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デザインという枠を、越えて 後編ー P.K.G.Tokyo × SDGs

「このままでは、いかん」というマインドを持った3人が、「パッケージデザイン」という共通項を持って、集まったP.K.G.Tokyo。そんな3人が考える「サステナブル」について、もう少しお話を聞いてみました。

前編はこちら。

つくる責任として、
循環システムまで考える必要がある。

──パッケージデザインという観点から、サステナブルに対して考えることはありますか。

天野:特に、SDGsの中の「つくる責任 つかう責任」に関しては、パッケージデザインに関わる僕たちは、考えなければならない。
例えば、日本ではペットボトルの回収率がすごく高いです。それは仕組みができているから。その回収率も洗練させていけば、100%にすることだって、できると思うんです。

ですが、それは純粋な循環ではない。これまでは、回収したペットボトルは別の消費財である洋服や、食品容器になっていました。それがサステナブル、持続可能なのかどうか、という疑問も出てくるわけです。そこに企業が責任を持って回収し循環して、また同じものに還る仕組みをつくることが必要かも、と皆が気づき始めている。つまり、つくる責任ですよね。

柚山:そうなってくると、法的な縛りも必要なのかな。

天野:実は、トップが決断すれば、簡単なことに思います。まさに今、決断している企業が次々と現れています。僕たちも、つくる責任とは何なのかという意識、問いを常に持って、企業と向き合っていきたいです。
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国連は、2015年に開かれたサミットの中で、世界が持続可能であるために必要な17の目標を制定しました。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字をとり、SDGsと表記されます。
天野さんは、SDGsの12番「つくる責任 つかう責任」について言及しています。

つかう責任を、どう意識させるか。

──作り手の意識も大切ですが、つかう人の意識も、とても重要ですよね。

中澤:消費者観点の話でいうと、私は個人的に、自分の暮らしの中でゴミをできるだけ減らしたいんです。生ゴミは堆肥になるということがわかったんで、やり方さえ間違えなければ自分の家で、循環ができできるだろう、と。だけど、スーパーでピーマンを買った時についてくる、あのビニール袋はどうしようかと思ってますね。

柚山:そうだよね。個人レベルでゴミを減らそうと思っている人が、買ったものに勝手にビニール袋が付いてきちゃったら、どうしようもない。個人的には量り売り文化が、もっと広まれば良いのにと思いますよね。

例えば、「量り売り」という仕組みをスーパーの経営者が、サステナブルという観点から取り組もうと考えたとします。でもほとんどの場合、そのプロジェクトの初期段階からデザイナーに戦略的な部分を相談しようとはならない。人々の気持ちや意識を、デザインを通して動かしてきた僕たちが、初期段階から介入する意味はきっとあるはず。戦略をどのようにデザインに昇華させていけば効果的か。その議論の場にデザイナーがいる。そういうことが、当たり前の世の中になって欲しいです。

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デザイナーという枠にはまらず、行動し続けたい。

──「デザイナーは綺麗なビジュアルを作る人でしょ」という社会の共通認識を、覆すのには何が必要だと思いますか。

柚山:まず、それは我々の力だけでは無理ですね。デザイナーたち全員が変わらないといけないと思います。デザイナーは、「ビジュアルを作るだけの人である」という価値観を捨てて、次のフェーズにいかないと。つまり、デザインをすることへの本質的な意識改革をしていく必要があると思います。ビジュアルのことだけではなくて、サステナブルを代表とした、社会で広まりつつある概念や事例について、デザイナーだからこその見解と見識を深めないといけない。

天野:時代の流れとして、今までのデザイナーが果たしてきた役割を理解した上で、今、社会の中での自分たちの役割は何なのか、と考える姿勢が求められているんだと思います。

中澤:デザインと戦略は全く違うものと思われがちですが、実は紐づいている。戦略を体現しているのがデザインなのです。良いものを作るために、クライアントもデザイナーも立場関係なく、共に考え続けることが大切だと思います。

柚山:現状を諦めるのではなく「このままじゃ、いかん」という意識を持ち続けて、P.K.G.Tokyoは取り組み続けていきます。

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人は、人を職業という固有名詞で、定義したがる傾向があります。

ですが本当は、生き方がその人を定義づけるのではないでしょうか。

さまざまな立場、職業の人間が、
それぞれに「自分が社会に対して、できること」を諦めずに行動し続ける。

その行動が、誰もが自分らしく生きることへと繋がる。そして、社会もどんどんよくなる。そんな良い循環が巡っていって欲しいと思います。そのために、私も行動し続けたいと感じました。

P.K.G.Tokyoのみなさま、ありがとうございました。

取材・文 :大島 有貴
写真:唐 瑞鸿 (MSPG Studio)

以下、お話をお聞きしたP.K.G.TokyoさんのHPです。
P.K.G.Tokyo[プロダクトブランディング]

Identity Tokyo[コーポレートブランディング]

P.K.G.Magazine[オウンドメディア]


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