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【ホロライブ事件簿】第5話 スバルの推理【脚本】

兎田ぺこら○人事件5

警察署前 夕方

出前のバイクが警察署の前に止まる

捜査本部

届いたばかりの湯気が立つカツ丼を食らいつくスバル。
スバル「やっぱこれよ。くぅー、ころもに染みたこの出汁のうまさよ」
ちょこ「で、なんで事故死なのよ」
スバル「なくなったニンジンとでっぷりと太ったネズミだよ」
ちょこ「ネズミがニンジンを食べたってこと?それが事故死と関係あるの?」
スバル「事件当時、兎田ぺこら氏は暗い事務所で何か人に知られたくないことをしていた。でもそれが何なのかは重要じゃなかった」
ルーナ「スバルはそれを調べてたのね」
うなずくスバル。
スバル「ことは単純だった。A氏の言うようにあの日ネズミが事務所内を這い回っていた。ぺこら氏はその物音に気付いてかなり驚いたと思う。そして、不運にも足を滑らせてあおむけに倒れた。その時、偶然に後頭部と床の間に髪に結わいたニンジンが挟まってしまう。それが強く彼女の後頭部を打ち付けた」
ちょこ「なるほど。でも彼女はうつぶせで発見されたわ」
スバル「すぐには絶命しなかった。朦朧しながら動こうとして体制が変わったのだと思う」
ルーナ「そして凶器のニンジンはネズミが食べてしまったって事なのらね?」
カツ丼を食べながらスバルはうなずいた。
緊張が解けたのか、ため息をつくルーナ。
ルーナ「よかった。おそろしい殺人犯はいなかったのらね」
ちょこ「わかったわ。その推理はかなりいい線だと思う。鑑識にもう一度調べるように伝えておく。ネズミの毛でも付着しているかもね。事務所のほうも・・・あそっか、証拠を隠滅した犯人はもう処分されちゃったのかぁ」
スバルはお茶を飲み一服する。少し残念そうな顔で。
スバル「あーあ。初めての密室殺人かと思ったら、単なる事故死かー」
ルーナ「そんなこと言っちゃダメなのらよ!どんな事件も同じくらい大事なのらよ!」
スバル「はいはい。俺はまじめなルーナが好きだよ」
ルーナ「えっ!」
顔を赤らめるルーナ。
スバル「いやいや、そういう意味じゃないから・・・」
和やかな雰囲気になる一同。笑い声が室内を満たしている。

警察署 屋上 夜

ビルが立ち並ぶ風景を眺めているスバル。
赤々と輝くビルの航空障害灯。
柔らかい風が髪を揺らす。
スバル「(なんで事件が解決したってのに心がざわつくんだ・・・)」

兎田ぺこら○人事件 完

次回 晩餐会の夜編


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