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【免疫学者Cal】 免疫学的な視点から様々なトピックをご紹介

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  • 免疫学と新型コロナウイルスのまとめ

    免疫学の基礎知識から新型コロナウイルスの危険性、核酸ワクチンの危険性を科学的知見を基にして考える

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トップ固定記事・2023年までのまとめ

ここでは2023年のアップデートを中心に今までの流れをまとめています。 2022年までのまとめや、免疫学の基礎知識については下記を先にご覧ください。 核酸ワクチンと自己免疫疾患について 核酸ワクチンの接種から、これまでずっと一貫して訴えている重要な問題は核酸ワクチンによる自己免疫疾患リスクの上昇である。核酸ワクチンはその特有の分子生物学的機序と免疫活性化機序によって明らかに他のワクチンモダリティとは異なる危険性を有している。これは初期の記事からずっと説明している通りである。

    • 論文・記事紹介:「新型コロナ後遺症の原因」の手がかりを示す新たな研究

      今日は下記の記事を見掛けたので、基の論文と併せて紹介しておこう。 記事では初回感染から数カ月経過した新型コロナ後遺症患者の血液中にSARS-CoV-2タンパク質を検出したという論文を紹介している。これは、潜在的な持続的ウイルス感染が起こっており、それが新型コロナウイルス後遺症と関連している可能性を示している。基の論文は以下のものである。 「Measurement of circulating viral antigens post-SARS-CoV-2 infection

      • 記事・論文紹介:「レプリコンワクチン」は長期免疫力で従来型を凌駕?

        今日は下記の記事を見掛けたのでコメントしておこう。 上記の記事では論文を引用しながらレプリコンワクチンがファイザーのmRNAワクチンよりも長期に渡って高い抗体価を維持するという研究を紹介している。記事の記述が不親切なため(Lancetの姉妹紙という書き方をせず、ちゃんと雑誌名を正確に書くべき)、論文を探すのは少し面倒だったが、元の論文は以下のものである。 「12-month persistence of immune responses to self-amplifyin

        • 記事コメ:難病・潰瘍性大腸炎が”国の指定”から外される危機

          今日は下記の記事を見掛けたのでコメントしておきたい。 記事では潰瘍性大腸炎について、指定難病から外されるのではないかという憶測がなされている現状を紹介している。記事でもある通り、潰瘍性大腸炎は免疫系の過剰な反応が原因である自己免疫疾患の一種であり、自己免疫疾患であるが故に根治療法はなく、免疫抑制剤による対症療法が主である。また、高額な医療費についての言及があるが、これは近年自己免疫疾患領域で盛んに用いられている生物学的製剤、いわゆる抗体製剤の事である。 潰瘍性大腸炎やクロ

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        トップ固定記事・2023年までのまとめ

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        • 免疫学と新型コロナウイルスのまとめ
          2本

        記事

          コラム:ノーベル賞2024

          今年のノーベル医学・生理学賞が発表された。今年の受賞テーマは「マイクロRNAと翻訳制御の発見」という事だ。 核酸ワクチンについて説明して久しいが、一般の皆さんもメッセンジャーRNA(mRNA)についてはよく知っている事だと思う。一方で、マイクロRNA(microRNA;miRNA)というのはなじみがないのではないだろうか。これは遺伝子から転写されるmRNAとは異なる機能を持つ比較的小さいRNA分子である。 通常のセントラルドグマでは遺伝子情報を持つDNAからmRNAが転写

          コラム:ノーベル賞2024

          記事コメ:レプリコンワクチンに「強い懸念」、今の医学の限界を超えた 安全性を誰も理解できていない

          今日は下記の記事を見掛けたので紹介しておこう。 記事では全国有志医師の会代表、藤沢明徳氏の署名入りの声明を引き合いにしてコメントを書いている。この声明に於いてレプリコンワクチンに反対する理由は以下の通りだそうだ。 1.「次世代型」などと呼ばれていますが、「mRNA-LNP(スパイクタンパクの設計図が書き込まれたmRNAをLNP=脂質ナノ粒子で包んだ構造)」というプラットフォームを応用している点は、従来のmRNAワクチンと変わりありません。LNPが激しい炎症反応を引き起こす

          記事コメ:レプリコンワクチンに「強い懸念」、今の医学の限界を超えた 安全性を誰も理解できていない

          コラム:ノーベル賞2024-予想

          さて、明日から10月ということで、今年もノーベル賞の季節がやってきた。来週から医学・生理学賞を皮切りに発表が始まる。今年は調子に乗ってノーベル賞のテーマ予想をしてみようと思う。先に言い訳をしておくが恐らく当たらない。去年などは特に政治的判断による史上最悪の選出になっているし、もはや基準も原則も何もあったものではないからだ。 一方で、予想してみようと思った理由は別にある。実は医学・生理学賞は数年おきに免疫・感染症分野の受賞が入っている。今年はスパンから見ても、免疫学の基礎分野

          コラム:ノーベル賞2024-予想

          コラム:科学と哲学

          前回のコラムでは科学においても非科学においても、目的と手段の重要性を記した。さて、科学という言葉はよく使うのだが、そもそも科学とは何なのか、というのは人類が昔から扱ってきたテーマである。また、そのテーマ自体は最早科学ではなく哲学や宗教の世界に足を踏み入れている。 そもそも科学と哲学は深い関係にある。自然科学分野において、博士号を取得した場合、英語圏では専攻分野に関わらずPh.D.という称号になる。これは過去のコラムでも書いたが、ラテン語に由来して「哲学博士」の略であり、リベ

