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記事コメ:コロナ後遺症へのワクチン効果 論文発表を予告

今日は表題の記事について少しコメントしておこう。

上の記事はコロナで金儲けしている某医師がLong-Covidに対するワクチン効果について論文を出しますよ~という予告をしたという記事である。この記事に対して、私は何が言いたいかというと、この様なくだらない記事を載せるなという一点である。

私の記事を読んでいる皆さんは御存じだと思うが、そもそもLong-Covidに対するワクチン効果を検証した論文は既にいくらでもあるのだ。それをわざわざマスコミを使って、予告・宣伝する意味があるだろうか。何の為にこの様な事をするのか。それは自身の知名度と影響力を拡大する為としか思えない訳だ。

記事によると、「なんの症状についてワクチンが有効なのか、なんの症状には関係ないかがわかってきました」と書いてある。成程、そんなのは皆既に分かっている。呼吸器系の症状に関しては、短期的な呼吸器症状の重症度に応じて長期的に残存する症状に程度の差があるからある程度のワクチン効果があるが、中枢神経系に関する症状は獲得免疫が機能しないからほとんど効果が無いのだろう。何度も言うが、既に証明されている。以前述べた通り、1300万人規模のコホート研究が実施済であり(Nat Med. 2022 Jul;28(7):1461-1467.)、その研究の信頼度をこの手の連中の後追い報告が上回る事などあり得ないのだ。
(参考)

既にある研究を限定化して真似する研究者は多い。よくあるたとえ話として、世界で「犬がワンと吠える」という研究が発表されると、自分達が暮らす地域で似た様な研究をして「どこどこの犬もワンと吠える」という研究を発表する研究者がいる。その様な研究者になってはいけない、という教えがある。

これは一部の一流研究者を除いて、多くの研究者が犯している愚である。本質的で一般的な偉大な研究に対して、重箱の隅をつつく様な限定的な研究に落とし込んでさも新しいかの様に振る舞うのだ。仕事が出来ない研究者としては仕方ない事なのかも知れないが、それは批判されても仕方ない姿勢なのである。

表題の仕事は正にこのような事例である。世界では既に知られている事を、自分や関連の病院だけで調べただけなのだろうし、それを論文を読めない一般人向けにマスコミを使って、あたかも自分が最新の知見を得たかの様に振る舞っているのだ。成程、日本人とその他の人種差もあるから意義があると考える人も居るだろう。だが、多くの場合、それは「一般的な事実」として共通点が確認されるだけである。それを確認することに意義があると考えるものもいるだろう。だが、その様な人たちは、それが確認される以前に於いてどの様な科学的判断基準で事象を評価しているのだろうか。「分からない事だから自分の好きに考える」という人間と、「分からない事だけど既知の科学的事実に基づいて可能な限り考察する」という人間の間にある大きな差を理解しているだろうか。私が皆さんに望む事はいつも一つ、自分で知識を集め、自分で考える力を養う事である。


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