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昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち

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昭和の時代、シンセや電子楽器は発展途上で最新モデルをいち早く導入したアーティストは多く、それにより数ある名曲が誕生しました。そんな名曲を支えた昭和のシンセ、電子楽器を紹介します。
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昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その1

ヒューマン・リーグ「愛の残り火」1981年、全英・全米ヒットチャート1位になり日本でもヒットした《ヒューマン・リーグ「愛の残り火(Don't You Want Me)」》この曲は「シンセポップ」のルーツといえる曲の一つでありますが、この頃の私はシンセとエレクトーンの違いもよく分からなかった時代で、斬新なサウンドの曲と認識したもののあまり気にする事なく聴いていたものですが、後にこの楽曲に驚くべき「新兵器」が使われた事に驚きました。 世界初PCM音源ドラムマシン「Linn LM

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その2

TOTO「アフリカ」日本は70年代後半から「産業ロック」「商業ロック」の人気があり、その代表格といえる米国のロックバンド「TOTO」おもしろい事に私が中1の時は彼らの存在を知らず、近くの高校の文化祭へ遊びに行った時、生徒のバンド演奏で彼らの楽曲の演奏を目のあたりにし感銘し「TOTO」のファンばかりか自分も楽器演奏に興味が沸いたきっかけとなった思入れ深いバンドなのです。そんな彼らの代表曲の一つ「アフリカ」実はこの曲の誕生には2つのシンセの存在があったのです。 国産最高峰ポリシ

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その3

バグルス「ラジオ・スターの悲劇」1981年に開局した米国の音楽チャンネル「MTV」で最初に放送されたMVがThe Buggles「ラジオ・スターの悲劇(Video Killed the Radio Star)」正に曲の内容と番組趣旨をあわせたニクイ演出です。さて、この曲は元々トーマス・ドルビーも参加してたグループ「ブルース・ウーリー&ザ・カメラ・クラブ」につくられた曲で、後にセルフカバーしたのはよほどお気に入りだったのか?そのかいもあり1979年に全英1位、米国はじめ日本でも

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その4

イエス「燃える朝やけ(Heart of the Sunrise)」1960年代終盤に登場した音楽ジャンル《プログレッシブ・ロック》その大きな特徴は変拍子やクラッシク・ジャズなどの要素を取り入れ、何より《プログレ三種の神器》といわれた「ハモンドオルガン」「シンセ」「メロトロン」と当時、最新鋭の楽器を活用している点であります。今回はイエスの名盤「こわれもの(Fragile)」から「燃える朝やけ」で使用されているシンセ「Minimoog」とメロトロン「M400」に注目したいと思いま

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その5

クイーン「レディオ・ガガ」2018年に公開された映画「ボヘミアン・ラプソディ」のヒットで再評価された「クイーン」元々ハードロックを主体とした音楽性でしたが新しい事にチャレンジする意欲的なバンドで、特に注目する点は世界初のPCM音源ドラムマシン「Linn LM-1」をいち早く導入しシンセサイザーを活用したファンクやシンセポップの要素を組み込んだ点であります。1984年に全英2位となった「レディオ・ガガ」も例外でなく、この曲で使われている「LinnDrum(LM-2)」と「Rol

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その6

ウェザー・リポート「バードランド」70年代に入りシンセサイザーは「楽器」として活用されるようになり先駆けであった「Moog」を皮切りに様々なメーカーのシンセが登場するようになりました。それらの最新鋭シンセを活用した新しい音楽ジャンル「クロスオーバー」(後にフュージョンに丸められる)その代表するグループの1つ「ウェザー・リポート」彼らの名曲「バードランド」で使用された「ARP 2600」と「Oberheim SEM Voice」に注目したいと思います。 小型セミモジュラーシン

