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考えても考えても、答えが出ないとき

1時間考えても、3時間考えても、答えが出ない事ってありますよね。

「時間をかけて考えれば答えが出るに違いない」
と思っているのかもしれませんが、そもそも「考える」というプロセスが明確になっていなければ、その時間は不毛に過ぎて行くだけです。

では、「考える」とは何なのか?
これについて考えて行きましょう。

考えるというのは、要は「答えを出す」ということがゴールなわけです。
では、そのゴールに到達するためには、具体的にどんなプロセスをたどれば良いのでしょうか?
頭の中の思考プロセスは目に見えませんが、すこしずつでも見える化することで、それが容易になってきます。
考えるのが得意な人は、いったいどのように思考を進めているのか?
そこを明らかにしていきます。

実は、「考える」というプロセスは明確に3つのステップに分けることができます。

今回は、「考える」ための3つのステップについて、解説していきます。

1.「考える」ことのゴール

さて、最初にも書きましたが、人が考えるのは、「答えを出すため」だとここでは定義します。
ただ漠然と何かを考えるというときのことは、ここでは取り扱いません。
何かの問題を抱えていたり、悩みがあったり、もしくは夢や目標を持っていて、それに対する答えを見つけるために「考える」という時のことを前提にしています。

ですので、答えが出た時点で、「考える」ことの目的は達成します。
当たり前のようですが、言葉を明確にすることで、よりその思考はクリアになってきます。

「考える」という言葉ではなく、「答えを出す」という言葉に変えた方が、やることが明確になる気がしませんか?

これはどんな仕事でもそうですが、明確なゴールとアウトプットを定義しておくと、しなければならないことが具体的で、より達成しやすくなります。
そして、そのゴールのために時間や労力を集中しやすくなります。

漠然としたゴールであればそれに向かうエネルギーも沸いてきませんが、明確なゴールを設定すればするほど、力が集中されて研ぎ澄まされます。
そしてゴールに到達するまでの時間も短くで済むのです。

「考える」ことのゴールは「答えを出すこと」です。

2.答えを出すために絶対に必要なこと

さて、次も当たり前のことを書きます。

答えを出すために必ず必要なことがあります。
これがなければ永遠に答えは出ないのではないでしょうか。

それは何かというと、

「質問」

です。

言い換える言葉はいろいろありますが、それらすべてのことを言っているのだという解釈をしてください。
「問いかけ」「問い」「課題」「問題」「課題設定」「論点」「イシュー」「テーマ」などなど、同じような意味で使っている場合がよくあります。

考える際には、「質問」や「問い」というのが最も明確ではないかと思います。
表現で言えば、「○○をすべきか?」「どの方法を選ぶか?」「いつ○○をやるのか?」など、疑問文で書かれてあるというイメージができるからです。

例えば、設定した課題が「夏休みの計画について」であれば、何を考えれば良いのはまだ具体的ではありません。もちろん、本人の頭の中では決まっているのかもしれませんが、誰が見ても質問が明確になるほどではありません。
考えるスピードを高めるためには、質問を明確にするのがコツです。

「この夏休みは海外に行くか?行かないか?」
「どこに行くか?」
「誰と行くか?」

このように疑問文で提示されると、人間は答えを探したくなるものです。それは人間の脳の自然な機能なので、ぜひ、活用していきましょう。

これらの質問に対する自分なりの答えを出すことが「考える」という事です。

3.主語は自分であること

さて、「自分なりの」という言葉を使いましたが、これも非常に重要です。

考えて答えを出すということは、「私は○○する」という意思決定だからです。
考えて、考えて、主語が「会社は~」「政府が~」「親が~」というのでは、考えた意味がありません。
現在の環境で、与えられた条件の下で、自分は次にどんな一手を打つのかというのが「考える」ことの目的だからです。

ですので、質問も「私は何をするか?」「私はどう対応するか?」「私は何を選ぶか?」というように、自分を主語にしたものでなければうまく行かないという事です。
日本語の場合は主語を省略できますので、ここは特に注意しなければなりません。
主語があいまいというのは、課題設定があいまいという1つのケースです。

また、「どうしてあんなことをしてしまったのだろう?」「私には向いていないのだろうか?」などという質問もあまり機能しないわけです。
これから自分がどうするか、という種類の質問でなければ、答えが出たところで行動が伴わないですし、多くの場合このような質問だと、堂々巡りが起こって答えが出ません。

人間は自分は動かせますが、自分以外の他人を動かすことはできません。
ですので、答えの主語が自分でない限り、その答えは意味を成しません。

4.「考える」ための3ステップ

ようやく本題に入ってきました。
考えるために必要な「質問」が準備できたら、ようやく「考える」ということを始めて行きます。
「考える」ということは、具体的に言えば、次の3つのプロセスで実行できます。

(1)選択肢を出す
(2)判断する
(3)決断する

このようにプロセスを明確に分けると、思考のスピードが劇的に早まります。


実は、多くの人は(1)~(3)を同時に行ってしまい、あっちに行ったりこっちに行ったりして、無駄な時間を使ってしまっているからです。
選択肢を出すところはアイデアの部分です。いわばアクセルです。
一方で、判断するという行為は、ダメ出しを伴いますので、これはブレーキと言って良いでしょう。
アクセルとブレーキを同時に踏むと、前に行きたいのか止まりたいのか分からない感じで、非常にストレスがかかってしまいます。

