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あの時の想いを今、叶えに。コピーライター 阿部広太郎さん 後編

自分自身の中に引いてしまった線・枠組みを「解釈」の仕方で越えてほしい。そんな想いで幅広い活動をされているコピーライターの阿部広太郎さん。お話をもう少し、お聞きしました。

前編はこちら


あの時、やり残したこと。

───自分の中に引いてしまった線を越えるきっかけになってほしい、という想いから著書「それ、勝手を決めつけかもよ?」を執筆されたとお聞きしました。その想いを行動に変える阿部さんの原動力は、どこにあるのでしょうか。

僕の学生時代、決して華やかなものではありませんでした。とても鮮明に覚えていることがあって…。ある日の帰り道、クラスメイトと話していて「俺は、誰からも嫌われていないから大丈夫」と言ったんです。その時の感覚を、妙に覚えているんですよね。今思うと、嫌われていないということは、好かれてもいないことの裏返しで、誰とも深い関係を築けていなかったのです。当時は帰宅部だったので放課後、教室から逃げるように帰っていました。人間関係を築くことに臆病になっていたんだと思います。だけど、本心では深い関係の仲間を求めていたんですよね。

中学3年生の時、このままの自分では嫌だと感じ、思い切ってアメリカンフットボール部に入りました。そうすると、ガリガリのメガネだった僕の外見が、ムキムキのコンタクトレンズに変わるという分かりやすい変化がありました(笑)。同時に、自分の居場所ができたし、心の奥底で求めていた「人とのつながり」ができたことによって内面も変わっていきました。

───帰宅部だった頃、阿部さんは言うなれば自分を「できない」と決めつけていたんですね。そこから一歩踏み出した。

そうですね。ずっとこのまま、一人で自分の殻に閉じこもることもできたんです。だけど、「そろそろ、ここから出ないといけないな」と思っている自分もいて。そこから「えいや」と出てみた。そういう瞬間って、みんなにあると思うんです。一歩踏み出してみると、意外と周りが応援してくれた。過去の僕と同じように「自分」という枠から、一歩踏み出すことを躊躇する方たちの背中をそっと押してあげたい。そんな本になればいいなと思って、今回の著書を執筆したんです。

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後編は、スタジオを飛び出して、ロケに。
お散歩しながらのインタビューとなりました。

その決めつけ、
もしかして取り払えるかもよ?

───「それ、勝手な決めつけかもよ?」というタイトル、とても絶妙だと感じました。一瞬、誰しもがドキッとする感覚があります。

編集者の方たちと、何度も話し合いを行って、色んなタイトルを模索したんです。結果、このタイトルで本当によかったなと思っています。僕自身も含め、誰しもが仕事だけではなく、プライベートにおいても、「こうじゃなきゃいけない」と思ってしまうことが、あると思うんですよね。そのように自分で自分を、枠組みに押し込んでしまう瞬間に、「それ、勝手な決めつけかもよ?」という自分自身に対しての問いかけの言葉を持っていることで、何かが変わるかもしれない。「取り払えるぞ!」という強いメッセージではなくて、「もしかして、取り払えるかもよ?」という問いかけの気持ちですね。

決めつけることの全てが悪いとは思わないんです。自分にはできるはずだと決めつけること、その決意や覚悟は自分を加速してくれます。例えば、「自分はコピーライターになれるはず」とか、「自分は会社を立ち上げることができるはず」など。覚悟のある肯定といいますか、時にはそういう決めつけがないと、何も始まらないですよね。

ですが、自分はこうでないといけない、あの人がこう言ってるからとか、そういう自分を「枠組み」に押し込めてしまう。それは、もったいない。決めつけをしてしまう瞬間に気づくことで、自分の苦しみを認知できる。そこから、自分と向き合うきっかけをつくることができるかもしれません。

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「あの時があったから、今がある」
と言える活動を続けていきたい。

───今、様々な活動をされている中で、何が楽しいと感じておりますか。そして、今後どのように活動していきたいですか?

先ほどもお話しましたが、学生時代のなんとも言えない渇いた気持ちを今も覚えているんですよね。「もっと言葉にできていたら…」という悔い。具体的に言うと当時は良い、悪いの判断しかなくて、人に伝える手段として「指摘」だけで終わってしまうことが多かった。そこで「提案」する余力がなかったんですよね。

今、僕が開いている企画や言葉にまつわる講座の中で「こうしたら、良いんじゃないかな」という提案を参加者にすることによって、目の前にいる人がいきいきしだす瞬間があります。それが、すごく嬉しい。僕自身も一緒に学んでいる感覚があります。

10代の時にやりきれなかった気持ちに報いたい、報われたいというか…。あの時があったから、今があると言いたい。言葉や企画の講座を開くことはもちろん、誰かと一緒に何かをつくっていくという取り組みは、気力、体力がつづく限りやっていきたいです。自分の想いを大切にしながら、人との出会いに対して、真っ直ぐに向き合っていきたいのです。

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解釈。
何かしらの出来事が起きた時に、自分がそれをどう捉えるのか。

解釈をするにあたって、
人は、過去の経験、周りの人からの話、
または自分の中にあるルールをもとに判断し、
自分なりの解釈をつくることが多いのではないでしょうか。

自分の中につくった「枠組み」を外せたら…。
過去のことは一旦脇に置いて、今、目の前で起きていることだけを、様々な角度から捉えることができたら…。

そんな可能性を秘めた「解釈」について、
メッセージを発信し続けていく阿部さんの言葉に、これからも注目していきたいです。阿部さん、ありがとうございました。

取材・文 :大島 有貴
写真:唐 瑞鸿 (MSPG studio)

阿部さんの著書「それ、勝手を決めつけかもよ?」
Amazonページはこちら。

「はじめに」を全文公開『#それ勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』note

阿部さんのTwitterはこちら。


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