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6月第4週〜北海道〜

1日目

女満別空港へ

 私の旅行としては珍しく昼過ぎに家を出て羽田空港へ向かった。というのも今回の旅行は開学記念日を利用した9泊10日の旅だったので時間にゆとりがあったのだ。もちろんセールで安くなっているのがこの時間のものだったというのも強く影響はしている。
 その日は羽田空港でバードストライクが発生しており滑走路が片方封鎖されていた影響で20分程遅れたが、目的地である女満別空港からのバスはしっかり待ってくれるので問題はない。飛行中はちょっとしたジェットコースターぐらいは揺れており久しぶりにあの嫌な浮遊感を味わった。

かわいいサイズの飛行機

網走泊

 次の日の観光に備えその日は網走駅近くの宿に泊まることにした。宿の周りにお店が無いことが分かっていたので北海道旅行あるあるのセイコーマートへ行った。節約旅行では味気ないものになりがちな食事だが北海道はコンビニ飯もが地元のものになるのでありがたい。そして丁度人が少ないタイミングだったので念願のセコマカードを作った。これがあるだけでかなり安くなるので周りの旅行好きがみんな持っており憧れがあったのでこれだけでとても嬉しい。
 セコマで買い物を済ませ向かったのは民宿ランプという宿である。ここはライダーが多く来るようで宿のお母さんがとても優しく接して下さった。内装は良く言えば歴史を感じるような建物ですごくおばあちゃん家に来たような感じがするが綺麗に使われていた。ここの宿に泊まる人が気にするのは部屋にお風呂もトイレもついておらず共用であるという点だろう。だがこれがひとつの長所となっておりお風呂は2、3人が一度に入れそうな浴場を独り占めすることができとても開放感があった。

線路の傍にある民宿ランプ

2日目

オホーツク流氷館

 この日は網走といえばの博物館めぐりをすることに決めていた。交通の便の関係であまり時間をかけることができないのが悔しいところである。
 まず訪れたのはオホーツク流氷館でありここでは流氷というものがどういうものなのかを素人にも分かりやすく説明してくれる。多少高い料金を払うことにはなるのだが沢山いらっしゃるスタッフの方が皆さん親切でその高さにも納得してしまった。
 中では小さな水槽がいくつかありそこにはクリオネが泳いでいた。何気に初めてクリオネを見たので想像よりも小さいその姿に驚いた。その隣には流氷に関する映像が上映されているゾーンと実際の流氷に触れるゾーンがあった。映像はその特性上揺れもあり酔いやすい人は酔うだろうなと感じた。流氷体験のゾーンはその寒さを活かしタオルを回して凍らせる体験が出来るのがとても良い。テレビで見ることもあるので憧れの存在となっているのはきっと私だけでは無いだろう。部屋から出た時に曇ったメガネを拭けるように物が用意されているのもポイントが高い。

凍ったタオルと剥製キツネ

北方民族博物館

 次に訪れたのはオホーツク流氷館から整備された遊歩道を通ってすぐの北方民族博物館である。ここは日本との繋がりではなくロシアやグリーンランドなどの本当の北国との繋がりがメインとなっているので、これまで見てきたどの博物館よりも文化の繋がりを感じることが出来て面白い。
 当たり前かもしれないがアイヌはアイヌでもどこのアイヌのものか書かれているのが文化の違いを感じやすかった。よくある衣服以外にも多くの展示があり文化とは生活であることを思わされる。また、過去に愛知のリトルワールドと苫小牧の近くにあるウポポイというアイヌの博物館を訪れていたことで実物に対する感動が上がった。是非とも地理の民は行って欲しい。

見やすい綺麗な博物館

博物館 網走監獄

 網走観光のメインはやはりここ、網走監獄である。入館料が高いだけあって展示はとても見やすく分かりやすかった。博物館自体が説明から見て!というスタイルかつ色んな言語を使う人に対して日本語話者と同じように体験してもらおうという意欲が感じられるので見ていてなんだか嬉しくなった。博物館として昔のものだけでなく今の刑務所はどうなのか、この歴史にどう向き合っているのかまで示されていて完成度がとても高い施設である。
 残念なことによくオススメされている再現されたご飯を食べる時間はなかったし、なんなら展示ももっとゆっくり丁寧に見たかったのでまた絶対訪れようと決意した。

