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組織の「見えざる資産」がファンドレイジングの土台となっている~書籍:持続可能な資本主義から学ぶ~

ファンドレイジングはお金という見える資産を得ていく活動です。

しかし、何もない状況から寄付や助成金を得ることはできませんから、そこには何かしらの見えざる資産があった上での資金獲得に至ったはずです。

今回のnoteでは、こうした見えざる資産の扱いについて、書籍:「持続可能な資本主義」を参考にしました。

見えざる資産の大切さ

本書では以下のように見えざる資産について述べられています。

「いい会社」は、社員、顧客、取引先、地域社会などあらゆる関係者から共感を集め、数値化できない「見えざる資産」を蓄えていきます。企業の理念に共感しているから、社員が辞めない。顧客が企業のファンになっているから、値下げ競争に巻き込まれない。「見えざる資産」は、そうして長期的には数値化可能な「見える資産」を生み出します。だから、「いい会社」は長期で成長していくのです。(中略)利益率は低くても、社会に必要な企業は存在する。

持続可能な資本主義 P8-10から抜粋
持続可能な資本主義 P9から抜粋

企業が主語になっていますが、これはNPOも同じです。

見えざる資産は誰と積み上げていけばいいのか?

本書では三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)から八方よしで捉えることで、より細やかにステークホルダーを想定して、全ての立場にとってメリットとなる「共通価値」をつくることの重要性を述べています。

持続可能な資本主義 P87から抜粋

これらをNPOの目線で読み替えていくと、以下のようになると思います。より幅広くステークホルダーを捉えることが重要ということだと思います。

  1. 社員:職員・ボランティア・プロボノ

  2. 取引先、債権者:団体が扱う領域の自治体の関係課、社協、連携する他NPOや市民活動組織、ネットワーク組織

  3. 株主:正会員、賛助会員、理事、寄付者、寄付法人、金融機関

  4. 顧客:支援対象者(困難を抱える当事者や自然環境などの事象)

  5. 地域:他領域の自治体関係課、NPOや市民活動組織

  6. 社会:自然環境や社会情勢など

  7. 国:国際機関、省庁、制度、法律、条例など

  8. 経営者:代表理事や事務局長など

利益相反を利益分配の関係性に変えるために

多様なステークホルダーとの共通価値をつくることの重要性が挙げられていますが、ステークホルダーが多くなるとどうしてもそれらと利益相反の関係になりがちです。

利益相反とは、一方が利益になると、他方が不利益を被る関係のことです。例えば、職員の給料を増やすと、受益者に配布する食料支援が10世帯分できなくなる。といったことです。

例のように、金銭的価値だけで関係性を捉えてしまうと、他ステークホルダーは全てがコストになります。

「いち寄付者を獲得するためにかかる費用はいくら?」

こんな具合です。

どうしてもお金といった目に見える指標で定量化しがちですが、そこから脱することが利益相反→利益分配への転換点となります。

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