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【免疫学者Cal】 免疫学的な視点から様々なトピックをご紹介

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  • 免疫学と新型コロナウイルスのまとめ

    免疫学の基礎知識から新型コロナウイルスの危険性、核酸ワクチンの危険性を科学的知見を基にして考える

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トップ固定記事・2023年までのまとめ

ここでは2023年のアップデートを中心に今までの流れをまとめています。 2022年までのまとめや、免疫学の基礎知識については下記を先にご覧ください。 核酸ワクチンと自己免疫疾患について 核酸ワクチンの接種から、これまでずっと一貫して訴えている重要な問題は核酸ワクチンによる自己免疫疾患リスクの上昇である。核酸ワクチンはその特有の分子生物学的機序と免疫活性化機序によって明らかに他のワクチンモダリティとは異なる危険性を有している。これは初期の記事からずっと説明している通りである。

    • 自己複製RNAワクチン製剤について

      前回少し触れた内容であるが、自己複製RNAワクチン、いわゆるレプリコンワクチンが今秋より使用される。今回はそのモダリティについて、免疫学的な視点から問題点を補足しておきたい。 実は私はここまであまりこの新規RNAワクチン製剤についてコメントをしていない。理由はいくつかあるのだが、第一に大前提としてRNAワクチンの時点で免疫学的リスクは高く、それ以上をわざわざ提言する必要が無いということ。第二に、レプリコンワクチンについても非科学的な議論が多々巻き起こっており、あまり触れたく

      • 記事コメ:コロナワクチン、3224万回分 定期接種は10月1日開始

        今日は下記の記事を見掛けて思った事を書いていく。但し、記事自体は単なる事実を記しているだけで、そこまで意味がある訳ではない。 厚生労働省は2日、今シーズンの新型コロナウイルスワクチンの供給量が約3224万回分となる見込みだと専門部会に報告した。10月1日から始まる定期接種の対象である65歳以上の高齢者と基礎疾患を持つ60~64歳の人の8割程度に行き渡る量という。  厚労省によると、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが約2527万回分、mRNAが細胞内で複製される「レ

        • 論文紹介:ワクチン誘導性リウマチ性疾患の網羅的な解析

          今日は下記の論文を紹介したい。 「Global burden of vaccine-associated rheumatic diseases and their related vaccines, 1967-2023: A comprehensive analysis of the international pharmacovigilance database」 (Int J Rheum Dis . 2024 Aug;27(8):e15294. ) ワクチン関連リウマ

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        トップ固定記事・2023年までのまとめ

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        • 免疫学と新型コロナウイルスのまとめ
          2本

        記事

          コラム:目的と手段

          今日は目ぼしい記事が無かったので久し振りにコラムを執筆しておく。テーマは目的と手段という基本的な概念だ。 理系の大学では実験実習があるだろう。そして、多くの場合レポートを提出する。レポートの構成は「目的・方法・結果・考察」が基本であろう。私も学生の時分には意味無いなと思いながらレポートを作製したものだが、研究を長くやっている内に、この基本構成の重要性に気付かされる。 この「目的⇒方法⇒結果⇒考察」という流れは研究の、いや研究に限らずあらゆる物事の基本なのだ。この順序が逆転

          コラム:目的と手段

          記事紹介:コロナワクチンの健康被害は「副反応」ではない

          今日は以下の記事を見掛けたので紹介しておこう。 記事で取材されている京大名誉教授は最近の核酸ワクチンについては反対派として有名だと思う。この人の理論は極端な部分もあるので、全てをそのまま受け取ればいいというものでもないのだが、記事の中には重要な示唆もあるのでコメントしながら紹介していきたい。 前半は用語の問題や印象の問題など抽象的な内容になっているので割愛するが興味があれば読んでほしい。私が気にしたい点としては中盤以降である。 注目すべきは実診療レベルのリアルワールドデ

          記事紹介:コロナワクチンの健康被害は「副反応」ではない

          論文紹介:コロナ感染およびコロナワクチンとギランバレー症候群

          今日は下記のレビュー論文を見掛けたので紹介しておこう。 「Guillain-Barre syndrome and link with COVID-19 infection and vaccination: a review of literature」 (Front Neurol. 2024 Jun 5:15:1396642.) 過去に何度か取り上げた事があるが、ギラン・バレー症候群(GBS)は末梢神経に対する自己免疫反応による自己免疫疾患である。原因については不明な部分

          論文紹介:コロナ感染およびコロナワクチンとギランバレー症候群

          記事紹介:立ち上がるとめまいや疲労感、コロナ後に増えた病POTSの「誤解」、運動で悪化する例が続出

          今日は下記の記事を見掛けたので紹介しておこう。具体的なコロナ後遺症の状況を詳細に記していると同時に、関連する生理学的な事象を学べる。 記事の冒頭では体位性頻脈症候群(POTS)という自律神経障害が新型コロナウイルス感染後の後遺症として紹介されている。誤解の無いように最初に言っておくと、POTSというのはあくまでそう呼ばれている症候群であるため、厳密な機序や原因が断定されているものでもなく、一つの疾患として括れるものでもない。いわゆる「病気」として扱うのが適切かどうかは要議論

