見出し画像

ロードレース生観戦&撮影はどう変わるのか? ~2020.6.30陸連ガイダンスと陸上フォトコンを読み解く~


クロカン日本選手権以降中止されていた長距離レースがようやく再開に向けて動き出しました。
出雲駅伝のおひざ元に住み、大会ボランティアも行う身としては、今年の出雲駅伝でどういう動きが出来るのか、とても気になります。
そこで日本陸上競技連盟(以下「陸連」)発表の「ロードレース再開についてのガイダンス」を読み解いてみることにしました。
下記の内容は2020年7月3日現在の状況で考察しています。

★陸連ガイダンスとは?

今年は春から新型コロナウイルス感染症の影響を受けてスポーツ界全体で活動の自粛が続いてきましたが、徐々に活動再開に向けて動き出しました。

陸連が、陸上競技の再開に向けて、関係する人々や団体に向けて発信したのが「陸上競技活動再開のガイダンス」です。

私が気にしている出雲駅伝は、ロードレースになりますので、この中の「ロードレース再開のガイダンス」がレース開催可否の基準になります。


★ガイダンスが出来るまでの過程と反映された意見

①スポーツ庁が「施設」(体育館や競技場など)、日本スポーツ協会と障がい者スポーツ協会が「イベント運営」について、感染拡大予防のガイドラインを作成
  ↓
②日本陸連が陸上競技に特化した「陸上競技活動再開のガイダンス」を作成
  ↓
③さらにロードレースに特化した「ロードレース再開のガイダンス」を作成

「ロードレース再開のガイダンス作成」作業
『日本陸上競技連盟新型コロナウイルス対策本部』が下記A~Dの意見を集約たものを反映
 A:「ロードレースガイダンス策定に係る有識者・関係団体連絡会議」
  陸連各専門委員会(医事、競技運営、法制、強化、総務企画)
 B:日本実業団陸上競技連合、日本学生陸上競技連合、ランニング学会、東京マラソン財団
 C:各公認ロードレースからのアンケート調査
 D:大会主催者やランナーへのインタビュー調査
 *大会主催になるのは、行政(県や市町村などの自治体)やマスコミが多いです。

ということは、観客(応援者)の意見を吸い上げるのはなかなか難しい。
6月に開催された陸上フォトコンテストは、観客目線の意見を集める良いイベントになったと思います。


★陸連が求める観客のあり方

ガイダンスのチェックリストに次の記載があります。

沿道の応援
① 地元住民含め沿道での応援の自粛要請。
② 沿道の中でも特に混雑が予想されるエリアの対策。
  応援自粛・ソーシャルディスタンス確保、ポスター掲示、スタッフによる滞留禁止の呼びかけなど。
③ 沿道から声援を送らない。ハイタッチ、私設エイドの禁止。
④ 新型コロナウイルス接触確認アプリなどの積極活用。

この規定から想像すると、テレビ中継では、ランナー、ランナーの補助者、競技役員、走路員、ビブズを付けたマスコミ以外の人は画面の中にいないということです。

ただ、ガイダンスの基本方針には次の記載もあります。

 本ガイダンスは強制力や拘束力を有するものではありません。また、ロードレースは大会によって環境や運営方法も大きく異なる為、全てを包含した内容にするに至らない点は予めご留意ください。

 従って、最終的な判断の主体は大会主催者であり、本ガイダンスの内容と地元行政や保健当局等の指導内容に齟齬がある場合は、後者の内容を優先いただきますようご理解のほどよろしくお願いいたします。

箱根、都大路、全日本など都市部コースの場合はこのガイダンスに従わなければレース開催は難しいと思います。しかしながら、ガイダンスと地元の内容に齟齬がある場合は、地元優先との明記されています。

他地域からの移動が完全にコントロールできるレース、単一市町村内で完結するコース、農村部や山間部のコースなどでは、沿道での応援も可能になる場合もあり! かもしれません。
それを判断するのは、主催者です。

学生三大駅伝、通過する市町村は次の通り。
出雲・・・出雲市
全日本・・愛知県(名古屋市、飛島村、弥富市)
     三重県(桑名市、四日市市、鈴鹿市、津市、松阪市、明和町、伊勢市)
箱根・・・東京都
     神奈川県(川崎市、横浜市、藤沢市、茅ケ崎市、平塚市、大磯町、二宮町、小田原市、箱根町)

通過する自治体が増えれば増えるほど、足並みをそろえるために調整する事柄が増えます。

こうしてみると、出雲駅伝がいちばん開催へのハードルが低そうにみえますが、、、、

主催者
出雲・・・日本学生陸上競技連合、出雲市
全日本・・日本学生陸上競技連合、朝日新聞社、テレビ朝日、メーテレ
箱根・・・関東学生陸上競技連盟

出雲は自治体が主催、全日本はマスコミ、箱根は学連です。
出雲は主催者自身が開催地の感染対策の先頭に立つわけです。おのずとして競技実施への判断基準はより厳しくなってくると考えています。

