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「プロに認められる酒であり続ける究極のものづくり・新澤醸造店の熱狂」新澤醸造店(宮城県柴田郡川崎町)訪問記

2023.12月 訪問
1873年創業の新澤醸造店、1999年新澤巖夫氏が跡取りとして始動、2002年に今の人気銘柄、究極の食中酒・伯楽星を生み出す。

順調に知名度は高まり、売上も伸び続け、さぁこれからという矢先、2011年の東日本大震災で蔵3棟、自宅全てが全壊判定。倒壊しそうな蔵の中で酒を仕込んでいた。

全壊判定を受けた蔵を前に、建て直しか移転かを迫られ、熟考の結果、約70キロ離れた川崎町で廃業した酒蔵の跡地を買い取り、蔵を建て直した。

その川崎町は宮城と山形の県境にあり「水の町」と呼ばれるほど水資源が豊富な地域。

山形と宮城の間に位置する
自然豊かな場所

チャレンジし続ける新澤醸造店

2008年関連会社「ライスコーポレーション」を設立
2009年当時の世界最高精米歩合9%の「残響」を発売
2011年震災で蔵を川崎町へ移転
2015年美術界とのコラボ商品「NIIZAWA」「NIIZAWA KIZASHI」発売
2018年22歳の全国最年少 女性杜氏が就任、海外出身の副杜氏が就任
スピリッツを手掛ける関連会社「株式会社MCG」設立
世界初 最高精米歩合0%表記の「零響 -Absolute 0-」を発売
2023年ついに1本100万円を超える「零響 -Crystal 0-」をリリース

飽くなき挑戦が新しいマーケットを創造している

心臓部となる「ライスコーポレーション(自社精米)」

新澤醸造店を全国区へと押し上げた一つの要因でもある「高精米」。当時の精米歩合を極限まで突き詰めた精米歩合9%の「残響」から始まった「高精米、高級酒」のジャンルを支えるのは新澤醸造店の心臓部であるライスコーポレーション。

もともと旧蔵近くで自社精米に取り組んでいたが震災後は蔵が川崎町に移転した為、川崎蔵の敷地内にも精米機を導入。しばらく2拠点3台の精米機を稼働させていたが、人件費と輸送費が倍かかるため、一箇所に集約した精米センターを構えた。

2018年新しい精米センターにダイヤモンド精米機を2台設置、旧蔵近くで稼働していた精米機も2台移動、2020年7月にサタケの扁平精米ができる精米機を2台追加発注。

現在は、球形精米用が4台、扁平精米用が2台、合計6台が稼働している。

一台あたり数千万円とも言われる非常に高額な精米機を複数台保有する数少ない酒蔵である。

「自社精米を手掛けるのは、酒造りの解像度を上げるため」と新澤社長

圧巻の精米所

精米所を持つメリット

自社精米の大きな強みは、玄米のコンディションに合わせた精米ができる点。委託精米は手配したお米が届いて、オーダーの期限までに指定された精米歩合までお米を精米するのが一般的。しかし米は農産物なので品種、ヴィンテージ、状態によってポテンシャルは毎回異なる。

新澤醸造店では40%まで削る予定だったお米を、状態が良くないから50%で止めよう、という部分まで判断し実行できる。それを契約農家へフィードバックしている。

酒造りの最新基地、プロに認められる酒であり続ける

考えられる全ての設備投資を行っている新澤醸造店。

フェラーリとフィアットが同じ会社なのと一緒で「ポケットに500円しかない人でも、500万円持っている人でも感動させたい」というのが蔵の根本となっている。


冷蔵管理されたヤブタ式の搾り機
徹底した冷蔵管理

伯楽星が求めるテイスティング能力

新澤醸造店が特に重視しているのは利き酒の能力。どの蔵人も圧倒的にテイスティング能力が高い。

その秘密は毎日出社するとまず5種のお酒のマッチングテストを行い、その後60種類を30分✕3回行う通称「サーキット」をこなす、という徹底した利き酒の訓練を積んでいるからだ。

おいしいお酒を造るためには①正しい味覚が備わっていること②良いものを出すことに対してどれだけ徹底できるか、が重要でそこを徹底した集団でありたい、と新澤社長。

「究極の食中酒」をコンセプトに掲げる新澤醸造店。日本料理、鮨の職人に圧倒的な支持を得ている理由は、設備投資、チャレンジ精神、蔵人のテイスティング能力の教育、、などそれぞれの日々の積み重ねが「伯楽星」の圧倒的安定感・高品質を保っている要因なのだと深く理解できた訪問となった。
新たなチャレンジをし続けていく新澤醸造店から今後も目が離せない。

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