今村食堂

学園経営コンサルタント つくる そだてる たてなおす/今村食堂株式会社代表。株式会社ほ…

今村食堂

学園経営コンサルタント つくる そだてる たてなおす/今村食堂株式会社代表。株式会社ほぼ日(ほぼ日の学校担当)、京都橘大学、札幌慈恵学園アドバイザー。兵庫県立大学評価委員、別府市総合政策アドバイザー。大阪中心に活動するバンド・Q-Chewsのメンバー。

最近の記事

無力と感じること

僕の人生に年表というものをつくるとすれば、1995年と2011年は大きな時代区分となるだろう。阪神淡路大震災、東日本大震災、その前と後、未知の世界に生きているという感覚があった。 2011年3月11日。京都ですら揺れた。徐々に明らかになっていく被災地の惨状。当時立命館大学の総合企画部というところにいた僕は呆然としていた。無力感にさいなまれていった。こんな事態に大学として何ができるのか。手も足もでないとすれば、大学の価値なんてあるのか、そんな大学ならいっそ潰れてしまえ・・・・

    • 「畠山記念館の名品展のチケットを・・・」 から始まった濃厚な歴史散歩

      東山女坂に友人がCRAFT COFFEEの店をオープンしたんで行ってみた。せっかくだから近所の京都国立博物館に立ち寄り、1時間ほど展示を観て、そんでもって整形外科の夕方診療に合わせて行く。膝にヒアルロン酸の注射をプチュッと打ってもらう。 こりゃ〜いい流れだ。 駐車場に車を停めて、博物館の受付に。 「畠山記念館の名品展のチケット・・・」と言いかけると、「あの〜それは来週からです」と。どうりで閑散としているはずだ。いま、展示は何もやっていないという。 う〜ん、どうしようか

      • 『学生たちに捧げるレクイエム』      イタリア発。日本にも響いているのか。

        ジョルジョ・アガンベン 大勢に抗する哲学者ジョルジョ・アガンベンというイタリアの哲学者の『私たちはどこにいるのか 政治としてのエピデミック』という本を読んだ。 世界的に著名な学者というが、僕は知らなかった。 この本はコロナウイルス感染拡大、エピデミック下におけるイタリアから、大勢に抗して、言説を発信し続けた、彼の論稿やインタビューをまとめたものである。 表題の『学生たちに捧げるレクイエム』は、その中のひとつである。 「例外状態」の中で、宙吊りにされた自由アガンベンの考えはこ

        • もうこうなったら人類愛みたいなとんでもマクロな考え方がいいのかも        「子育て罰」を読んで

          若者に優しくない気がする最近思うことは、人類間の言い争いいさかいがやたらと多いなということ。SNS なんてろくでもないなといいながら、僕もそんな状況にちゃっかり野次馬だったり、妙なことで憤ったりしている。いい年してね〜。 そんなことしてるんなら、大人たちは、若者にもっと優しくあっていいなと強く思う。 戦後の昭和を生きてきた「ALWAYS3丁目の夕日」世代の僕は、子供心に東京オリンピック1964を見ていたし、大阪万博には何度も行った。後になって知った高度経済成長というものの

        無力と感じること

        • 「畠山記念館の名品展のチケットを・・・」 から始まった濃厚な歴史散歩

        • 『学生たちに捧げるレクイエム』      イタリア発。日本にも響いているのか。

        • もうこうなったら人類愛みたいなとんでもマクロな考え方がいいのかも        「子育て罰」を読んで

          木内昇の『万波を翔る』 に見つけた      上司からの沁みる言葉

          木内昇(のぼり)という女性作家を知ったのはテレビの歴史番組でだった。番組名はもう忘れてしまった。彼女のコメントが面白かったのだろう。長編小説の『万波を翔る』を読んだ。読後の爽やかさがいい。品のいい生わさびのように胸がツーンとする。 開国か、攘夷か。佐幕か、倒幕か。そんな疾風怒濤の江戸最末期に新たに設けられた外交部局。幕府内の因襲と保身、薩長との暗闘、朝廷の影、百戦錬磨の外国列強代表たち・・・四方八方敵だらけの中で苦闘する近代日本外交をになった幕府の官僚たちの物語である。

