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7.冬のラッセル(米川さんの絵本)

深い雪の中のラッセル。
何時間も続く。
最初は楽しかったが、もう2時間は歩いたかな。
今は苦痛。いつまで続くのだろう。

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解説

1月下旬から大雪が降ると一面大雪原になります。
大雪が降ると登ってくる人の為に小屋番が道を開けます。
小屋番は道を開けるのにラッセルをしなければなりません。
1メートル以上ある雪は誰かが最初に歩かなければ登山道がわからなくなるからです。
ピッケルを水平に持ちラッセルしていきます。両手を前に出して雪を押して歩いていくような感じですね。

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ピッケルの絵


ピッケルはツルハシのような形をした物、足場を作ったり滑落防止などに使いますが、ラッセルする際にもとても便利なものです。
ラッセルはRussel、除雪車を発明した人の名前です。深い雪を踏み分け道をきりひらきながら進むことを言います。

最初は雪遊びの感覚で楽しいのです。
それでもラッセルをする日は渋の湯から黒百合平まで5時間はかかりますから、最初楽しくても1人でやっていると非常に疲れます。でも早く小屋に着かないと途中で野宿になってしまいます。
二重の冬用ヤッケやズボンの防寒でやっていますが、大量の雪をかいていく訳ですから汗をかきます。汗をかいても途中で止まると汗が凍ってきますから凍ると体温を奪われる。加えて昼間のうちに到着しなければ、マイナス20度にもなる夜は辛いですから、いつになったら着くのだろうと、最後は辛かったです。
当時はあまりラッセルしていた山小屋はなかったようです。お客さんが遭難したら大変ですから、それでも登山道がわからない程に雪がふりだすと昼夜問わずラッセルしていました。
お天気は、昔からラジオで気象通報が流れていましたので、その気象通報を聞いて天気図を書き、小屋に貼っていました。
お客さんからも明日の天気は?とよく聞かれていましたので、貼っておけば皆が見ることができるでしょう。
小屋と里と無線機があり定時連絡もしていましたので、雪が積もりそうな時に登山者が登ってくるのがわかると夜下っていってラッセルして登ってくる。そんな事をしていました。

今でも無線の定時連絡は行っています。
今は冬の雪山は人気があり、登山者が多くなり登山道もわかりやすいですが、それでも道がわからなくなりそうな時は小屋番の岳樹やスタッフがラッセルをしています。
安全に登山をしていただきたいのが一番の小屋番の願いです。

追記

今でもラジオNHK第二放送で放送しています。お天気を知るうえでも子供たちの夏休み学習によいかもしれませんね。gooの子供むけサイト大人でも楽しめます。
https://weather.goo.ne.jp/summer/study/15.html


おはなし絵:Yonekawa Masatoshi
共著:Yonekawa Keiko , Saitou

※この記事は米川さんの絵本proofreadマガジンに掲載中です


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