          コラム:科学と哲学

          自己複製RNAワクチン製剤について

          前回少し触れた内容であるが、自己複製RNAワクチン、いわゆるレプリコンワクチンが今秋より使用される。今回はそのモダリティについて、免疫学的な視点から問題点を補足しておきたい。 実は私はここまであまりこの新規RNAワクチン製剤についてコメントをしていない。理由はいくつかあるのだが、第一に大前提としてRNAワクチンの時点で免疫学的リスクは高く、それ以上をわざわざ提言する必要が無いということ。第二に、レプリコンワクチンについても非科学的な議論が多々巻き起こっており、あまり触れたく

          自己複製RNAワクチン製剤について

          記事コメ:コロナワクチン、3224万回分 定期接種は10月1日開始

          今日は下記の記事を見掛けて思った事を書いていく。但し、記事自体は単なる事実を記しているだけで、そこまで意味がある訳ではない。 厚生労働省は2日、今シーズンの新型コロナウイルスワクチンの供給量が約3224万回分となる見込みだと専門部会に報告した。10月1日から始まる定期接種の対象である65歳以上の高齢者と基礎疾患を持つ60~64歳の人の8割程度に行き渡る量という。  厚労省によると、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが約2527万回分、mRNAが細胞内で複製される「レ

          記事コメ:コロナワクチン、3224万回分 定期接種は10月1日開始

          論文紹介:ワクチン誘導性リウマチ性疾患の網羅的な解析

          今日は下記の論文を紹介したい。 「Global burden of vaccine-associated rheumatic diseases and their related vaccines, 1967-2023: A comprehensive analysis of the international pharmacovigilance database」 (Int J Rheum Dis . 2024 Aug;27(8):e15294. ) ワクチン関連リウマ

          論文紹介:ワクチン誘導性リウマチ性疾患の網羅的な解析

          コラム:目的と手段

          今日は目ぼしい記事が無かったので久し振りにコラムを執筆しておく。テーマは目的と手段という基本的な概念だ。 理系の大学では実験実習があるだろう。そして、多くの場合レポートを提出する。レポートの構成は「目的・方法・結果・考察」が基本であろう。私も学生の時分には意味無いなと思いながらレポートを作製したものだが、研究を長くやっている内に、この基本構成の重要性に気付かされる。 この「目的⇒方法⇒結果⇒考察」という流れは研究の、いや研究に限らずあらゆる物事の基本なのだ。この順序が逆転

          コラム:目的と手段

          記事紹介:コロナワクチンの健康被害は「副反応」ではない

          今日は以下の記事を見掛けたので紹介しておこう。 記事で取材されている京大名誉教授は最近の核酸ワクチンについては反対派として有名だと思う。この人の理論は極端な部分もあるので、全てをそのまま受け取ればいいというものでもないのだが、記事の中には重要な示唆もあるのでコメントしながら紹介していきたい。 前半は用語の問題や印象の問題など抽象的な内容になっているので割愛するが興味があれば読んでほしい。私が気にしたい点としては中盤以降である。 注目すべきは実診療レベルのリアルワールドデ

          記事紹介:コロナワクチンの健康被害は「副反応」ではない

          論文紹介:コロナ感染およびコロナワクチンとギランバレー症候群

          今日は下記のレビュー論文を見掛けたので紹介しておこう。 「Guillain-Barre syndrome and link with COVID-19 infection and vaccination: a review of literature」 (Front Neurol. 2024 Jun 5:15:1396642.) 過去に何度か取り上げた事があるが、ギラン・バレー症候群(GBS)は末梢神経に対する自己免疫反応による自己免疫疾患である。原因については不明な部分

          論文紹介:コロナ感染およびコロナワクチンとギランバレー症候群

          記事紹介:立ち上がるとめまいや疲労感、コロナ後に増えた病POTSの「誤解」、運動で悪化する例が続出

          今日は下記の記事を見掛けたので紹介しておこう。具体的なコロナ後遺症の状況を詳細に記していると同時に、関連する生理学的な事象を学べる。 記事の冒頭では体位性頻脈症候群(POTS)という自律神経障害が新型コロナウイルス感染後の後遺症として紹介されている。誤解の無いように最初に言っておくと、POTSというのはあくまでそう呼ばれている症候群であるため、厳密な機序や原因が断定されているものでもなく、一つの疾患として括れるものでもない。いわゆる「病気」として扱うのが適切かどうかは要議論

          記事紹介:立ち上がるとめまいや疲労感、コロナ後に増えた病POTSの「誤解」、運動で悪化する例が続出

          論文紹介:ワクチンによる自己免疫性肝炎の診断的特徴

          今日は以下の論文を紹介しよう。 「Diagnostic features of autoimmune hepatitis in SARS‑CoV‑2‑vaccinated vs. unvaccinated individuals」 (Exp Ther Med . 2024 Jun 26;28(3):337.) 過去に何度か紹介した通り、RNAを含む核酸ワクチン接種による自己免疫性肝炎(AIH)の発症は多く報告がある。この論文では発症率の比較などではなく、AIHにおけるワ

          論文紹介:ワクチンによる自己免疫性肝炎の診断的特徴