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5Gの魅力を追求! WebからRCカーを操作『5G PLAYGROUND』レポート

こんにちは、イメージソース広報の中丸です。

イメージソースでは、新たなテクノロジーを使った表現やアイデア、デバイスの可能性を模索するR&D(研究開発)活動を日々の業務と並行しておこなっています。現在取り組んでいるのは、『IMG SRC 5GLAB』と名付けられた研究開発。第5世代移動通信システム(通称:5G)の技術を活用して、多くの人にとって身近で親しみやすい体験づくりを目的としたものです。その第一弾となるのが、5Gの楽しさを伝える実験の場『5G PLAYGROUND』。先日行った体験会では、スマホのWebブラウザから遠隔操作できるRCカーを使用し、複数人で楽しめるオンラインゲームの様な体験を用意しました。参加された方々には、実際にお手持ちのスマホからリモートで体験いただきました。

ここでは、当プロジェクトの総合的なディレクションを担当した吉井正宣と、ハードウェア開発をしながら実制作全体をマネージメントしてきた高野幹に話を聞きながら、体験会の様子をレポートします。

高速大容量・低遅延・多接続という5Gの魅力を多くの人に

ユーザーは、スマートフォンでQRコードを読み取り、『5G PLAYGROUND』のWebサイトにアクセスするだけで準備完了。画面上には、RCカーに取り付けられたカメラの映像と、RCカーを操作するためのコントローラーが映し出されます。プレイヤーは映像を見ながら指一本で操作し、遠隔地にあるRCカーを走らせていきます。複数人で同時に参加ができ、レースゲームや、球技、鬼ごっこのようなものなど、様々なゲームや競技を体験できます。体験会では、シンプルなサーキットを用意し、最大4人でレースをして頂きました。

「5Gの特徴のなかでも、まずは低遅延にフォーカスをしてみました。本当に超低遅延が実現できれば、エンドユーザーが楽しく遊べるもへ応用がききやすいためです。そして、検証する手段として、まずはRCカーを遠隔操作することから始めました。遅延が体感に与える影響を測るうえで丁度良いと考えたので」(高野)

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▼体験会で用意された競技は、4台のRCカーでスピードを競うゲーム「THE RACE」です。他にも、2対2で相手の陣地により多くのボールを送り出すゲーム「PUSH BALL」。さらに、動き回る高性能ロボットを先に捕まえたほうが勝ちというゲーム「ROBO HUNT」、2対2のチーム戦でピンをより多く倒す遊び「PIN STRIKE」など、事前にいくつかのアソビのプロトタイプをつくりましたリアルタイムで映像を見ながらRCカーを自由に動かすことができるため、アイデア次第で遊び方は広がります。

現在、5Gの実証実験は主に医療、産業、工場などの業界がリードしているように見受けれられますが、イメージソースでは一般の方々が気軽に楽しめる5G体験に着目し、今回のような研究開発を進めています。

「私達制作会社の間でも、5Gプロジェクトというと、専用の機材や環境を用意して臨む印象を持ってる人も多いと思います。しかし、今では5G対応スマホも発売され、通信環境も広がっていますので、その状況下で、現時点では一般向けにどんな体験を提供できるのかを、プロトタイピングを通じて具現化してみようというのがことの始まりです。現状を身をもって把握した方が、今後何ができるのか、どうなりうるのかをより深く洞察できると考えたので」(吉井)

実証を通じて見えた5Gの可能性

実際に体験頂けるものをカタチにし、多くの人に向けて体験会を開催した現在の感想を聞いてみました。

「まずは、十分操作できるレベルまで遅延を抑えられるという確証を得られたことが大きいです。そこさえクリアできれば、何に応用するは、予算と時間次第で様々なものに発展させられます。ドローンを使ったり、水上に何かを走らせたり…。コンテンツとしても、今回のRCカーをモーション・トラッキング・カメラで検出すれば、3DCGと合成して順位を記録・表示したり、味方とのコミュニケーション、敵への攻撃など、オンラインゲームのような高度な機能やUIも可能になります」(吉井)

