見出し画像

繊細さが「弱み」ではなく「特性」になると、生き方が変わる~NPOの伴走支援に特性を活かしたお話~

自らの特性を仕事に活かす

NPOは様々な困難を抱えている当事者や支援者の支援をしています。団体を立ち上げたり、運営を担っている人は何らかの当事者性や代表性を持って活動されている方が多いです。

そのためなのかはわからないのですが、私の体感値として、なんらかの凸凹というか、特性がある方が一定数いらっしゃる印象があります。

かくいう私もHSP(ハイリーセンシティブパーソン:繊細さんとも言われます)の面がありますが、現在のようなNPOの伴走支援を第三者として行うことは、この特性に合っているように思っています。

HSPについて知りたい方は以下URLをご欄ください。

HSPの特性が今の仕事に合っていると感じる3つのこと

NPOの伴走支援者の特性と合っているのではないかと私自身が実感しているのは3つあります。

①.相手の感情的なエネルギーを感じやすいこと
②.相手の本心に近いことが言葉の細かい言い回しで気づくこと
③.①②を踏まえて相手の感情を逆なでしない言葉を選んでコミュニケーションができること。

実力を発揮するための安全な環境を選ぶことの大切さ

こうした特性を活かすためには、安全な環境が必要なのですが、第三者として入っているがゆえに、相手が持った感情の原因が自分ではないことが明確であり、これがHSP特性の人にとっては安心材料になります。

これが職場でチームで働いていると、「自分の発言や行動のせいで、この人は気分を害しているのではないか?」と思ってしまって、ドキドキしてしまい、仕事のパフォーマンスが大幅に落ちてしまいます。「そんなの考え過ぎだよ」「被害者意識強くない?」という周りの励ましも心に届かず自滅していきます。

人は周りの環境の変化に適応する際には、自分の内面の変化が伴いますが、変化が自分の苦手な種類だったり、振れ幅が大きすぎたりすると不適応反応を示してしまうことが多いです。

HSPの特性としては、敏感に捉えることができるがゆえに、自分が耐えられない変化や環境がある場合、それを避ける選択をします。そのおかげで、自己が重篤なダメージを負わずに済むことができるのです。

私の伴走支援の経験でも途中で解約ということが複数回ありましたが、それはこうした特性がある程度関係しています。どうしても相手の特性との折り合いがつかなかったり、折り合いの悪い相手と1対1の構図になったり、それに対するクライアント側の配慮がされず放置されている等、安全性が低い環境だったことが原因でした。

こうしたことが起きると、自分が悪いと思い込んだ時期もありましたが、そうした状況を選択してこれたからこそ、今まで自分が生きてこれたのだと思えるようになりました。

過去に、企業やNPOといった組織でフルタイムで働いていた時は、耐えられない環境や関係性を去ることができず、自己を歪曲しなければならなくて生きづらさを感じていた記憶があります。

何か経験やスキルを得たい、何らかの目標を達成したい、そうしたものがあったのでなんとかやり遂げることはできましたが、心身の調子がよくなかったことも度々ありました。

昔は、何かを得るためには、何かを犠牲にしなければいけない世界観がありましたが、今はそういう古い世界観で生きるのはしんどい時代です。 

繊細さは「弱さ」ではなくなってきた

程度の違いこそあると思いますが、NPOの職員さんにもHSPの特性を持った人は一定数います。そうした方々がはたらきにくいだろうなぁと感じる団体さんは、多くの人にもはたらきにくい場のようです。

数年前は、そうした繊細さは「弱さ」として切られていましたが、最近はそうした配慮ができない団体には人が集まらなくなって立ち行かなくなったり、ハラスメントや不祥事につながることがわかり、そのような扱いでは団体の持続可能性が損なわれる考え方にじょじょにではありますが変わってきていると感じています。

また、困難を抱えている当事者を支援する活動にその繊細さが強みになりますので、繊細さを持った人たちをうまく働いてもらうように環境を整えていくことが、事業に必須と考えてくださる代表さんも増えてきました。

