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モノづくり

昨年の8月だったと思いますが、ダムの放水で何人か命を落とした事件がありました。過疎地に住んでいる人たちの命を守る手段としては、防災シェルターで自らの命を自ら守るのは、かなり有効な手段と思い、ポンチ絵を描いて、某有名大学土木の名誉教授をしている友人の意見を聞いてみましたところ、一笑に付されてしまいました。丹念に見てくださった模様で、帰ってきたポンチ絵には赤字のたくさんのコメントが付いていました。

人間は学問を積んで知識が増えると、創造力も豊かになると期待します。しかし、知識が増えると、どうしても物事のマイナス面がよく見えるようになり、保守的になってしまいます。2018年のノーベル医学整理学賞を受賞され本庶佑京大名誉教授のような、いつまでも進取の精神の旺盛な方は例外中の例外です。モノの開発には、学術は必須ですが、豊かな学術を身につけたものはパイオニア、イノベーターになることはできなくなってしまいます。

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一方、中小企業の経営者はパイオニア、イノベーターになり得る資質と環境に恵まれています。社長が決断しさえすれば、翌日から全力疾走です。リレーの第一走者に向いているわけです。一方、大企業の場合には社内の合意を取り付けるまで、大変時間がかかります。また、上に述べたような理由でマインド的にも第一走者には向いていません。

しかし、情熱豊かな第一走者が最後まで走り抜けるほど、現代のテクノロジィは単純ではありません。最終製品にまで仕上げるには高度の学術、技術が必要です。日本の大企業には高度の学術、技術を蓄えた人材が豊富です。また、大企業は技術以外の人脈、情報収集力、資金力、販売力などなども持っています。したがって、中小企業が第一走者、大企業がアンカーを務める組み合わせは強力です。

1年ほどの経験に過ぎませんが、中小企業のモノづくりを見ているとこのような考えを抱くようになりました。残念ながら、日本の大企業は基本的に秘密主義で閉鎖的です。その上、不当な階級意識を持っていて、中小企業を対等なパートナーとして見ることができません。最近、オープンイノベーションが声高に叫ばれていますが、実態は昔のままでないでしょうか?しかし、有難いことに時代の流れとともに、オープンイノベーションの重要さを理解し始めた大企業が現れ始めたようです。

オープンイノベーションが拡がって、中小企業と大企業がリレーの第一走者と最終走者になるようなことが広く行われるようになったら、日本のモノづくりが活力を取り戻してくれると信じています。拡がり始めたオープンイノベーションに期待すること極めて大です。

しかし、オープンイノベーションは必ずしも日本人の国民性に合っているとは言えません。最大の問題点は日本人のオープン性の欠如です。日本人は農耕民族ですから、身内だけで固まる傾向があるばかりでなく、仲間内で率直に批判することを大変嫌います。和を尊ぶことは当然ですが、オープンイノベーション成功のためには、身分上下性別国籍を越えて率直に意見を出し合うことが必須となります。誰の意見でも正しい意見は正しいとしなければなりません。意見の対立が争いになってはいけません。

そのためには、教育が大事でしょう。自分の頭で考えること、自分の考えをどんな場合にも正しくかつ簡潔に説明できること、優れたアイデアには率直に賛同できること、人を傷つけることなく反対できること、直さなければならない点は山ほどでも有ります。

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