見出し画像

パタゴニアのマネジメントから学ぶ 自由と責任の両立組織の在り方

Hello, people.

前回に続き、PRの服部とデザインナーの三枝が、パタゴニアについて考察したpodcastの配信を記事化しました。

今回は主に、パタゴニアの「社員マネジメント」をテーマにしています。

信頼があるからこそ「サーフィンに行っていい」

三枝:パタゴニアの社長、イヴォン・シュイナード氏の著書『社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論』(東洋経済新報社)によると、パタゴニアの社員は、勤務時間中であっても、いつでも好きなときにサーフィンに行っていいそうです。社長のイヴォン氏が登山とサーフィンをする人なので、「サーフィンに行かせよう」という表現を使っていますが、実際には、ランニングでもヨガでも、どんなスポーツでも構わないそうです。

服部:「いつでもサーフィンに行っていい」と聞くと、とても自由な会社に聞こえますが、そこには、社員に対する別のメッセージも読み取れます。サーフィンは、いい波がいつ来るかわからないので、事前に計画が立てにくいですよね。つまり、日頃から、いい波が来たときに、パッと海に出られるような仕事をしておく必要があるということです。仕事への責任感とか効率性を求めているということですよね。その上で、最後に融通を効かせることを重視しているというか。

三枝:パタゴニアの経営方針として、徹底的に社員に任せているようです。日頃から社員に任せているから、社員への信頼が構築されていて、信頼があるからこそ、自由にしてもらっても構わないということですね。社員としても、責任をもって事業に取り組んでいるから、自分の判断で、好きなタイミングでサーフィンにも行けます。

一般的な日本の企業では、お昼休憩も、何時から何時と決まっていたりします。就業時間内に勝手にサーフィンに行くとか、ヨガをするとか、あり得ないですよね。「いつでも仕事以外のことをしてもいい」という考え方は、すごくおもしろいと思います。

服部:本人の自主性をとことん尊重することによって、逆に効率性や融通を効かせる力を養うという考えですよね。

社員の自律性を育てる組織構造

三枝:パタゴニアの社内の仕組みとして、リーダー層、マネージャー層、プレイヤーの三つの層に分かれてるらしいです。
それぞれの層の役割として、まず、リーダー層は、適切なマネージャーとそのチームを選んで、「どんなチームにするか」「どんなゴールに向かって欲しいか」について、マネージャーに指示を出します。リーダーは指示だけでしたら、潔くそこから身を引きます。リーダーに指名されたマネージャーは、チームのゴールに向かって、メンバーを率いて行くらしいです。
とはいえ、マネージャーがすべてを決めて進めていくのではなく、チームメンバーの一人ひとりが考えて行動するので、マネージャーはそれを統率する役割になります。

服部:理想的な組織ですね。社員の仕事を尊重して、同時に力を引き出して。

三枝:この組織構造にしている理由は、社員一人ひとりの自主性を重んじて、社員に人生を楽しんでもらうためだとか。

服部:「社員が人生を楽しむことができるように」というのは、すばらしいですね。本当は、どこの企業もそう言いたいとは思いますが 、現実はなかなか…。

三枝:パタゴニアは、意思決定権がトップにあるわけではなく、それぞれのチームの中に意思決定があるみたいです。そうすると、自主性や自律性が生まれて、より強いチームになっていくのではないでしょうか。
企業は社員を信頼して任せる。社員は企業に任せられることで、企業を信頼する。そんなWin-Winの関係になっているのかもしれませんね。

服部:今、話しをしながら、「自由と責任は表裏一体」という概念が浮かんだのですが、普通は経営者が言いがちなことですよね。それを、社員一人ひとり、ボトムまでやりきるのできているのがすごいですよね。