          木内昇の『万波を翔る』 に見つけた      上司からの沁みる言葉

          古墳コモンズ熊本県氷川町からはじめます

          運命の出会いその古墳群の風景は、それまで僕が見てきたいかなる場所とも違っていた。 古墳は古代の人々によって人工的に形づくられたものではあるのだが、それらは、草原の地下茎が膨張して、地中からズンと立ちあがったような森の中の緑の楼閣群のようであった。 ひっそりとゆったりと呼吸すらしているようなたたずまいを見つめていると、なにか、ずーっと待たれていたような、呼ばれていたような不思議な感覚にとらわれた。 なんだろう。いつしかこの古墳たちのために、なにかをしたいと、なにができるだろう思

          古墳コモンズ熊本県氷川町からはじめます

          ミナリとハルモニの匂い

          ミナリというタイトルはよくつけたもんだな。日本の芹をギュっと小さくしたようなもので、なかなかに香りが強い。  遠い記憶になるけど、苦味すらあった気がする。漢方にも用いられるミナリは群生する。繁殖力旺盛で、代を継ぐごとにうま味を増すとも言われ、韓国人のみならず、移民そのもを象徴するに相応しい植物かもしれない。 ミナリというタイトルの映画、80年代にアメリカに移民した韓国人家族の物語を僕は2回見る羽目になった。 韓国映画は思わぬ展開から、え〜なんで〜という凄惨なシーンを見せつけ

          ミナリとハルモニの匂い

          クーデター?革命? それがなんだ      韓国映画「KCIA南山の部長たち」

          「南山に立てこもっていた朴正煕たちに、伊丹の空港から灘の生一本を樽で送った。彼らはそれを鏡開きのようにして飲みながら、「同期の桜」を歌ったんだ」と、もうずいぶんと昔にある人が僕に話してくれた。あの言葉はなんだったのか。1961年のあのとき、彼らは南山にこもっていたのだろうか。日韓に国交もないときに酒樽なんてものをなぜ送ることができたのだろうか。そもそもなんで送ることになったのだろうか。朴たちが、「貴様と俺とは、同期のサクラ〜」と歌ったとどうして知っているのだろうか。思い起

          クーデター?革命? それがなんだ      韓国映画「KCIA南山の部長たち」

          大晦日に エレジーかよ。

          て書きながら、年を越してしまうかもしれない。 いいじゃないですか、エレジーを歌おうよ。やっぱり今年の気分はなんぼ強がり言うても、エレジーかな。 地球がコロナウイルスにすっぽり覆われてしまい、辛いことゴロゴロでした。よね。 こんな時にこそ時代が大きく動き、価値観が転換するのだ、あえて希望の歌を!  といっても、街にも空にも海にも山にも、流れているのは悲歌、哀歌、挽歌ですね。 いいじゃないですか。憂鬱なときにはエレジーで。それは哀しいときの癒しなんだから、慰めなんだから。歌い

          大晦日に エレジーかよ。

          明るい朝、海を見ながら。「月1/4別府生活、はじめます。」

          62歳の誕生日、2020年11月29日、 別府のマンションの窓から別府湾を見ながらこれを書いています。 東京を拠点とした暮らしと仕事を始めてから、そろそろ一年半が経とうとしています。 「古池の水を抜いて、新しい水と入れ替える」なんて、かっこいいこと言って、どうだったかというと怪しいもんでした。 結局、「古池」にもずいぶん助けてもらいました。そして、「新しい水」はまだ、チョロチョロだな〜、足りないな〜と思うわけです。ほぼ日はじめ、札幌新陽高校、京都橘大学、別府市など、いろ

          明るい朝、海を見ながら。「月1/4別府生活、はじめます。」

          じゃ、どうすればいいのだ?今日はグダグダ言わせてもらいます。         『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の論理』デヴィッド・クレーバー(岩波書店)

          産業革命のころ、1日、10時間から16時間労働だったといわれている。その後、「万国の労働者が命がけ」で求めてきた8時間労働制、第2次世界大戦前後、労働時間の常識になるまでおよそ100年の歳月が流れた。そしてさらに100年近く経った今、生産力は巨大な発展を遂げ、IT化が仕事の隅々に影響を与えるようになった。 1980年代、大学の事務職場にいた僕は、「事務電算化」が進めば、単純労働から解放され、人員は減り、もっと創造的な仕事ができるようになると聞かされていた。 が、労働時間は

