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親たちの出雲駅伝 #1

出雲駅伝当日の朝

 8時にゴール地点の出雲ドームに行くのが、ここ数年のルーティンです。

出雲大社を模したゲート手前に立ち、奥の方でせわしげに準備をするスタッフを横目に、フィニッシュラインを眺めます。

 しばし各大学のアンカーになった気分に浸っていると、入れ代わり立ち代わり写真を撮ったり、走ったりする人々が目の前を通ります。

 カメラを2台ぶら下げているからでしょう、記念撮影のシャッターを頼まれる方がいらっしゃいます。ファンだったり、選手のご家族だったり。
 思い出に残る1枚、笑顔で写ってほしいとの思いで、会話をしながらシャッターを切ろうとすると、どの方も満面の笑みで語ってくださる。シャッターを切り終わると「では、良いレースになりますように。閉会式でお会いしましょう」と言って、一旦お別れをします。ほんのわずかな時間ですが、心が温かくなります。

 家族さんとは応援の途中や閉会式で再会し、SNSのアカウントを交換することもあり、こうして少しずつ「家族目線で」出雲駅伝を観戦するようになってきました。

駅伝ファンになったきっかけ

 自宅前が出雲駅伝コース、第1回から欠かさず沿道で観戦しています。

 20年余り所属している鉄道写真クラブの忘年会では、早稲田の鉄研、駒澤の鉄研出身の先輩が、鉄道そっちのけで箱根駅伝のレース展望で盛り上がります。
 いつの間にかその話の輪に加わっている自分に気づき、ご縁があって駒澤陸上部の後援会に入会しました。

 漠然と大学を応援しているときと比べて、後援会に入ってからは選手たちとの距離が一気に縮まった気がして、三大駅伝以外の走りにも興味が沸きはじめました。
 家族達が田園都市線沿線に住み始めて約10年、宿泊に困らないという好条件が後押しし、仕事の合間を縫って試合観戦をするようになりました。

関東インカレで3度のビックリ

 観戦仲間に誘われて、関東インカレ最終日を観戦。仕上がった写真を後援会経由で駒大陸上部にお届けする機会に恵まれました。

 そのうちの何枚かを、駒大陸上部OBでアスリート芸人M高史さんが、朝日新聞主宰の大学スポーツメディア「4years」内で使いたいとのこと、まず驚き。掲載された記事を見て扱いの大きさに驚き。そして、もっと驚くことがやってきました。

 M高史さんから「掲載した写真を欲しいという方がいらっしゃいます。どうされますか?」とメッセージが届きました。
「はぁ~、マジですか?冗談でしょ?」これが第一声でした。


ピンぼけなんだけど

 4years編集部さんの仲立ちで、連絡をくださったのは、とある選手のお父様でした。

 息子さんの記念すべき試合の大事な瞬間が写っているのでほしいとのこと。嬉しい申し出ですが、ピントを合わせていたのは後ろの選手の方。「この写真が欲しいなんて、血迷っておられるのか?」そう感じてしまいました。

 一緒に行った観戦仲間のほうが、ピントをピタッと合わせて、見事な出来栄え。そこで私の写真に仲間の写真のデータを添えて、連絡をしてみました。返事は「どうしても記事に載った写真が欲しいのです。プリントサイズはお任せしますから」

 ここまで言われたら、やるしかありません。行きつけのカメラ店店長と試行錯誤をしながらRAW現像し、卓上サイズに仕上げてお送りしました。「出雲駅伝でお会いしましょう!」そう添えたのは言うまでもありません。

親たちの出雲駅伝 #2 につづく

(トップ画像 第30回出雲駅伝 出雲ドーム 2018.10.8 8:15)

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