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リーダーシップに苦手意識があるのは、自分にあった型を知らないから

「あなたはリーダーシップを発揮できていますか?」

そう質問されて、自信を持って「はい!」と答えられる人は少ないのではないでしょうか?

リーダーシップというと、困難な状況でも周囲のメンバーに𠮟咤激励をし、強靭な意思と推進力で突破していくような猪突猛進タイプのリーダーをイメージする人も多いかもしれません。

そもそも、リーダーシップとは何でしょうか?
ウィキペディアでは、以下のように説明されています。

「自己の理念や価値観に基づいて、魅力ある目標を設定し、またその実現体制を構築し、人々の意欲を高め成長させながら、課題や障害を解決する行動」

シンプルに言うと、「目的を達成するために人を動かす力」だと思います。

一人では実現が難しいことに対して、組織やチームといった複数のメンバーに影響を与え、行動して貰うことで目的を達成させる力です。

どんなプロジェクトも一人で完結することは難しいため、様々なスキルを持った人が集まり問題解決にあたります。そのため、職場や職種を問わず求められる普遍的なスキルと言えるでしょう。

リーダシップには特別な素質が必要で、「自分には無理や...」と思っている人も多いと思います。しかし、実際にはリーダーシップのスタイルは様々で、個人の特性に合わせたリーダーシップの発揮の仕方があります。

3つのリーダータイプ

日本を代表するマーケターであり、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をはじめとした多くの企業を、強いリーダーシップを持って立て直してきた森岡毅さんは、リーダーシップは能力の特徴によって、大きく3つの属性に分類できると、『誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命』という著書のなかで紹介されています。

それは、以下の3つの型です。

L型(Leadership) 人々を統率して動かす力を強みとする人
・人の世話を焼くのが好き
・自分で決断して実行するのが好き
・人に夢を語るのが好き

C型(Communication) 伝える力や人と繋がる力を強みとする人
・人と会ったり話したりするのが好き
・SNSで交流するのが好き
・交流会や飲み会などに参加するのが好き

T型(Thinking) 思考力を強みとする人
・考えることが好き
・戦略ゲームで遊ぶことが好き
・問題を解くのが好き

誰しもいずれかの特徴に偏りがあるのではないでしょうか。また、2つの型は強みがあるものの、1つは苦手意識を持つ人もいるかもしれません。

恐らく、多くの人がリーダーシップとして思い描くのはL型で、「やりたいこと」や「やるべきこと」が明確で、気づいたらリーダーとしての立ち位置で行動している人が多いような気がします。

しかし、リーダーシップはL型の人だけが持てるスキルではなく、後天的に伸ばしていくことができるものだと思います。実際に、これまで一緒に仕事をしてきた人のなかでも、最初は「少し頼りないかな」と思った人が、数年後には頼れるリーダーとして活躍しているケースを多く見てきました。

どのタイプが優れているということではなく、特徴を理解して強みに発展させることで、自分らしいリーダーシップが発揮できるのだと思います。

コミュニケーションに強みを持つ「C型」が目指すリーダシップ

私自身は自分の特性をC型だと思っており、相手の意図を理解したり、双方向のコミュニケーションを取ったりすることは得意とするものの、人と摩擦を起こすような決断や行動が苦手です。

直球でズバズバと問題点を指摘する、みたいなことが苦手なので、どうしても曖昧で抽象的な伝え方になりがちで、そのことで周囲のメンバーにも真意が伝わらず、落ち込むこともありました。

本書の中では、C型に向いているリーダーシップは「プル型」がよいと解説されています。

C型ならではの強みをなくすのではなく、相手からアイデアやビジョンなどを引き出すことにより、周囲を巻き込みつつリードしていくスタイルが向いているのではないでしょうか。

L型のような「プッシュ型」であれば、自分の考えを直球かつ自信を持って相手に伝えることができるので、ときにはブルドーザーのような勢いでプロジェクトを推進させることができます。

しかし、C型の人が無理して「プッシュ型」で進めようとすると、自信のなさから強い言動で相手を動かせなかったり、予想外の反発が起きた際に一歩引いてしまったりと、思うようなリーダーシップを発揮できません。

丁寧に対話を重ねたり、自分ができない部分は素直に協力を仰いだりしながら、周囲をうまく巻き込んでいくスタイルが適していると思います。

思考力に強みを持つ「T型」が目指すリーダシップ

このタイプはグイグイと行動して周囲を動かすよりも、まずはじっくりと思考を重ねた上で方針を検討するのが特徴です。

慎重に検討することは強みである一方で、慎重に考えすぎて不安を感じ、失敗することを恐れて行動を起こしにくい面があるように思います。

これまで一緒に仕事をした人の中にもT型タイプの方がいましたが、むやみに行動するのではなく、懸念点を網羅的に検討してくれることで、何度も危機的な状況に陥らずに済むことがありました。

