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昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(その11

a-ha「テイク・オン・ミー」

80年代に入りマイケル・ジャクソン「スリラー」など《ミュージックビデオ》の良し悪しがレコードのセールスに影響するようになり、日本では米ヒットチャートのMVを紹介する「ベストヒットUSA」が1981年に放送開始し、米ケーブルテレビ「MTV」も日本でも放送されるようになり国内では洋楽大ブームとなりました。さて、アニメと実写を合成した映像が斬新なMVが話題となり世界的に大ヒットした、a-ha「テイク・オン・ミー」実はヒットしたのはリアレンジ版で、先代版は楽曲アレンジが異なり、MVも地味であまり注目されませんでした。今回はそのヒットしたリアレンジ版の要となった2つの電子楽器に注目したいと思います。

80年代一世を風靡したデジタルFM音源シンセ「YAMAHA DX7」

以前「TOTO アフリカ」の記事で紹介しました「YAMAHA GS1」で採用された《デジタルFM音源》を用いた全く新しいサウンドのシンセ「DX7」当時破格の25万円程度で発売され、プロ・アマ問わず世界的に大ヒットし露出頻度も多かったのでお茶の間での知名度は高いものとなりました。しかも、従来シンセのパネル上に無数にあったツマミ類をなくしたスタイリッシュな筐体デザインはその後の各社が模倣したほど斬新でした。「テイク・オン・ミー」ではその「DX7」に搭載されているプリセットサウンド《ベース》と《琴》がそのまんま使われ、先代のバージョンと異り正にナウでヤングなサウンドに仕上がっているのです。

低価格でも高品位サウンドで世界で人気「Roland Juno-60」

80年代は、自動車や家電製品など低価格でも高品質な日本の技術が世界的に認められた年代でありました。かつてプロが使用するシンセは100万円以上の高額なものばかりでしたが、先の「DX7」もしかり日本製のシンセは低価格でも高品位のサウンドと世界的にも認められてきました。日本のローランド社が低価格路線で発売した「Juno」シリーズは今なお続く人気モデルで、この「Juno-60」は先の「DX7」と同じく当時25万円程度と低価格で、世界のプロ・アマ問わず人気あり、ワム、マドンナ、ユーリズミックス(下位モデル)、ハワード・ジョーンズ、エンヤなど多くの楽曲でも使用され、特に「テイク・オン・ミー」の冒頭のリフがとても印象的です。

こぼれ話

2020年に世界的にヒットしたザ・ウィークエンドの「Blinding Lights」はいうまでもなく「テイク・オン・ミー」からインスパイアされた楽曲なのですが、ドラムは本家と同じ「Linn LM-2」シンセリフは「Juno-60」(※型番諸説あり)と年代物の実機を使用したらしくスゴイこだわりようです。

まとめ

MVのインパクトと低価格・高品質で人気の日本製シンセが活躍した楽曲アレンジが異常にマッチした「テイク・オン・ミー」日本製シンセが世界的なヒット曲を支えたのは日本人としてとても誇らしい事でありますが、今まで活躍していた海外のシンセメーカーの多くが日本製にセールス面で負け閉鎖に追い込まれた現状もありちょっと複雑な思いです。80年代は自動車や家電製品のみならず、電子楽器業界も正に世界対戦の時代だったですね。(≧▽≦)

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