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昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その5

クイーン「レディオ・ガガ」

2018年に公開された映画「ボヘミアン・ラプソディ」のヒットで再評価された「クイーン」元々ハードロックを主体とした音楽性でしたが新しい事にチャレンジする意欲的なバンドで、特に注目する点は世界初のPCM音源ドラムマシン「Linn LM-1」をいち早く導入しシンセサイザーを活用したファンクやシンセポップの要素を組み込んだ点であります。1984年に全英2位となった「レディオ・ガガ」も例外でなく、この曲で使われている「LinnDrum(LM-2)」と「Roland Jupiter-8」に注目したいと思います。

ドラムマシンの名機「Linn LM-2(LinnDrum)」

世界初PCM音源ドラムマシン「Linn LM-1」の後継機で、機能が充実した「LM-2」《通称:リンドラ》先代との大きな違いはより迫力あるサウンドの音源が数多く搭載され、別売りのサウンドライブラリーの充実さが魅力的で世界的にヒットしました。クイーンにはドラマーのロジャー・テイラーがいるのに何故ドラムマシンを?と思いそうですが、おそらく「LM-2」のサウンド自体を気に入り従来の「古典的」なものに捕らわれない新しい手法での音楽制作に挑戦したのではないかと考察しています。
※「レディオ・ガガ」は「LM-2」以外のドラムも重ねていると思われます。

日本製ポリシンセ「Roland Jupiter-8」

80年代に入り各社から両手で和音演奏できるシンセが続々と発売されるようになり後を追うように「Jupiter-8」が登場し、後発ともあり高機能で特に英国アーティストから人気があったようです。先代の「Jupiter-4」と比べサウンド向上はもちろん、違った音色を2レイヤー演奏が可能で、鍵盤押さえるだけでピコピコと自動演奏するアルペジエーター機能も健在。「レディオ・ガガ」の冒頭のシンセベースのフレーズはこのアルペジエーターを活用し曲の要となるとても印象深い音色です。

まとめ

ラジオの思い出をノスタルジックに歌った曲と裏腹に新しいサウンドに挑戦し、次シングルで女装したMVが印象的な「ブレイク・フリー (自由への旅立ち)」にも「LM-2」「Jupiter-8」は使用されているようです。しかし往年のクイーンファンは徐々に離れ以前のような勢いはなくなったものの、翌年に開催された「ライブエイド」への出演で再評価され、次アルバム「カインド・オブ・マジック」は流行にとらわれない終盤クイーンらしい良いアルバムに仕上がったと個人的に思います。


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