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ファンドレイジングチームの停滞は「構造的緊張」をつくりだすことで乗り越えられる

ファンドレイジングは一度始めると、目標を達成し続けることが重要になってきます。目標金額も年々上がっていくため、最初は個人で担当していたのが複数人のチームでするようになり、組織的な活動として展開していくことが多いです。

こうした展開に合わせて伴走支援の内容も、ファンドレイジング実施のノウハウ提供から、チームへの伴走、組織的な活動への助言と変わってきています。

こんなに一生懸命やっているのになぜ資金獲得額が上がらないのだ!

とか、

今でもめいいっぱいなのにマンスリーサポーターを100人増やすことなんてどうやったらできるんだ!

などの課題は、最終的には「1人の担当がやっているから」「チームが機能していないから」「組織的に取り組めていないから」のだいたい3つに集約されます。

ファンドレイジングの1回だけ成功させるためなら、研修などでノウハウを得るだけでいけるかもしれませんが、目標達成し続けるためには組織的な対応が必須です。

つまり、獲得金額の目標だけでなく、組織的な目標を持つ必要があるということです。

えー、そこまでやる必要あるの?ちょこっとやってお金集まるのがいいのだけど・・・

心の声が聞こえてきますが、資金獲得を継続的にする= ぎょうとしてやると考え方を切り換えてください。お仕事ですから、組織的にやりましょう。

ファンドレイジングを仕事としてやるとなると、関わる方の採用や異動、退職などありえますから誰でもできるように、お仕事として設計をして職務にする必要があります。

「◯◯さんが担当者だった時は、いろいろ手広くやれて寄付や助成金が集まったのだけど、ご退職されてから、できる人がいなくなってね・・・」という団体さんは結構多いです。

そうなってしまったのは、退職した◯◯さんが悪いのではなくて、お仕事としてファンドレイジングを捉えていなかったのが原因です。

ファンドレイジングをお仕事として捉えるにはどうしたらいいのかについて、書籍:最強リーダーシップの法則~正確に原因を知れば、組織は強くなる~を参考に考えていきます。

役割分担できていたとしても実際に機能しているかはわからない

ファンドレイジングを組織的に行うためにしていることを質問すると、

わが団体では、ファンドレイジングには分業体制をとっていて、広報部門においてホームページ・SNS・プレスリリースなどの企画や取りまとめ、ファンドレイジング部にて助成金申請・キャンペーン企画・寄付者対応をして、経理部にて助成金管理・寄付金管理をして、資金が必要な現場を持つ事業部は各部への情報提供をするといった感じです。でも、なんかうまくいっていないんですよね。獲得金額は横ばいで、目標未達が続いています。

と答えてくださる団体さんが多いです。

体制図として役割分担はすることができますが、実際に機能するかどうかはまた違うようです。

本書でもこのような記載があります。

仕事の設計においては、部分と全体の関係を考慮しなくてはいけない。設計に問題があると、誰が担当してもうまくいかないというポジションが生まれる。誰がそのポジションに就いても、ぱっとしない仕事ぶりになってしまうのだ。周囲がその社員のためにできるかぎりサポートをしても、仕事ぶりは改善されない。結局、その社員ははずされ、ほかの社員がそのポジションに就く。しかし六ヶ月後、後任者もまた、前任者とまったく同じ仕事ぶりになってします。(中略)あるポジションを任されると、どんなタイプの人間でも、同じような仕事ぶりになってしまうというのは、本人の実行力に問題があるのではなく、ポジションの設計に問題があるのだ。

P132-133

この考え方を借りると、体制づくりをしているにも関わらずファンドレイジングがうまくいっていない団体さんでは、関わる人たちがうまくいかないポジションになってしまっているのかもしれません。

獲得金額のみが目標になっていませんか?

うまくいくポジションをつくっていくために参考になることが本書では述べられています。

問題の解決に長けていることを自負する管理職は多いが、”問題解決型”のアプローチには弊害が少なくない。問題の解決を図ろうとするとき、わたしたちの目は、”望ましくないこと”に向けられる。そこでとられる対策は、望ましくないことを排除することだ。その結果、問題は消えるだろう。しかし、それによって望みのものが手に入るとはかぎらない。問題解決型の管理においては、問題を”取り除くこと”に主眼が置かれ、望みのものを”創り出すこと”がおろそかにされてしまうのだ。

P69-70

「◯◯の困りごとを抱えている人たちを支援するには300万円のお金が必要だが、それがない」は目の前に見えている問題ですが、望んでいる状態は自分たちの事業が多くの寄付者や助成財団からの資金で継続的に支えられていく状態なのではないでしょうか。

継続的に支えられる状態を創り出すためには、人材を育ててチーム全体のレベルアップをすることを職務として組織的に取り組む必要があります。

こうした必要性を言うと、時間がない、資金がない、スキルがない、様々な制約はある中でファンドレイジングを組織的に取り組むことなんかできない。

と思うかもしれません。

今の時点でそうした制約があることは理解しますが、これからもどんなときでも制約はあります。もしチーム状態は同じままで、業務が増えていくとき、制約はよりいっそう強く感じることになるでしょう。つまり、今が一番制約の度合いが低いということです。

理想に近づくための構造的緊張

本書では、そうした理想に近づいていくための考え方として「構造的緊張」を作り出していくことを述べています。

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