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昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その6

ウェザー・リポート「バードランド」

70年代に入りシンセサイザーは「楽器」として活用されるようになり先駆けであった「Moog」を皮切りに様々なメーカーのシンセが登場するようになりました。それらの最新鋭シンセを活用した新しい音楽ジャンル「クロスオーバー」(後にフュージョンに丸められる)その代表するグループの1つ「ウェザー・リポート」彼らの名曲「バードランド」で使用された「ARP 2600」と「Oberheim SEM Voice」に注目したいと思います。

小型セミモジュラーシンセ「ARP 2600」

従来巨大なシンセでしたが必要最小限にしぼった「Minimoog」の登場により各社より《小型》のシンセが登場しました。中でも「ARP 2600」は従来の巨大シンセの性能を受け継ぐ《パッチング》による音色づくりも可能で、旋律楽器音のみならず効果音作りにも適しており、映画「スター・ウォーズ」のキャラ《R2-D2》の声(?)やアニメ「機動戦士ガンダム」の効果音は「2600」で作られたといわれています。キーボードのジョー・ザヴィヌルは時に鍵盤の極性を反転※させ奇想天外なメロディで演奏していました。
※通常は鍵盤の右へ行くほど高音になりますが低くなるようにして演奏。

力業のポリシンセ「Oberheim SEM Voice」

「Moog」「ARP」と70年代の音楽業界で人気を二分する中で、それらのシンセの機能を強化につくられたシンセ音源「Oberheim SEM」もちろん単独でも素晴らしいサウンドで、ニーズに応え鍵盤付きモデルを登場させましたが他社と異なり和音1音当たり音源一つ用意する力業で2Voice、4Voice、8Voiceの和音演奏可能モデルを登場させました。ポリシンセは当時希少でジョー・ザヴィヌルも新しいサウンドを求め早速導入し名曲「バードランド」の冒頭のリフが生まれたのです。

こぼれ話

あらゆるメーカーのシンセを操るジョー・ザヴィヌルのおやっさんですが、80年代後半は日本のシンセメーカー「KORG」がお気に入り(スポンサード契約?)で彼のステージではコルグ一色でありました。1989年リリースのクインシー・ジョーンズ「バック・オン・ザ・ブロック」に「バードランド」が収録され、もちろんご本人も参加しコルグの大ヒットしたシンセ「M1」をKORG特注のウインドウコントローラー「PePe」で演奏したそうです。

まとめ

ポピュラーミュージックのシンセの歴史は「Moog」から始まりましたが「ARP」「Oberheim」というライバルメーカーが登場し、お互い張り合い切磋琢磨しながらすばらしいモデルが開発されたのだと思います。ですが80年代になり「Moog」「ARP」両者は閉鎖となり「Oberheim」の創業者トム・オーバーハイムは解雇となりシンセの歴史の1ページとなりました。しかし今なお、復刻・クローン・リスペクトモデルやソフトシンセなど多数あるのは、その70年代の音楽界を支えた素晴らしい功績の証だと思います。^^

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