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苦難の歴史を共に乗り越えた要塞

約700年間に渡り、スウェーデンとロシアの大国から、植民地統治を受けた苦難の歴史を持つ北欧の国、フィンランド。この期間には、大北方戦争、ロシア・スウェーデン戦争、クリミア戦争等、世界史に残る戦争も経験しています。

スウェーデンとロシアにはさまれたフィンランド

この苦難の歴史の中、1748年ヘルシンキを占領していたスウェーデンにより、ロシアからの防衛目的のための海上要塞の建設が始まります。

ヘルシンキ近郊にある6つの島(群島)を結ぶこの海上要塞は、その後、第二次ロシア・スウェーデン戦争(フィンランドを戦場としたためフィンランド戦争とも呼びます)で勝利を収めたロシアに、1809年に引き渡され、110年に及びロシアの海軍基地としての役割を果たすことになります。クリミア戦争の中、1855年にはイギリス海軍、フランス海軍による艦隊の艦砲射撃により損害を被ります。

1917年に晴れてフィンランドが独立を果たすと、捕虜収容所として利用されるも、1973年軍事施設と部隊が全て撤収し、現在では博物館や公園、観光案内所、レストラン等に改造され、観光客を迎える観光地として生まれ変わりました。

6つの島を結ぶほどの規模と、海と芝に覆われた美しい景観、
そして700年という長い歴史の間続いたスウェーデン、ロシアの統治下でも、民族の誇りと希望を持ち続け、戦い生きてきた小さな国フィンランドの歴史的価値が認められたのでしょう。

1991年にフィンランド語で武装解除を意味する
スオメンリンナの要塞
として、世界文化遺産に登録されました。

今もなお、居住する800人の人々と、訪れる観光客に、戦争の産物を忘れさせるくらいの、美しい景観と自然を楽しませてくれることでしょう!

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