お互いの特性を活かすための工夫

冒頭にNPO業界では特性がある方が一定数いらっしゃるのではないかとお伝えしました。そして、私の特性についてもお話しました。その上で、仕事においてお互いの特性を活かすために工夫していることを3つお伝えします。

支援に対する葛藤を大事にする

クライアントの心の中には、何かしら課題を抱えているので伴走支援して欲しいと「支援を求める気持ち」と、その逆の「支援を求めない気持ち」、そして「葛藤」があります。この葛藤こそが「団体内で自律的にやりたい」気持ちの表れなので、そこも大事にしています。

しかし、葛藤ばかりだと前に進みませんから、伴走支援をする最小単位を決めながらお仕事にしていきます。

課題だと感じていらっしゃることについてお話を伺い、課題感を整理したり、過去に取り組まれてきたことなどの情報を得ていきます。そこから私が持った仮説をお伝えし、それに対するフィードバックをしてもらいます。その仮説に合意がとれたら、他団体の事例などを紹介して、様々な対応策を知ってもらって、そこから自団体でどうするか1つ策を決めてもらいます。

こうした小さく区切った単位で、わかりやすい「やり方」や「短期間での実施」に収束させて、そこで契約をします。もちろん、継続していくのが一番ですが、どこかのタイミングで独力でやれる判断ができるように配慮します。

コミュニケーションで気をつけること

こうしたコミュニケーションで大事なのは、1対1でやらないことです。必ず関係者がいる中でやりとりをすること、グループチャットやグループインタビュー、特定の担当者向けの打ち合わせでも他の関係者もオブザーブ参加してもらうなど、そうすることで、誤解、本人の歪曲理解や報告時の情報の脱落防止や、パニックや混乱状態になった時のフォローをしてもらえたりします。キーパーソンの1人に誤解を招いてしまった場合は、その方と1対1で話をせざるを得ないことがありますが、その時も議事録を作成し、その内容を相手に確認したものを、関係者に共有するなどができるとよいです。

欠点探しではなく可能性探しをすること

伴走支援が始まると、私のような第三者が関わって団体になにかしらの変化に向けてはたらきかけをすることになります。それに対する抵抗が多かれ少なかれ必ず起きますので、それを軽減することが大事になります。

最初に大事なのは、欠点探しではなく可能性探しをすることです。たとえ一般的にみてそれが団体の欠点だったとしても、それを改善できるとこんな風になるよとか、そのためにこうしたらきっとできますよ、みたいな言い換えをしていきます。

それに加えて、変化をおこすために、外部の理論ややり方を単に導入しましょうではなく、他の団体で課題を克服した団体はこんなことをきっかけに取り組みをされましたが、似たような状況はありませんでしたか?といったように変化した団体との共通点から、変化するためのきっかけや資源は自団体にも既にあることに気づいてもらうようなはたらきかけをします。

さいごに

自分は”普通の人”だよなって思って取り組むよりも、”凸凹ある人”だよなって分かった上で協力して仕事をする方が、自分も他人も素直に働けると思います。

「普通あんなことする?」
「仕事なんだからこれくらいやるのが当然だろう」
「親だったら子どもに言う事きかせるのは当たり前だろう」

普通とか当然、当たり前が横行する世の中は生きづらいです。みんな本当は凸凹あるのに、万能な普通に合わせるために無理しているといつか崩壊します。

今回は私の凸凹と、それに合わせた仕事の工夫をお伝えしました。是非このnoteを読んだ方も、自分の凸凹に合ったやりかたはどのようなものか考えてみてください。自分らしい生き方につながるかもしれません。




記事を読んでくださいましてありがとうございます。少しでもお役に立てれば幸いです。おかげさまで毎回楽しく制作しております。皆さんからの応援があるとさらに励みになりますので、サポートお願いいたします!!