出雲駅伝1,2,4,5,6区上空(出雲市)
2019.9.23 JAL 283便 羽田→出雲機内より撮影

★どうなる?レース写真の撮影&SNS投稿

 レース写真はマスコミ報道の他、写真を撮る陸上ファン(写真派ファン)がアップするものが多く出回っているのは、皆さんご承知のとおりです。最近では、各チームとも公式サイトやSNSで写真や動画を使った情報発信に力を入れています。

そこで使われる写真は、①プロ撮影、②チームスタッフ撮影、③チーム支援者撮影、④ファンがSNSに投稿された写真をチームが借用して転載に区別できます。

これをガイダンスのチェックリストに当てはめてみると

①プロ撮影(大学新聞部撮影) ◎ 
  ガイダンスにマスコミ取材について規定アリ
②チームスタッフ撮影 ○ 
  撮影は可能だが、主目的は選手の付き添い
③チーム支援者撮影 △ 
  ガイダンスに明記なし 
  主催者が支援者による撮影を許可するか否かの判断待ち
④ファン撮影 × 
  沿道での応援自粛が明記


つまり、レース写真はプロ撮影のものしか見ることが出来ないかもしれないということですね。


★どうなる?各チームの公式サイト

各チームのサイト、SNSにおいてプロが撮影した写真はほとんどありませんね。プロの写真を使うなら当然使用料が発生します。支援者やファンからの写真提供を受けている場合が多いと聞いています。筆者も、ときどきチームや選手本人に無償提供してきました。使ってもらえるだけでありがたいことですから。

今回のガイドライン策定によって、支援者やファンがチームに写真を提供することは、チームとして避けざるを得なくなるのでは?と想定しています。

なぜなら、ガイダンスのチェックリストに次の一文があるからです。

ロードレースに関わる全ての人の健康状態の把握
 ロードレース開催前、当日、事後に万が一感染者が発生した場合も保健当局などがクラスターを早期発見し感染経路が特定できる状態を作る。
(厚生労働省:新型コロナウイルス感染症対策の基本方針)

写真提供者もロードレースに関わる人になります。チームスタッフとプロ撮影者は主催者が示したチェックリストで健康状態が把握できますが、支援者とファンは主催者の監督下に組み込むことはまず難しいですね。

今後は公式サイトに掲載する写真は、プロからの借用が増えるかもしれません。経費が掛かってきますね。

ファンとして沿道での観戦が難しい、でも写真も見たい。
チームとしてファンの要望に応えたい。でも写真にお金がかかるかも。

★陸連のアイディアに期待

逆目線で考えると、各チームが発信する写真は、「陸連のガイダンスを満たして撮ったものです」というお墨付きがあればいいということです。

現段階で、陸連のお墨付きがあるのは、取材許可を取得した人が撮ったものしかないのですが、、、、、ガイダンスの基本方針には次のような一文があります。

そこで、私たちはコロナ禍において感染防止対策はもちろん、ロードレースのあり方、競技運営方法、応援の仕方、ファンサービスなどを根本から見直して参ります。そして、今とは違った新しいロードレース、一人ひとりのランニングライフが定着することを目指していきたいと考えております。

「見直された応援の仕方、ファンサービス」がどんなものか例示されていませんが、もしかしたらこれまでの概念を覆す写真や動画の提供を考えているのかもしれません。

★陸上フォトコン開催の意味

ファンだけでなく、競技者本人、チーム自身、そしてプロの皆さんにいたるまで約1200点の応募があったとのこと。
繰り返しになりますが、1200の陸上愛が詰まった投稿がきっかけで新しい応援の方法、ファンサービスが示されるんじゃないかと、期待しつつ発表を待ちたいと思います。

「みんな撮ってる!」
陸上フォトコン紹介ページの右上に登場



【参考文献】
ロードレース再開についてのガイダンス(基本方針) (2020.6.30現在)陸連
ロードレース再開についてのガイダンス(チェックリスト)(2020.6.30現在)陸連
社会体育施設の再開に向けた感染拡大予防ガイドライン (スポーツ庁)
スポーツイベント再開に向けた感染拡大予防ガイドラインについて (日本スポーツ協会 日本障害者スポーツ協会)


この記事が参加している募集

カメラのたのしみ方

サポートを検討してくださってありがとうございます。そのお気持ちだけ受け取らせていただいて、出雲駅伝主催者の出雲市が作った「出雲駅伝タオル」をご紹介させていただきます。 https://www.izumo-ekiden.jp/towel/index.html