「ラジコンのように実機を動かすものは、専用のコントローラーやプロポ、もしくはスマホアプリをダウンロードして、ラジコンと同じ場所で操作することが一般的かと思います。しかし、今回RCカーに装着したWebカメラ映像をストリーミングして、スマホのWebブラウザから遠隔地にあるものを低遅延で操作することができた。そこを体感できたことは大きいですね。知見もいろいろと溜まりました」(高野)

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Webを使うことで参入者が増え、マーケットも広がる

『5G PLAYGROUND』では、高野のコメントからもわかる通り、アプリを使わずにWebブラウザから操作するという点が大きな特徴となります。それはなぜなのでしょう。

「一番は手軽さです。ユーザーにとって、アプリをダウンロードする行為は手間ですから。また、制作側の目線でも、アプリエンジニアだけでなくWebエンジニアにとっても開発のハードルが下がれば、5Gコンテンツ開発の裾野が広がるかもしれません」(高野)

「“5Gをより身近に、より楽しく” というのは、エンドユーザーだけでなく制作側にとってもという意味が込められています。専門的な知識や技術がなくても5Gを使ったコンテンツを作れるという実例を残したことで、業界全体の成長や発展の一助になればいいなと思います。マーケットが大きくなれば我々にも還元されますから」(吉井)

もっとも困難だったのは「低遅延化」

5Gを使って遠隔操作しながら遊べることの体感・実証ができたことを最大の成果だと語るふたり。そこまでに至る道のりとして、最も困難だったのはどこだったのでしょう。

「市販されている製品や開発環境を使って最大効果を発揮することを第一にしていたので、その選定や最適化で苦労しました。一番の問題は “低遅延化” でしたが、そこはWeb担当の本田と相談しながらシステム構成を変えることで改善していきました」(高野)

低遅延化には苦しめられ、研究開発のスタートから活路を見出すまでに約6ヶ月かかったという。通信部分は、他のプロジェクトと併行していたのもあり時間がかかり、安心できる結果を得るまでに時間がかかりました。

「最初の3ヶ月は、遅延が大きく、操作が難しい状態でした。次の3ヶ月で低遅延化に向けた各種検証をおこない遠隔であっても十分操作できるレベルになりました。残り3ヶ月でユーザーが楽しめるカタチに落としていきました」(吉井)

「初期のプロトタイプはRCカーにスマホを載せ、カメラ映像は直接スマホから送信する構成でした。しかし、RCカーの操作はRCカーに搭載されたスマホからさらにBluetoothで制御する必要があり、それではどうしても遅延が発生してしまうため、JetsonNanoというシングルボードコンピュータに置き換え、極力ボトルネックになりそうなものを取り除き高速化させました。通信プロトコルもWebRTCやMQTTを試してみた結果、遅延が約0.3秒程度になり、体感として許容範囲になったんです」(高野)

5Gが身近になると遊びがさらに進化する

最後に、5Gを使うことで広がる未来予想図を聞いてみました。

「次は多接続にも着目し、台数を増やしてみたいです。オンラインゲームでは60人とか普通になっているので、実物の遠隔操作でも試してみれればと。あとは、人・RCカー・ドローン・4足歩行ロボットなどを混在させて戦うサバイバルゲームを、山の中でおこなうとかも面白そうですね。ゲームでもスポーツでも、人間と多種多様なロボット、それぞれの強みが活きるようバランスを調整すればおもいろい体験になるのではないかと思います。」(吉井)

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「我々にとって5Gのよさは屋外で楽しめることです。室内であればWi-Fiで十分ですから。そう考えると、野外でXRゴーグルなどをかぶりながら360°見渡して操作をしたり、あとは、空や海の中、火の中など、人間が生身では居続けられない場所でロボットを遠隔操作し、そこに居るかのような臨場感のある体験ができれば面白いなと思います。6G以降になったら宇宙にあるものも遠隔操作できる時代もくるかもしれないですね」(高野)

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<スタッフリスト>
高野 幹  エンジニア
吉井 正宣 テクニカルディレクター
近藤 クリストファー アートディレクター
菅野 悟史 ディレクター
佐々木 伽耶人 ディレクター
本田純一 Webエンジニア

『5G PLAYGROUND』について詳しくはこちら↓




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