          じゃ、どうすればいいのだ?今日はグダグダ言わせてもらいます。         『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の論理』デヴィッド・クレーバー(岩波書店)

          命がけで辞書をつくったひとびとの実話『マルモイ ことばあつめ』

          自分たちの言葉や文字を使うことが厳しく禁じられていた時代に、命がけで辞書をつくったひとびとの実話に基づく物語。 韓国映画お得意のパターン、だらしないお調子者のおじさんが、言葉を守ろうとする人々に出会い、覚醒していき、やがて自ら渦中に身を投じていく。 こういうのは「パラサイト 半地下の家族」のソン・ガンホ主演の傑作「タクシー運転手」とか、韓国の民主化運動を描いた「1987、ある闘いの真実」とかありますね。「1987・・・」でも、この「マルモイ」でもそんなおじさんを演じたのが、

          命がけで辞書をつくったひとびとの実話『マルモイ ことばあつめ』

          本棚に埋読本、手にとってみたら・・・          『朝鮮考古学75年』有本教一 著

          積読というより、埋読まいどく本か積読という言葉があるが、この本は「埋読」(まいどく)といっていいのではないか。誰かにもらったのだろうか、イベントか何かの出店で買ってしまったのだろうか、覚えていない。家でビートルズ関係の本を探していて、どういうわけか目に留まり、パラパラとページをめくり読み始めてしまった。タイトル通り、朝鮮考古学者の地味な自伝である。著者の有光教一という方は、明治、山口生まれ。京都帝国大学史学科で考古学を学び、二十歳そこそこから、朝鮮総督府、中央博物館に務めてい

          本棚に埋読本、手にとってみたら・・・          『朝鮮考古学75年』有本教一 著

          贅沢は味方だ!(たまには)       カレーの王様はやっぱりビーフ。

            もうぼちぼち Stay Home 料理も飽きてきて、外食、外呑みに気持ちが向かっているのでしょ。 というかそれ、モロ俺だけどね。 前々から書こうと思っていて、気も鈍ってきて、こんなん書くより「愛の不時着」の続きを見たいなとか。 気の緩みなのか!これは。なんの緩みかわからないけど。 ビーフカレーです、yah yah yah! 出来るだけ無理していい肉を買いましょう。 たまには。こんないい肉が30%引き?に、「あえて」つられてしまいましょう。 ビーフカレーの楽しさは

          贅沢は味方だ!(たまには)       カレーの王様はやっぱりビーフ。

          助け合うことを示せない大学

          川藤幸三やないけど、わてのようなもんには今の現場はわかりまへんが、大学のコロナ対応はどうだろう。 学費返還運動が引き金になったのか、わからないけど、T大学五万円、W大学は10万円とか、M大学は総額3億円とか、5億円とか…。 もちろん、それぞれの大学が必死で考えて示した施策にケチをつけるつもりは毛頭ないのだけれど。 確か今年から、高等教育無償化制度が始まり、学費減免と給付型の組み合わせで2割程度の学生は無償化になるはず。さらにこの制度は、家計急変にも対応できるのだよね。 い

          助け合うことを示せない大学

          災害疫病、願いや祈りがアートを生み出すーNHK日曜美術館と課金配信ライブ体験ー

          今回は食い物の話ではありません。とりとめないですよ。 昨日の夜(2020年4月18日)と今日の朝(4月19日)の話なんだけど。 初めて課金してライブ配信に参加昨夜は、僕の大好きなソウル・フラワー・ユニオンの中川敬のソロライブを配信ライブで視聴したのだ。課金3000円、2週間有効なのだ。初めての経験。ライブが配信された場所は京都市左京区一乗寺のライブハウス、僕も行ったことがあるけど、数十名入れば満員という小さなところ。そこで中川敬は7時からスタッフ二人だけを前にして、ギター

          災害疫病、願いや祈りがアートを生み出すーNHK日曜美術館と課金配信ライブ体験ー