戦略的で非常に頼れる存在であるこのタイプですが、慎重であるからこそ大きな失敗をしないメリットがあるものの、行動量が減ってしまうことで経験値も溜まりにくいというデメリットがあります。

本書の中では、慎重さの重力を突破するのに十分に強い「欲」の対象を見つけることと、メンタルをストレスに慣らす覚悟を固めることが重要だと説かれています。

慎重で失敗をしたくはないが、それ以上に実現したい対象を見つけることができれば、次々と襲いかかるストレスも乗り越えて、非常に強いリーダーシップを発揮できるのではないでしょうか。

リーダーシップを発動させる「3WANTSモデル」

本書では、リーダーシップは「欲」を根源的なエネルギーにしており、「何かを強く望まない者が、人を動かすことはできない」と書かれています。

「欲」という表現はネガティブに受け取る人もいるかもしれませんが、目的をやり遂げたときに感じる達成感や、そのことで周囲に認められることに喜びを感じることは自然なことです。

欲が強いからこそ行動に繋がり、周囲を動かす原動力にもなりますが、「実現したい」「やり遂げたい」と思える目的が見つからない人も少なくないと思います。

そのような状態においては、以下の3つの条件を同時に満たす目的を見つけられると、リーダーシップを発揮することができるとされています。

■3WANTSモデル
①巻き込みたい人々にとっても魅力的か?
②集団としての能力を必要としていることか?
③自分自身が本気になれることか?

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人が欲するか? 人を欲するか? そして何より、己が欲するか?
この3つの欲が重なるような目的がない状態だと、そもそもリーダーシップを発揮する動機がない状態なので、自分の特性として苦手な領域を突破してまで行動したいと思えないでしょう。

自分にとっても違和感がなく「欲」を持てる対象を見つけることが、最初の一歩になるのかもしれません。

小さな規模からリーダーシップの訓練をする

人は置かれた環境によって変わるものであり、難しい問題に直面するような経験値こそが成長には必要だと感じます。

厳密には、リーダーは自ら志願してなれるものではなく、周囲から求められてなるものですが、チャンスがあるならば、積極的にリーダーシップを発揮できる環境に身を置くことが重要です。

仕事であれば、規模が小さく短期間で完了するプロジェクトでもいいし、趣味やスポーツなどのプライベートの活動でもいいかもしれません。

そして「うまくいかない」失敗体験を繰り返し、ストレスに慣れていく経験を積むべきです。「失敗しても大したことないじゃん」と思えることにより、少しずつストッパーが外れて周囲を動かせる発言や行動に繋がるのではないでしょうか。

自分の改善点を「心得」として用意する

前述したように、自分の特性を理解してリーダーシップを発揮できるのが望ましいですが、苦手な領域は意識的に改善していくことも必要です。

C型である私であれば、人との摩擦を恐れたり、自信のなさから積極的に相手をリードできなかったりという課題がありましたが、自分なりの「心得」を用意して、ミーティングの前にインプットしてから臨んでいました。

口癖は「こうした方がいい」「こうすべきです」
口癖は「結論から言えば」「私があなたの立場なら」
相手の要望をそのまま受け取らず、より良いアイデアを出す
理由はメリットとデメリットを必ずセットで伝える
仮説だとしても自分の意見を言う

苦手なことに対して、「意識する」「気をつける」と思うだけで終わってしまうと、時間が経てば課題自体を忘れてしまい、改善が難しいです。

もちろん、「心得」があってもすぐ改善できるものではないですが、ミーティングの直前にインプットすることで意識的に臨めることと、終わった直後に同席したメンバーからもフィードバックがもらえれば、できていない部分が明確になり、軌道修正がしやすいのではないでしょうか。

リーダーシップは普遍的なスキル

冒頭でも書いた通り、リーダーシップのスタイルは様々で、個人の特性に合わせたリーダーシップの発揮の仕方があります。そして、先天的な素質により左右されるものではなく、後天的に身に付けられるスキルです。

特性としてリーダーシップに向いているL型でないのであれば、C型やT型の特性を強みにしたリーダーシップを目指すのがいいのではないでしょうか。そして最終的には、全ての型に強みを発揮できると理想的です。

仕事をする上で必要となるスキルは、大きくは「短期的スキル」と「普遍的スキル」の2つに大別されます。

短期的スキルは、作業に必要なツールの操作方法や、同じ職場でしか通用しないものですが、普遍的スキルは、論理思考力や言語化能力、マーケティング力、交渉力など、働く環境が変わっても長期的に仕事に活かせるスキルとなり、リーダーシップはその中でもとくに重要だと実感しています。

過剰に苦手意識を持たず、自身の特性を活かしながら、自分なりのリーダーシップを身に付けられるといいのではないでしょうか。

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