ですので、「考える」プロセスを、(1)なら(1)だけに集中して行う、その後に(2)を行って、最後に(3)で決断するというように、明確にプロセスに沿って思考をしてみて下さい。
圧倒的に「考える」ための時間がかからなくなることを体験できるはずです。
そして、「考える」ことが芸術ではなく、単なる単純作業の組み合わせであることも理解して頂けるでしょう。

5.ステップ(1)選択肢を出す

1つ目のステップは、選択肢を出すことです。
「質問」から考えられる選択肢を、とにかくたくさん出すことに専念してみて下さい。

普段、考える時にも、実は頭の中でやっていることです。ただし、普通は数少ない選択肢しか挙げていないのではないでしょうか。
ですので、普段の10倍ぐらいの数の選択肢を挙げてみることをお勧めします。
普段は3つぐらいしか選択肢を考えていないのであれば、30個の選択肢を挙げてみるという事です。

例えば、「次の休みにどこに行くか?」ということであれば、国内でも海外でも、とにかく思いついた場所をバーッと書き出すことからスタートするわけです。
自分で思いつかないのであれば、旅行雑誌やネットで調べたり、友達に聞いてみたりして候補をたくさん挙げて行きます。

また、「売上をあげるには?」や「給料を上げるには?」という問いに対しても同様です。
できるかどうか、意味があるかどうかというのは無視して大丈夫です。

・ホストのバイトをする
・コンビニ強盗をする
・残業を300時間する

などなど、ご自身にはあまり現実的でない選択肢も出てくるかもしれませんが、発想の転換を図る上では非常に有効です。

当然のことなのですが、人は選択肢の中からしか選べません。
ここで出てこなかった選択肢以外のことを選ぶことはできません。選択肢が3つしかない人は、その中から選ぶしかありません。選択肢が100個挙げられた人は、30倍以上の幅があるわけです。
ですので、なるべくたくさん選択肢を広げて行くのが質の高い思考のコツです。

6.ステップ(2)判断する

たくさん選択肢が上がったら、次はその中から実行に移す選択肢を選ぶステップです。
この時に必要になるのは、判断基準ですよね。

仕事であれば、それは明確だと思います。

・目的
・予算
・時間
・難易度
・効果
・楽しさ
・成長、学び
・リスク
・周りに与える影響
・ブランド

などなど、さまざまな判断基準があるかと思いますが、それらをもとに、機械的に選択肢を選別していきます。
ここでも、「機械的」にというのがポイントです。

ここで「感情」が入ると時間がかかります。それはステップ(3)の領域ですので、ここでは淡々と「思考」を使って選別していきましょう。

7.ステップ(3)決断する

そして、最後のステップです。

ここでようやく「感情」の出番です。
というのは、最後は「エイヤッ!」と決める必要が出てくるものだからです。

もちろん、ステップ(2)の段階で、「どう考えても一択だ」という場合は問題ありません。感情を使う必要がないわけです。
しかし、多くの場合、「AでもBでも良い」とか「AもBもリスクがある」というふうに、最後は決断するしかない、という状況になってしまうからです。

「南米に行くのはお金と時間がかかる。アジアは近くて安いけど歳を取ってからでも行ける」
「広告を打てばお金がかかるが手っ取り早い。地道に営業をするのは時間がかかるけどお金は安く済む」

こんな風に、どっちもどっちという場合が、最後にはやってきます。
あとは、自分が「エイヤッ!」と決めるしかないわけです。
つまり、最後は「決断の結果を受け入れる」ということが必要なのです。

「これでうまく行かなくても、その時の最善の決断だった」という事を受け入れて、後悔をしないと決めることです。
そもそも、後悔とは「後知恵」です。「ああしておけば良かった」というのは、後からは分かりますが、その時には分かりません。やってみてわかることの方が圧倒的に多いので、その時の自分にはわかるわけがないと思っておけば良いわけです。

やってもやらなくても、どっちを選択しても、同じように時間は流れます。
もちろん、お金や他のリソースを使ってしまうこともありますが、時間以外は取り返すことができます。
ですので、さっさと決断して、パッと行動して、さらに次につなげることをお勧めします。

9.多くの人が意識していないこと

「考える」際に、多くの人が意識していないのが、ステップ(1)の「選択肢を出す」ところとステップ(3)の「決断する」の部分です。

多くの人は、自分が「判断している」と思い込んでいます。
しかし、必ず(1)(2)(3)をやっています。
ですので、それを明確に意識して、特に(1)と(3)を意図的に行う事で、思考のプロセスが明確になり、スピードもアップします。

10.さいごに

いかがだったでしょうか?

ぜひ、このプロセスを意識してみて下さい。一見めんどうで、逆に時間がかかるように思うかもしれませんが、意外とスピードアップすることができます。

実は、何かを考える時だけでなく、文章を書くときや、自分の商品を作る時、商品の価格を決める場合などにも、このプロセスは使えます。

ぜひ、さまざまな場面でお使いいただければと思います。




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