三枝:ボトムまでやり切るための仕組みが、先ほどの各層の役割りにあるのかもしれません。リーダーがマネジャーに指示したら、次の責任者はマネジャーになり、マネージャーはメンバーに任せるから、意思決定や責任が上から下に降りてきて、メンバー一人ひとりに責任感が出てくるのではないでしょうか。
この組織構造は、パタゴニアブランドのブランディングにも関係していそうです。会社は環境保全をビジョンとして、様々な取り組みを行っているわけですが、この組織構造だからこそ、社員一人ひとりにまでビジョンが伝わるのかもしれませんね。ブランディングだけではダメで、ブランディングに加えて、マネジメントが確立されているからこそ、ビジョンの共有ができるのではないかと。 

キーワードは、信頼と共感と…。

服部:離職者もとても少ないようですね。産休後の復帰率は100%と知って、驚きました。1973年の創設以来、産休を理由に離職した社員は一人もいないというのです。人材が定着するのは、組織マネジメントの奥義があるのでしょうね。


三枝:離職率の低さも、根底には社員への信頼があるのだと思います。企業から信頼されていない社員は、「この企業についていって大丈夫かな」という疑念が湧いたりしますよね。企業への信頼と、ビジョンへの共感が両立しているからこそ、離職率が低いのでしょうね。

服部:「自由と責任」は、コロナ禍でリモートワークが増えた今、ある意味とてもトレンディな話ですよね。柔軟な働き方が許され、家で仕事をする時間が増えると、そこにはやはり、自由と責任が伴います。

三枝:そうですね。人間は、自由が増えると、どうしても怠けてしまうというのがありますよね。企業としても、社員が怠けてしまわないか、心配になると思うんですね。お互いを信頼し合えているパタゴニアは、どうやってその信頼を保っているのでしょうね。

服部:もしかして、「社員は時間があればサボる」という前提がないというか、すべてにおいて、性善説が起点なのでしょうか。または、それぞれが任された領域で結果を出せればいいとか。あるいは、サボることを悪と捉えていないのかもしれませんね。「人生を楽しむためには、サボることも必要だ」と。

三枝:社員には、人生を楽しむために思いっきり遊んでもらって、仕事をしてもらえばいいということですね。

服部:色んな話をしてきましたが、パタゴニアのマネジメントの根底にあるキーワードは、信頼と共感ですね。

三枝:そこに愛も(笑)。愛があるからこそ、信頼できて、共感できて。
社内の愛については、Ily, も負けていませんよね。私は、ILY, の組織の形も、パタゴニアに似ているのかなと感じています。ILY,のメンバーも、リーダーの指示に従うというよりは、一人ひとりがリーダーと一緒に考えながらゴールを決めて、それに向かっていきますもんね。そこには、お互いの信頼感があると思っています。

服部:確かに、ILY, も一人ひとりに任されている感じはありますね。そんな締めになってしまいましたが、パタゴニアからも、学ぶことがたくさんありましたね。
ありがとうございました。

画像1

Director / PR manager

服部麻優

WEBプロモーション会社でSEO・リスティング広告などの業務に携わった後、制作部門の立ち上げと部門 マネージャーを務める。 複数プロジェクトを同時に進行管理するだけでなく、品質管理のためのガイドライン・フォーマットを整 備し、チーム内への実施を徹底。各ステークホルダーとの情報の連携についてもツールでの一元管理の方 法を確立している。 経営PRなどディレクション領域を超えて業務に従事し、プロジェクトの範囲に留まらず、クライアントのビジネス全体への提案を実践。



画像2

Service Designer & Strategic Planner

三枝ふみ

税理士事務所で経理&事務を経験した後、WEBデザイナーに転向。デザイナー兼コーダーとしてWEB制作会社に入社し、WEBデザイン制作、フロントコーディング、wordpress構築を約6年間経験。その後、ILY, incにjoinし、制作のできるディレクターとして活躍する。デザイン&コーディングの経験を活かし、進行管理だけでなくシステム開発のUIUX設計も担当。幼少期よりピアノとヴァイオリンを嗜む。


私たちILY,は、ロゴ制作やビジュアルデザインなどの”見た目のデザイン”にとどまらず、MVV策定や事業・サービスのコンセプト設計などの”コトのデザイン”もご提供しております。お気軽にご相談ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?