よく見る脱獄人形

3日目

北きつね牧場

 3日目の始まりは北きつね牧場からであった。ここではきつねとたぬきが放し飼いされておりそれを一定の距離を保ちながら観察することができる。宮城県にも同じタイプの施設がありそちらに友人の勧めで訪れたことがあったのでここも気になっていたのだ。
 宮城のと比べるととても安いがその分小さい。だがここにはたぬきもいて人も少ないからのんびり見るにはちょうどいい施設であった。人馴れしていないので距離感が野生のものでその緊張感が心地よかった。今回は夏毛のほっそりした子がほとんどだったので次に訪れるときは冬毛の子達を沢山愛でたい。

木下のきつね

山の水族館ー北の大地の水族館ー

 ここはTwitterで度々話題になる押すと館長が出てくるボタンがある水族館でありずっと気になっていた。今回のこの旅程はここに行くために組まれていると言っても過言ではない。ちなみにこのボタンは残念ながら館長さんが不在だったので押すことは出来なかった。
 中は小さいがひとつひとつが工夫されて展示されているので見どころが多い。冬になると凍る水槽などの設備面もそうなのだが、説明書きを読みたくなるように仕組まれておりその大人のための水族館かのようなシステムにわくわくした。普通の水族館なら何度もTwitterでバズっていてもおかしくないような説明書きをぜひ見に行ってほしい。

オチが良い説明書き

トリトン

 この日のうちに西留辺蘂駅から旭川駅まで移動する必要があったのだが、本数の関係で4時間以上の待ちがどこかで発生することが確定していたのでトリトンのある遠軽まで移動することにした。トリトンとはネタが大きく美味しいことで有名な北海道のチェーン寿司屋である。その人気から長時間待つことが多いのでいつか郊外の店舗を狙って行ってみたいと思っていたのだ。
 実際今回行った店舗では15時という時間も味方して私以外に客はいなかった。カウンターに付くと担当の方が挨拶をしてくれるのも事前情報と同じで嬉しくなる。実際に頼んだ寿司もネタは大きくぷりぷり、握られてすぐ出てくるという点も含めてとてもよかった。そして私の1番の大好物である茶碗蒸しも栗が入っていることで甘めの味で幸せになれた。栗ご飯の甘さが好きな人はこの茶碗蒸しもきっと好きになるだろう。

写真じゃ伝わりにくいけど大きい

4日目

旭山動物園

 札幌まで移動せずに旭川に寄ったのはこの旭山動物園に行くためである。前回北海道を訪れたときはちょうど冬期間だったので休園していたので行くことが出来なかったのだ。
 普段私は水族館ばかり行っており動物園に関する知識が少ないので特徴を掴むことができないのがもどかしい。手書きが多く小学生に対してだと思われる掲示が多いのだがここの特徴なのだろうか。園自体は広さと高低差を活かして下から上に見ていく構造になっており、実際に触れるものや距離が近いものが多かった。
 そんな中大人にこそ是非見てほしいのは医大祭ものコラボ企画である。提携している研究企画のポスター展示はよくあることなのだがここはそのポスターの見やすさが段違いである。序盤の死に関わる展示が特に興味深かったのでここは足を止めてみる価値があるだろう。他にも死に関わるものとして檻に喪中ハガキが貼ってあることも多かったのでこの死への向き合い方はここの園の特徴なのかもしれない。
 動物達のオススメはペンギンとチンパンジーだ。ペンギンは水族館にもいるということもあって比較ができるのだがここの子は好奇心旺盛な個体が多くすごく近くまで寄ってきてくれる。しかも外の展示はそもそもの距離が近いのでこちらから適切な距離を保つ必要があるタイプであった。チンパンジーは施設の工夫の賜物といった展示で餌箱をガラス沿いに作っていることで寄ってきやすいようになっていた。空いているときにこのような場所をのんびり眺めることができるのは幸せ以外の何物でもないだろう。

距離の近いペンギン

旭川市博物館

 動物園だけでおしまいというのは寂しいので旭川駅から歩いて旭川市博物館に行くことにした。想像していたよりも良い立地と建物にあり、中は県レベルの展示が行われていて北海道という場所の特異さを感じることができる。
 展示のレベルは基本的なものが多く小学生が地元に関する知識をつけるのにちょうど良いという感じであった。レベルが低いのではなくフリガナは無いが実物サイズでの模型や体験系が多いところから地元の小学生向きだと感じたのだろう。アイヌに関しては実際の衣類や歴史はもちろん、物語を家に入っておばあちゃんの人形から聞くスペースもありお金がかかっていると感じた。ここ数ヶ月で見慣れ始めてしまったアイヌの展示をこれからどう深堀していくかが大切だと思わされた。

