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5年ぶりの香港で考えたこと(その1:街の様子と移民の話題と)

今年2023年は、自分がかつて香港中文大学に交換留学したあの年から何と25年!(ヒェー😆)加えて、前回香港を訪れたのが2018年で、それから5年の間に香港に起きた各種の変化をこの目で見てみたいと、香港に行ってきました。そこで思ったことを「香港で考えたこと」として徒然なるままに書いてみようと思います。少し長くなりましたので、2回に分けたいと思います。

旅の始まりは重慶大厦から

まずは宿。もう若いバックパッカーではなくなったけど始まりはいつも重慶大厦(チョンキンマンション)がいいなあと。

未だ現在の存在感

シャッター閉まっている店舗はあったものの、中のカオス感と喧騒、インド料理始めとしたごった煮な匂いは健在でした。「ニセモノ時計」販売はありませんでしたが、変わらずホテルとインド料理屋の客引きはスゴく、多国籍感に加え(着いたの12時近くと遅かったとはいえ)いきなりホテルに鍵がかかっててチェックインどころか入れもしないなどのトラブルも、旅情をくすぐります。

狭いながらも悪く無い部屋。
でもトイレが流れない等トラブルもあり滞在後半は違うホテル移動

昔に比べ、子ども連れ旅行者も結構泊まっているなあ、大陸からの中国人団体(特におばちゃん団体)が多いなあ、そして日本人にはほとんど出会わなかったなあ、というのが印象的でした。昔は若い日本人バックパッカーに出会った気もするが、まあそもそもそういう層が減っているなら、それはやむを得ないのかなあ。

中国大陸から来たかなと思われるおばちゃんたちの存在感大きい

「チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学」を最近読んだこともあり、香港のタンザニア人ビジネスマンの様子など、ホントはここだけでも色々探検したかった位だが、今回は雰囲気の紹介までに。

まだ観光業は回復途上のよう

全般的な街の様子。やはりコロナの数年間の影響は大きいようで、有名なお店が閉店していたり、街に繰り出す観光客もまだ多くはないのかなという印象。男人街なんかも、かつての夜になると店舗がびっしり張り出すような雰囲気はなく、すかすかしていて寂しい感じは否めません。

男人街も少し寂しげ

それでも週末の夜になると、多くの人が街にくりだし、観光客も「やっぱりいたんだ」と言わんばかりに香港の夜景を見に集結。ピークトラムは乗るのを断念するほどの長蛇の列。無料航空券の効果もあるのかないのかわからないけど、観光業も少しは戻ってきているよう。

夜8時の花火の時間には観光客集結!

大陸中国の存在感、でも香港は香港

5年ぶりの今回は、しばらくニュースでばかり見てきてしまったので、頭の中が「中国化された香港」と言うイメージになりがち。でもどこもかしこもと言うわけでは当然なく、やっぱり香港は香港なんだなぁと言うのが街を歩いた感想。

美味しい飲茶も勿論健在♫

もちろん時折見える中国国旗の多さなどには、返還されて26年経ったんだなぁと言う変化は感じられるものの、香港の街が持つ雰囲気はまだまだ濃厚だと私は思います。

例えば2021年11月、西九龍に開館した美術館「M+」。

現代芸術に造詣深いわけでも無い私はその解説などはできませんが、中国の60年代以降の現代芸術に関する展示などは、ここに写真を載せるのもややはばかられるような大胆な描写のあるものも含めかなりチャレンジングな作品が多数。「香港の美術館なんだぞ!」と訴えかけてくるようなものを感じました。

M+内はもっと過激な作品も沢山

それにしても尖沙咀は、お土産屋よりも薬局ばかりというのは強く感じました。昔あったような、外国人観光客が買いそうな(欲しくなる)ベタなお土産屋さんはあまり見当たりません。これは最近の変化ではなく、大陸から香港に買いに来る人が増えて以降なんだろうから、自分の感覚が昔すぎるんだろうなぁ。

なんか目立つドラッグストア

やはり出てくる移民の話題

そして今回香港行きの最大の目的でもある、香港の友達たちとの再会。懐かしい思い出話に花が咲くと共に、やはり話題に上るのは今の香港から離れるか離れないかを迫られる移民の話題。特に子供がいる家庭、30代、40代に移民を決断する傾向が強いようで、自分たちの子供にどう言う教育環境を与えるかというところから海外への移民を選択する人が多いそう。

留学フェアの広告は目立つ、まあ昔からではあるが

行き先は、当然ながらイギリス、そしてカナダ、オーストラリアなどなど、英語圏かつすでに多くの香港人が移民している地域に加え、台湾が大きな目的地として上がる。日本に行く人もそれなりにいるよう。ただ勿論皆が皆移民を考えているわけではない。「40過ぎてイギリス行って何ができるの?どうするの?」とある友達が語るように、シンプルに香港滞在を続ける人も当然沢山いる。ただ、中文大学で知り合った友達が多い自分、そういう大学を出ている社会層は、自身が、そして周辺が移民をする条件もある人が多いだけに、意識する人たちが多いのだろう。

既に移民した人たち、これから移民する人たち

実際自分が今回会った友達の1人は、子供の夏休みで香港に戻ってきていたのですが、すでに生活拠点としては台湾に移民していました。その方の場合は配偶者の両親が元々台湾から香港に移民してきた方ということもあって、台湾に行くこと自体はそれ程違和感はなかったそう。直接的には2020年以降のコロナ対策に嫌気がさしての台湾移民と言っていましたが、あまり多くは語りませんでした。

台湾と香港の身分証を両方それぞれ持っている人もかなり多いよう。台湾は香港よりも物価は安く、割と暮らしやすいと話をし、子供が遊べるスペースも結構あると、割と満足そうではあった。ただ子供さんは、学校では「国語」(大陸中国でいう普通話)を話し、広東語は家で話すだけなので、国語の方が上手になるそう。

他にも会った友人はカナダ移民を検討中。カナダ政府は、香港人の永住に対して大学卒後5年以内など従来あった学歴要件を廃止するなどハードルをさらに下げたそうで、カナダは移民先として更に注目されているそう。そこで「一年間の仕事ビザを持つ主人について行って、お試ししてみようかな?」と
移民を検討をしている友人が「今ここが注目されているよ」と紹介してくれた街は、カナダのカルガリー。「冬季五輪があったカルガリーね」と言ったら、その友人はオリンピックが行われていたのを知らなかった、世代の差か…(まあ香港人は冬季五輪にあまり関心ないでしょうが)。

その2は大学やら美食やら物価やら

その2はかつて通った香港中文大学の様子と、香港で食べた美食や、買い物、飲食時に感じた経済と物価の話題などについて、ご紹介しようと思います。お楽しみに。

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夏の思い出

11年間ベトナム(ハノイ)、6年間中国(北京、広州、香港)に滞在。ハノイ在住の目線から、時に中国との比較も加えながら、ベトナムの今を、過去を、そして未来を伝えていきたいと思います。