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回転している

私は回転している。考えたものは何でも最終的に自分を傷付ける刃物として柔らかい肌に返ってくる。

私は回転している。音楽が私を現実から連れ出してくれる気がした。現実に戻った時残っていたのは私の音がとるに足らず弱いという事実だった。

私は回転している。恋をするのが幸せだった。恋をしたら愛が欲しくなって、目の前の人の身体を引き裂いて存在するかも分からない愛を掻き出そうとした。

私は回転している。求めるのが心地良かった。求める感情を手に入れられると思って全てをできるだけ正確に表現したら、奇異の目で見られ、取り返しのつかない断絶が起きた。

私は回転している。求められるのが嬉しかった。求めてくる人と同等に引き上げられたような感覚はすぐに期限切れになって、いつしか地面に沈んだ脚を引き上げることはとてつもなく困難になっていた。空が遠い。

私は回転している。世界について考えた。狡い手段で向こう側を見た。全てがいつか知った模様で五感は連動して揺れ、合致していた。

理解するのが怖かったから世界から目を逸らした。そこにあったのは底無しの寂しさだった。

私には何も無いことだけ分かった。

私は今も回転している。



2022.10.9

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