市博にしては大きい博物館

できたて屋

 旭川から札幌駅に電車で移動してから私の大好きなできたて屋というお店で夕食とすることにした。ここは私が札幌駅周辺に泊まる際には絶対に行くお店であり、根室花まるの系列店の一夜干しがとても美味しいお店なのだ。初めて行ったときには少しお高い印象だったのだが周りのお店の値上げの影響でむしろ安く感じた。
 今回はトロさばにアスパラの炊き込みご飯のセットを選んだ。白米より少し値は張るが濃厚な卵黄漬けと月替わりの炊き込みご飯の誘惑には敵わない。食べ放題の漬物をつまんでいると直ぐに料理が運ばれてきた。油がじゅわじゅわで旨みたっぷりの鯖に柔らかいアスパラの炊き込みご飯がベストマッチで幸せはお金で買えることを感じられる。他の海鮮丼メニューや揚げ物も全部オススメなので是非寄ってほしい。

ここまでくると美しいセット

5日目

おたる水族館

 フェリーの関係で札幌での滞在日数が多くなっていたのでこの日は少し遠出して小樽へ行くことにした。となれば水族館好きとして外せないのは有名なおたる水族館である。
 便利なバスを使い到着すると想像していたよりも良く言えば歴史を感じる建物で少し心配になった。だが展示を見れば見るほど試みが多く、新しい水族館としての側面を見つけることができた。展示も水族館という施設そのものに興味がある人は絶対に寄るべきというような大人向けの説明が多かった。大学のパネル展示を分かりやすく展示に落とし込んでいるのも好感が持てる。生き物の展示は大きな水槽から探すことが多くミッケをしているような気分になった。また、初めてちゃんと見たマグロや八本腕のイトマキヒトデ、ずっと食べようか迷っているニシンを見ることができて個人的に満足できた。ちなみにその後先述のできたて屋を訪れてしっかりニシンを食べたのは言うまでもない。

ニシンは美味しくいただきました

 水族館といえばショーを楽しみに訪れる人も多いだろうがそんな人はこのおたる水族館が向いている。というのも海獣に強いここでは魚類以外への力の入れ方が強いのだ。
 オタリアとイルカショーでは説明書きよりも多い情報量をひたすらアナウンスするなか、生き物たちが指示に合わせて動くタイプでただ動きを見せるだけじゃない点がよかった。説明メインでも尺が持つのは小技がとにかく多いからだろう。特に初めて見たアシカとアザラシの真似をするオタリアはあまりにも面白くて可愛くてメロメロになってしまった。

わざとペタペタ動いてるオタリア

 ペンギンに関するイベントはおさんぽとショーの2つがある。どちらともに対して言えるのはやろうかな、という気になった子だけが出てくるので運次第というシステムなのだ。私が見た回ではペンギンのおさんぽには2羽だけしか出てこなかったので、ペンギンにしては珍しく群れ行動ではなく2羽だけがペタペタ歩いて海までおさんぽをすることになっていた。ちなみにこのときはペンギンのヒナがバックヤードにいたのでおさんぽが終わったあとに雛を10秒だけ見せてくれるというイベントが行われていた。親と比べるとふわふわ度合いが違って可愛さが引き立っていた。

小さなドアから見せてくれる

 ペンギンショーは全く言うことを聞かないペンギンを見ることができる。飼育員のお兄さんがバケツに入った魚を見せながら「君、いかがですか?」「やってくれたらお魚あげますよ」と丁寧に交渉していたのが印象的である。この交渉は決裂して魚だけもらう子がいたり、見向きもしない子がいるのもこのショーの魅力だろう。そもそもショーに参加するかどうかも自由となっているのでのんびりとしたペンギン時間を感じることができた。

ペンギンに交渉中のお兄さん

小樽市総合博物館

 水族館で癒された後は大好きな機関車シゴゴがいる小樽市総合博物館を訪れることにした。行って思ったのは北海道の鉄道起点の地ということもあって中はほとんど鉄道博物館であるということだ。古いものはもちろん雪に関するものが多く土地を感じることができた。説明にロシア語訳があるのも北海道ならではといったところだろう。鉄道が好きな人は立地はとても良いわけではないが近くに寄った際には訪れてみてほしい。

推しのシゴゴ

おわりに

 大きく移動しながら好きなことだけをする10日間の旅はこれでもまだ前半戦といったところである。生き物に鉄道に美味しいご飯に、と私が誰かに勧めたい場所を沢山詰め込んで書いているので次の更新も是非読んでほしい。

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