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【しがCO2ネットゼロ次世代ワークショップ】DAY4|アイデアブラッシュアップ

こんにちは。
インパクトラボの窪園です。

2022年11月6日(日)にオンラインで、「しがCO2ネットゼロ次世代ワークショップ」のDAY4を開催しました。
DAY4は、DAY3までの体験を踏まえたネットゼロアクションのアイデアを発表し、滋賀県地球温暖化防止活動推進センターの方々や仲間とのグループディスカッションを通じて、アイデアを育てることを目的として実施しました。

しがCO2ネットゼロ次世代ワークショップとは

滋賀県で持続可能な社会の実現に向けて取り組む地域、団体、企業へのフィールドワークを通して、滋賀県らしいCO2ネットゼロの行動・取組アイデアを考えるプログラムです。本ワークショップでの意見交換等を通じて生まれたアイデアを広く発信することにより、滋賀県内のCO2ネットゼロに向けた取組機運の向上を図ることを目的としています。

オープニング

初めに、アイスブレイクを行いました。ブレイクアウトルームに分かれ、少人数で名前・所属、普段の活動や「実は私〇〇です」をお題に実施。特に「実は私〇〇です」の答えはさまざまで、非常にユニークな自己紹介となり、緊張感も和らぎました。

アイスブレイクのお題

話題提供

滋賀県地球温暖化防止活動推進センター(公益財団法人 淡海環境保全財団)の来田博美さんより、活動概要と推進員の取り組みについての話題提供がありました。取り組みとしては、大きく分けて4つあります。

1つ目は「ライフスタイルの変革に向けて」、出前講座や「うちエコ診断」に取り組むことです。「出前講座の年間開催数は約150講座で、PDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善)のサイクルを繰り返しながら、満足度の高い講座を提供している」と来田さんは話します。 また、うちエコ診断にも積極的に取り組んでいると言います。うちエコ診断とは、資格試験に合格した環境省認定の専門の診断士が各家庭のライフスタイル合わせた省エネ、省CO2対策を提案するサービスを提供することにより、受診家庭の効果的なCO2排出削減行動に結びつけるものです。(環境省HPより参照)

2つ目は「若者と考え、行動する」ことです。大学生がCO2ネットゼロのロゴマーク制作に関わり、小中学生向けには「COOL CHOICE」ポスターの募集・表彰・掲示を行うなどの活動をしています。

3つ目は「地域事業者の脱炭素経営の推進」です。セミナーや個別相談会を開催して、地域事業者の支援をおこなっています。

4つ目は「再(省)エネ設備導入に向けて」、県の間接補助という形でスマート・エコハウスの補助金を出すことや、省エネ・節電取組推進キャンペーンの実施に取り組んでいます。

来田さんによるセンターの取り組み紹介

来田さんは「みなさんのような若い力は非常に大きく影響力があります。ぜひ、みなさんの活動を周囲の人にも伝えて、みんなで協力して、2050年までのCO2ネットゼロを実現させましょう」と、熱意を込めて話しました。

中間発表

次に、DAY1-3の体験を踏まえたネットゼロアクションのアイデアをグループごとに発表しました。

Group1
Group1は、「脱炭素×防災」という観点で提案を行いました。東日本大震災でコンビニエンスストアが防災の拠点となったことから着想を得て、「自動販売機の防災拠点を作ろう」というアイデアでした。この自動販売機は太陽光パネルで稼働する自立型電源の自動販売機で、災害時には無料で食品を提供できるほか、スマホの充電などの給電機能も備えたものです。売る商品はその地域の特産品などを考えており、自動販売機のデザインは、美術・芸術大学の協力を得て、まちに合う観光客が注目するようなデザインでユニークな発信をしたいと話していました。
最後に「各市町と防災協定の締結などの連携や避難名簿のDX化なども含めて、工夫したアイデアを模索する必要がある」と、今後の課題を全体で共有しました。
Group2
Group2は、立命館守山高校のチームです。2つのアイデアを提案しました。1つは太陽光パネルを設置した企業に対して減税をする政策。もう1つは木材を利用した民家や公民館を積極的に活用することです。
流行しているグランピングにも、木材を活用した施設を活かせるのではないか。また、その場所を活用して、木のCO2の吸収面に関わる質の高い教育を提供できると考えていました。
Group3
Group3は、「脱炭素×アート・教育」の観点から、3つの提案を行いました。
1つ目は、修学旅行生などの中高生、ファミリー層、社会人のターゲット別に、脱炭素に関わるワークショップを実施することです。例えばファミリー層に対しては、子供が体験活動をする中で保護者にも環境問題に対する意識を持つきっかけにすること、社会人向けには、高価格でも高品質な製品の購入を期待できると話していました。
2つ目の提案は、滋賀県産の間伐材を活用するアイデアコンテストの開催です。DAY2の多賀町でのフィールドワークで、間伐材を利用したチェーンソーアートから着想を得たと言います。
3つ目はエリア創生です。CO2ネットゼロ推進に関わる人々が集うエリアを作り出します。例えば、脱炭素の取り組みに貢献するアーティストのアトリエやギャラリーを展開し、その場所には町屋が活用できます。地元の木材を利用して修繕することで、利用者の愛着も湧いてくると話していました。