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その7

ニュー・オーダー「ブルーマンデー」70年代にシンセをはじめとした電子/電気楽器が活用されるようになり“より使いやすいもの”“より革新的なもの”を求め各メーカーが競い合っていましたが、80年代に入ると山口百恵ちゃんのCM《デジタルはカシオ!》とあるように「デジタル」がキーワードとなり代表的な1つが「サンプリング」であります。このサンプリングの登場で音楽業界は大きく変わったと言っても過言ではなく、もともとポストパンクバンドだった「ニュー・オーダー」も例外ではなく、彼らのヒット曲「

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その8

イエロー・マジック・オーケストラ「ビハインド・ザ・マスク」70年代終盤シンセを活用した「ディスコミュージック」が世界的にブームとなりましたが、程なくして日本の「テクノポップ」というサブカルチャーの火付け役となる日本のアーティスト「Yellow Magic Orchestra」通称《YMO》が大ヒットしました。「ライディーン」「テクノポリス」などTVやラジオ、出先のお店の有線放送でひっきりなしに掛けられていたYMOの楽曲。その中でも世界のアーティストからも絶賛された「ビハインド

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その9

ティアーズ・フォー・フィアーズ「シャウト」80年代に入りデジタル技術を取り入れ進化し続けた電子楽器でありますが、従来、人の手で演奏されてたものを電子楽器で代替した「シンセポップ(当時の日本ではエレポップといわれてました)」というジャンルとして沢山のヒット曲が誕生しました。中でもティアーズ・フォー・フィアーズの「シャウト」は、その最先端電子楽器を使用したばかりか、今では当たり前に行われている音楽制作スタイルを用いた先駆けの楽曲となったのです。 ミュージックワークステーションの

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その10

カジャグーグー「君はTOOSHY」電子楽器の登場によりポピュラーミュージックのサウンドが変化した以上に、80年代は従来の型に捕らわれない様々なジャンルやバンドのスタイルが進化しました。シンセポップの源流の一つである「ニューロマンティック」これはサウンドというよりは《ビジュアル》を重視したアイドル的な要素を全面に出したアーティストを指し、80年代MTVブーム黄金期を支える要因の一つとなりました。中でも見た目だけでなく演奏テクニックも兼ね備わったカジャグーグー「君はTOOSHY」

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その11

a-ha「テイク・オン・ミー」80年代に入りマイケル・ジャクソン「スリラー」など《ミュージックビデオ》の良し悪しがレコードのセールスに影響するようになり、日本では米ヒットチャートのMVを紹介する「ベストヒットUSA」が1981年に放送開始し、米ケーブルテレビ「MTV」も日本でも放送されるようになり国内では洋楽大ブームとなりました。さて、アニメと実写を合成した映像が斬新なMVが話題となり世界的に大ヒットした、a-ha「テイク・オン・ミー」実はヒットしたのはリアレンジ版で、先代版

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その12)

70年代に入り小型軽量化したシンセ「Minimoog」の誕生を皮切りに各社より色んなシンセが登場し、それらを活用した《プログレッシブ・ロック》《クロスオーバー》などの新しい音楽ジャンルが登場したのは以前にも申し上げましたが、それは単純に需要にあやかって模倣品が登場したのではなく各社がアイディアを絞り切磋琢磨したお陰で色んなアーティストから愛されるものが誕生し、沢山の名曲が登場したのだと思います。そんな2つの電子楽器についてお話をしたいと思います。 「Minimoog」と人気

昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(最終回)

シンセサイザーなどの電子楽器の登場で70年代から80年代にかけて様々な音楽ジャンルが誕生し、沢山の名曲を支えた事を兼ねてより綴ってまいりましたが今回で最終回、前回に引き続き世界中のアーティストから愛され、様々な楽曲に使用された以上に、電子楽器業界の歴史が変わったといって過言ではない2つの《名機》を紹介したいと思います。 プログラマブルポリシンセの先駆け「Sequential Circuits Prophet-5」様々な音色が作れ奏でる事ができるシンセですが、一度作成した音色