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世界一変わるNYで変わらないもの

作って、壊して、また作って。
そんなサイクルをとにかく回しつづけることで、この街は世界中からヒト、モノ、カネ、才能、文化、歴史まで貪欲に飲み込み成長しているのかもしれない。

先日、所用でニューヨークを訪れた。旅は好きだけど、アメリカはディズニーしか行ったことがなく、イラン渡航歴があると入国のハードルを上げるその性根が気に入らなくて、なんだかんだ初めての東海岸。

テレビで見るニューヨークといえば、タイムズスクウェア、エンパイアステートビル、自由の女神など、巨大でキラびやかな世界。
そんなニューヨークを訪れた私の第一印象は、

「工事しすぎ!」

タクシーのクラクションと張り合うように工事の音はけたたましく、歯が抜けたように高層ビルの隙間に広大な空き地が現れる。道は継ぎ接ぎだらけのボコボコで、巨大な水たまりが通行人を遮る。

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「立ち止まらないこと」に命をかけているニューヨークという都市は「不景気」と無縁なのか、物価がむちゃくちゃ高い。カフェでごく普通のモーニングセットを頼みコーヒーを飲んだら、チップ込みで26ドル(約3000円)を要求され、つい「ちょ、マジっすか?」と聞いてしまった。

そんなせわしないスクラップ&ビルドを見ていると、摩天楼のふもとにひっそり建つ古びたビルが気になってくる。

例えば一枚の古いアパートの扉。

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落書きされ消しては、また落書きされて… まるで、住人と落書きアーティストの戦いの歴史が刻まれたかのような扉は、アンティークのような凄味さえ称えている。

自由の女神は50年後もきっとそのまま立ってるけど、この扉はひょっとすると明日にも壊されるかもしれない。そう思うと、ちょっと惜しい。

変わり続ける街で変わらないモノを探していたら一冊の写真集と出会った。
この街の朝8:30〜9:30を10年間撮り続けたPeter Funch さんの「42nd and Vanderbilt」

毎朝、同じ街を撮り続けていると、同じ人が何度も登場する(当たり前だが)

面白いのは、季節が巡り服が変わり髪型が変わっても、持っているモノはスタバのアイスコーヒーだったり、好きな色はやっぱり赤だったり、歯を見せて笑う幸せそうな表情は同じだったりする。要は「雰囲気」が同じなのだ。
だからきっと、カメラマンは「あ、あの人見たことある!」とシャッターを切れるのだと思う。

変わり続けるニューヨークで一番変わらないもの。
それは、この街に生きる人々なのかもしれない。

Peter Funch さんは作品をHPでも公開されているので、
興味を持たれた方は是非のぞいてみてください。
http://peterfunch.com/works/42ndandvanderbilt/

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