Group3の中間発表でエリア創生の話をする様子

Group4
Group4は、「脱炭素×地方創生」です。3つのアイデアを提案しました。
1つ目は、長浜の気候に着目し、建物のZEB化・ZEH化を進めること。ZEB(net Zero Energy Building)、ZEH(net Zero Energy House)は、快適な室内環境を維持しながら、「創エネ×省エネ×断熱」を行うことで、消費するエネルギーの収支をゼロ以下にする建物のことです。また、長浜の街並みを見て、商店街のアーケイドに透過性の太陽光パネルを設置するなどのアイデアも出ていました。
2つ目は、長浜のまちのシンボルとなる大規模木造施設を作ること。
3つ目は、飲食店などの廃棄油を再利用する取り組みです。長浜の商店街に飲食店が多いことに注目したようです。廃棄油はBDF(=Bio Diesel Fuel: 化石燃料である軽油の代替燃料として、使用済み天ぷら油(植物性廃食用油)を原料に精製されるディーゼルエンジン用燃料のこと)としての利用が注目されています。この廃棄油を活用したバイオディーゼル燃料は、トラックや重機、トラクターなどで軽油の代わりに燃料として使用することができます。長浜のまち中と農村地域をつなぎ合わせて地域循環共生圏を作ることができるのではないか、と話していました。
Group5
最後に、Group5として成安造形大学4年生の相川佳奈さんが自身の卒業制作のアイデア、作品を発表しました。
テーマは、「森林保全×NFTアートプロジェクト ハトハ」です。NFTアートを通して、林業事業者と支援者をつなぐアートプロジェクトで、事業者と支援者間のコミュニティを作ることで森林保全の活性化につなげることを目的としています。NFTとは、ブロックチェーン技術の一つで、作成者や保有者がブロックチェーン上に記録されます。一次流通だけでなく、二次流通以降の購入者から利益を得ること、これまでの取引履歴を確認することなどが可能です。
相川さんは「この機能を利用して『作品の流通の見える化』を行い、林業事業者に還元したい」と話しました。流通させる作品は、ハトハのトラベラーズノートという名称で、活動拠点である滋賀の県産材を使用した木製ノートカバーです。表紙には滋賀県の野鳥が描かれています。作品内にNFTを利用したICチップが埋め込まれており、スマートフォンをかざすと作品情報を見ることが可能です。林業事業者はNFTの管理者となり、作品の売買を通して収益を得て、作品の普及具合を知ることができます。また、所有者はNFTアートから支援先の林業従事者を知ることが可能です。まさに、事業者と所有者間にコミュニティを作ることができるのです。

Group5のトラベラーズノートの仕組み

アイデアブラッシュアップのための分科会

中間発表を踏まえて、さらにアイデアを具体的にするために分科会を行いました。滋賀県地球温暖化防止活動推進員の本江宗明さんと松田明子さんの協力のもと、少人数グループを作り、ブレイクアウトルームで20分間を2セット行いました。

1回目の分科会は中間発表したチームを中心にしたグループでした。参加者が各々のアイデアの課題を述べ、推進員の方がアドバイスしてくださいました。2回目の分科会では、グループを入れ替えてお互いのアイデアに対しての意見交換を中心に行いました。

参加者によると「提案するアイデアは理想的な話で終わらせるのではなく、実現するために必要なリソースや規模感を正確に捉えた方がいい。そして実際に実施した際に起こりうる課題をより深く、詳しく検証するべきだ」とアドバイスをいただいたと話していました。

他の地域や国の実施している事例を収斂的に模倣するだけでは、新しく優れたアイデアは生まれません。フィールドとなる地域の特徴や問題意識、また魅力などを十分インプットし、より地域に適した具体性のあるアイデアにするべきだと感じました。最終の成果報告会に向けて、各グループのテーマに絡んだ知識のリサーチを十分に行うこと、そしてグループ内で内容の精査を行うことが必要であることを参加者内で共有しました。

分科会の様子

滋賀県地球温暖化防止活動推進員さんより

最後に、滋賀県地球温暖化防止活動推進員の皆様と来田さんより参加者に向けてメッセージをいただきました。
推進員の本江さんは「若い人たちが大きな夢を持って取り組むことには大変な意義がある」「脱炭素の取り組みをする上で、森林というものはかなりキーポイントとなる」と熱意を込めて話していただきました。脱炭素の取り組みは発電だけでなく、運搬・供給・利用・CO2吸収などのサイクルの中で多様な産業が関係しています。様々な産業の中でも林業は担い手不足や、価格低迷などの課題を抱えつつも、脱炭素の面で重要な役割を担っています。参加者の中のアイデアにも森林に関わるものがあるため、さらに具体化していき、より良いアイデアになることを期待したいです。
同じく推進員の松田さんは「参加者の発表の様子を通して、多賀町・長浜市のフィールドワークでかなり良い経験をしてきたことを感じた」「誰でも気軽に参加できることが非常に重要なポイント。誰がその利益を受ける人であるかを分析し、ユーザーに十分寄り添うことができれば、良いアイデアになる」と参加者に向けて、アドバイスがありました。
最後に来田さんは「地域で取り組みを行う場合、地域主体で、地域に根ざしたものにする必要がある」「これから、さらにアイデアを具現化する中で皆さんにとっては『ネットワーク』が重要になる。関わる人に意見を聞くことやステークホルダーとして巻き込むことなどができれば、アイデアの具現化が可能になる。」とコメントをいただきました。

最後に


滋賀県庁の山元さんからの閉会の挨拶では、「今回の中間発表では、多賀町や長浜市のフィールドワークで学んだことを踏まえた、若者らしいアイデアを考えることができていたと感じます。成果報告会に向けて、滋賀らしいCO2ネットゼロの取り組みを提案するために、アイデアをブラッシュアップさせていきましょう」と話しました。
最後に、参加者全員で、CO2ネットゼロの「ゼロ」のポーズで全体写真を撮りました。

CO2ネットゼロの「ゼロ」のポーズで撮影

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
関係者の皆様、素敵な機会をありがとうございました。

次回、11月27日に、ピアザ淡海にて、最終成果報告会があります。また、活動の様子を発信いたしますので、ご覧ください。

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