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【本紹介】有田 正規:学術出版の来た道 (岩波科学ライブラリー 307)

□紹介する本

学術出版の来た道 (岩波科学ライブラリー 307), 2021/10/11
有田 正規 (著)
岩波書店

□メモ

第二章、論文出版までの道のりを語りながら、さっそく問題点の指摘が始まった。

・レフェリー制度
—>突拍子のない研究は出にくい
アインシュタインや、DNAの研究は査読を経ていない。

・査読などはボランティアである
—>学術出版を研究者らで成り立たせるという取り組みは素晴らしいが、忙しすぎる。私も経験があるが、限られた期間で他の業務,自分の研究もこなしながら、こなすのは大変だった.

・最終的な校閲は著者自身で行う必要がある。
—>3日以内など期限付きで編集者が校閲した間違いの混じった文章を直さなくてはならない。(これは自分も痛い目にあった。)

・高額な掲載料、購読料(ジャーナル依存だが,Natureなど有名雑誌も多い.少しずつ一部無料のOpen Accessや,投稿無料なども出てきてはいるが…)

・著作権を譲渡する必要があること。オープン化されないということ。

問題点が多い。

発展の早い分野で見られるような、
ジャーナルは二の次で、実装 + Arxivでの論文による詳細説明。

もしくは、 
数学などの分野で見られる、
Arxivとして提出したあと、長期にわたる詳細な査読期間を設ける。

といったところを参考に,バランスを調整できるといいのだろうか。
もちろん、文系の分野でも異なる事情がありそうだ。
まずはこの辺り、各分野ごとにどうなっているのかをきちんと調査してほしいと感じた。

何より、西洋化でジャーナルなどもランキングで評価されている時代であるから、そのような評価を気にし続ける体制が徐々に変わるとよいのかも知れない。

このようなジャーナルを評価するランキングに依存して,
各研究者の出版論文もどのジャーナルに出ているかに依存して評価されるのは,研究の質に関する正当な評価ではないだろう.

まずは、1ユーザーとして、
客観的なランキングにあまり囚われることなく、
自分にあった方法での発信/受信を行う、
それらの中間的なところを取る、
といった価値変容と、行動をしていきたい。

#読了日
22/03/10

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