          記事紹介:立ち上がるとめまいや疲労感、コロナ後に増えた病POTSの「誤解」、運動で悪化する例が続出

          論文紹介:ワクチンによる自己免疫性肝炎の診断的特徴

          今日は以下の論文を紹介しよう。 「Diagnostic features of autoimmune hepatitis in SARS‑CoV‑2‑vaccinated vs. unvaccinated individuals」 (Exp Ther Med . 2024 Jun 26;28(3):337.) 過去に何度か紹介した通り、RNAを含む核酸ワクチン接種による自己免疫性肝炎(AIH)の発症は多く報告がある。この論文では発症率の比較などではなく、AIHにおけるワ

          論文紹介:ワクチンによる自己免疫性肝炎の診断的特徴

          記事紹介:暑くても人混みでは「マスク」したほうがいいこれだけの理由:新型コロナ第11波で

          オミクロン株KP.3の台頭によって、既存の獲得免疫が回避され、新型コロナウイルスの感染拡大が進んでいる。最近の変異株研究は既存の免疫回避が主となっており、わざわざ紹介する事でもないので話題にしていないが、以前から述べている通り、そもそもRNAウイルスに対してワクチンで対抗しようというのが間違いである。その変異の速さは絶対にワクチンで対応できるものではないからだ。また、変異による免疫回避は下手をすれば抗体依存性感染増強(ADE)の原因にもなり得る。新型コロナウイルスはそれに加え

          記事紹介:暑くても人混みでは「マスク」したほうがいいこれだけの理由:新型コロナ第11波で

          論文紹介:新型コロナウイルスの長期的残存とT細胞活性化

          今日は最近記事などにもなっていて話題になっている論文を紹介しよう。論文は以下のものである。 「Tissue-based T cell activation and viral RNA persist for up to 2 years after SARS-CoV-2 infection」 (Sci Transl Med . 2024 Jul 3;16(754):eadk3295. ) さていつも述べている通り、新型コロナウイルス最大の問題は長期的な中枢神経系感染と神経系

          論文紹介:新型コロナウイルスの長期的残存とT細胞活性化

          論文紹介:核酸ワクチン接種後の自己免疫疾患の長期リスク(追記あり)

          今日はプレプリントであるが、興味深い研究を見掛けたので紹介しておこう。いつも言っている通り、核酸ワクチンは特有の免疫活性化機序を持ち、自己免疫疾患のリスク要因となるのは明白である。以下の論文は韓国におけるRNAワクチンの長期的な自己免疫疾患リスクをコホート研究によって評価した仕事である。 「Long-Term Risk of Autoimmune Diseases After mRNA-based COVID-19 Vaccination: A Korean Populat

          論文紹介:核酸ワクチン接種後の自己免疫疾患の長期リスク(追記あり)

          論文紹介:RNAワクチン接種と免疫介在性合併症の発症との関連性

          以前から述べている様に、核酸ワクチンは自己免疫疾患や炎症性疾患のリスクとなり得る。今までは症例報告が多かったが、ここ最近ではコホート研究でリスクを明確に証明した研究も増えてきている。そこで、今日は下記の論文を紹介しておこう。 「The association between BNT162b2 vaccinations and incidence of immune-mediated comorbidities」 (Vaccine . 2024 May 9:S0264-410

          論文紹介:RNAワクチン接種と免疫介在性合併症の発症との関連性

          記事紹介:「副作用のない」新型コロナ「ワクチン」の持つ意味とは

          今日は下記の様な記事を見掛けたので紹介しておこう。 最近、国内の研究グループが、PEGなどの製剤化物質を使わない「裸」のmRNAワクチンを開発したというニュースがちらほら見られている。この記事では、その詳細について分かりやすく書いてくれている。 現在新型コロナウイルスに対して使われているRNAワクチンには記事にある通り脂質をベースにした構造体をRNA製剤の外殻として用いている。これが免疫原性を持つことで炎症反応などの原因になるという側面もある。そこで、可能な限り余分な成分

          記事紹介:「副作用のない」新型コロナ「ワクチン」の持つ意味とは

          記事・論文紹介:新型コロナワクチンはコロナ後遺症を予防する?

          今日は下記の記事を踏まえて新型コロナウイルス後遺症に関する最新の論文を紹介しておこう。 過去にも同様の研究についていくつか紹介してきたが、新型コロナウイルス後遺症とワクチンの関連はよく調べられている事項である。今回の研究は米国の大規模な電子カルテデータを用いて、ワクチン接種が後遺症のリスクに与える影響を調べたもので、32万人以上のCOVID-19患者を対象に、ワクチン接種者と未接種者で発症率を比較している。論文は以下のものだ。 「Post-COVID conditions

          記事・論文紹介:新型コロナワクチンはコロナ後遺症を予防する?

          記事・論文紹介:mRNAワクチンによる認知症発症率の増加

          今日は気になる記事を見掛けたので、元の論文と併せて紹介しておきたい。記事と論文は以下のものである。 「A potential association between COVID-19 vaccination and development of alzheimer's disease」 (QJM. 2024 May 28:hcae103.) 論文はQJMというそこそこの雑誌に掲載されており、研究内容も症例報告ではなくコホート研究で有意な差を算出しているのでそれなりに意義が

          記事・論文紹介:mRNAワクチンによる認知症発症率の増加