いい人がいて面白かった。
・相手が自由に手を動かすのに合わせて自分が動くのがとても楽しかった
4:『ワンワード』
ルール
「今日」「私は」「公園へ」というように、1人1文節ずつ言葉を紡いでいって物語を作るワークです。”魔法使いと人形”と同じく、自分が常にリーダーであり続けたり(物語を自分が全て作ろうとする)、フォロワーであり続けた(物語を自分は一切決めないようにする)場合どうなるかを体験した後、最後にシェアドリーダーシップを意識して作ってみます。
このゲームもシェアドリーダーシップを意識して、今度は実際に物語をチームで作ってみます。予想外を楽しむことも意識しつつ、子供たちにコラボレーションの楽しさを体感してもらえればいいなと。
ワンワードの感想
・とてもクリエイティブな予想外のストーリーを、みんなで作るのが面白かったです!
・ワンワードだけなのに予想外な結末になって面白かったし、お互いにフォローし合うことでよりよいお話になってお互いに助け合えてる感じがして良かったです
・全員がフォロワーで人任せにしたり、逆に、リーダーで自分の主張が激しすぎて周りに合わせず物事を進めようとするとチームとして成り立たなくなる事を実感できたことから、そのためのシェアードリーダーシップは今後、とても役立つと感じた
5:修学旅行の行き先を話し合う
ルール
シェアドリーダーシップを意識しながら、架空の議題について話し合うゲームです。
自分が常にリーダーであり続けたり、フォロワーであり続けた場合議論がどうなるかも体験したあと、ェアドリーダーシップを意識して話し合いをしてみます
このゲームはシェアドリーダーシップを、より実践的な場面に落とし込むことを目的としています。シェアドリーダーシップをしない状態の話し合いだとどうなるかを実際に体験することで、逆説的にシェアドリーダーシップの大切さを実感するという手法(paradoxical teaching)も使いました。
旅行先の話し合い 感想
・全員がどちらかに偏りすぎると話が進めなくなったり、お互いを尊重できていないと気づくことができた
・全員がフォロワーで人任せにしたり、逆に、リーダーで自分の主張が激しすぎて周りに合わせず物事を進めようとするとチームとして成り立たなくなる事を実感できたことから、そのためのシェアードリーダーシップは今後、とても役立つと感じた
先生の感想(青野先生)
* もっと抵抗感があるかなと思ったいたんですが、やり始めたら楽しんでやってくれてて安心しました。子供たちが楽しいと思えたこと自体がよかったなと。
* 時間に余裕があれば、魔法使いと人形のゲームを他の組み合わせでもやってみることで、相手が変わると感覚も変わることを実感してもらえたらさらによかったなと。他のワークに関しても、今後もっと深めていけたら良いなあと思いました。
* 「シェアードリーダーシップ」と「予想外を楽しむ」という言葉は共通言語として浸透したと思います。今後使っていけそうですね
生徒のみなさんの感想
満足度の平均(2:2人、3:11人、4:33人、5:41人)
・みんなで作り上げていくのがはじめてで面白かったです
・自分1人というプレッシャーを無くして全員でシェアすることで良い考えも生まれるのだな、と感じました。自分1人では考えつかないことも他人と協力すると面白い考えが出てきてすごく良かったです。
・今までにやったことのないことをたくさんやることができて面白かったからです。違う角度からリーダーシップのことなどを考えられてすごくいい時間になりました。予想外は嫌なことで、自分の考え通りに進むことがいいことだと思っていたけれど、予想外の面白さに気づくことができて、考えが変わりました。
・とても分かりやすく、関わりやすいフレンドリーな感じで接してくれたことで楽しく取り組んだり、有意義な時間を過ごすことができたからです。
・最初は、ちょっと恥ずかしいしハードル高いかな、と思っていたのですが、お話を聞いているうちに、恥ずかしさよりも楽しそうが勝って、目的であった「予想外楽しむ」をできたので、大変満足できたのでそうしました。
・細かく説明してくれてわかりやすかったが、私たちが動く時間が少なく、もっといろいろな人とペアになってみたかった。
・即興が苦手なので、どうしようどうしようと、ずっと頭をフル回転していたので大変だった。でも、楽しいやつもあった。
スタッフ所感
⭐1時間でできることは内容共有まで。2時間あれば深く学べる
1時間のワークだと、内容の共有+ミニ体験ができました。「実践の時間が少し足りない」という声があがったことからも、もう1時間あるだけで学びを身体にまで落とし込んだり、ペアやグループを変えてみることで深めたりすることができると思いました。
⭐今後の学校生活につながる「体験を伴った共通言語」をつくる
単発のワークショップですが、クラスの「体験を伴った共通言語」をお土産でおいていくことができると思っています。「体験を伴った共通言語」があることで、日常の場において子供たちがそれを意識しやすくなります。「あっ今シェアドリーダーシップしてない!」と気付きやすくなったり、「今シェアードだったね!」と気づいた時に先生から生徒の行動の強化がしやすくなります。
IMPRO KIDS TOKYOでは「予想外を楽しむ未来をみんなで創る」をミッションに、学校訪問事業を行っています。
クラスの雰囲気をよくしたい、話し合いをよりクリエイティブにしていきたい、という教育関係者みなさん、是非一度ワークショップを体験してみませんか?
ご協力いただいた青野先生へのインタビュー記事はこちら!
どのように学校の授業にインプロワークショップを導入したか伺いました!